ウクライナにおける人道的地雷対策 ― 現場の安全性向上と効率化のための地雷・不発弾の探査機材を供与
掲載日:2026.08.19
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国際協力機構(JICA)と在ウクライナ日本大使館は2026年8月13日、キーウにおいて、人道的地雷対策の実施機関である、ウクライナ国家非常事態庁(SESU)に対し、ウクライナの復旧・復興の基盤となる人道的地雷対策に寄与するものとして、同対策の安全性向上と効率化に資する機材を供与しました。
写真提供:ウクライナ国家非常事態庁
今回供与した機材は、技術協力「人道的地雷・不発弾対策能力向上プロジェクト」で調達した地雷除去機等の点検や修理を行うための移動式整備車両(通称モバイル・ワークショップ)、地域住民への啓発活動を行うための地雷回避教育車両、及び地雷探査システム「MinesEye」です。この協力を通じた地雷対策作業の効率化と安全性向上について御紹介します。
2022年2月以降、ウクライナでは地雷及び不発弾等の残存爆発物による汚染が全国的に拡大しています。これまでウクライナでは、地雷や不発弾が埋まっている可能性のある危険区域を特定する際、住民への聞き取りや過去の記録、衛星画像などが活用されてきました。しかし、こうした情報だけでは危険区域を絞り込むことが難しく、危険区域が広範囲に設定されてしまうため、その全域を機材等を用いて探査する必要があり、多くの時間と労力がかかっていました。
地雷探査にかける時間やコストを削減するため、JICAは、地雷探査システム「MinesEye」の技術実証と導入を支援しています。本システムは、地上約3メートルから磁気センサーと光学カメラにより地表と地下の情報を取得し、さらにAIによる分析を行い、地雷や不発弾が存在する可能性のある場所をより高い精度で把握することができます。金属製・非金属製を含むさまざまな対象物に対し、最大90%の探知率が確認されています。
「MinesEye」の導入により、広範な危険区域から、地雷や不発弾が存在する可能性の高い場所をより正確に絞り込めるようになり、調査に要する時間やコストの削減につながります。また、除去員が立ち入る範囲を最小限に留めることで、安全性の向上や心理的負担の軽減にも貢献します。
「MinesEye」は、単なる探査機器としてだけでなく、人道的地雷対策全体の効率化を支える新たな技術として期待されています。ウクライナ国家非常事態庁(SESU)地雷対策局 革新的技術導入部門長のセルヒー・オリイニク氏は、次のように述べています。
「『MinesEye』の導入により、広範囲に及ぶ汚染地域の状況をより早く、正確に把握できるようになり、限られた人員や装備を優先度の高い地域へ効果的に配置できるようになります。また、位置情報と連動した調査データを取得できるため、現場での判断や作業計画の精度向上にもつながると考えています。私たちは、このシステムを既存の調査手法と組み合わせることで、人道的地雷対策の能力をさらに強化し、土地の安全化と地域の復興をより迅速に進めていきたいと考えています。」
写真提供:ウクライナ国家非常事態庁
JICAは、2025年10月に東京で開催された「ウクライナ地雷対策会議(UMAC2025)」で日本政府が表明した「ウクライナ地雷対策イニシアティブ」の具現化に貢献してきています。今回供与したモバイル・ワークショップや地雷回避教育車両、地雷探査システム「MinesEye」をはじめ、人道的地雷対策に必要な技術、機材、人材育成を包括的に支援しています。こうした取組を通じて、地雷対策の効率化と安全性向上を図るとともに、地雷・不発弾による脅威から人々の生命と生活を守り、ウクライナの復旧・復興を後押ししています。
JICAは今後も、ウクライナ国民の安全と、最前線で活動する地雷除去員の安全確保のため、ウクライナ政府および関係機関と協力して、持続可能な人道的地雷対策を支援していきます。