jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

国と国をつなぐ、学びの輪 - 世界に広がる地雷・不発弾対策の知見

掲載日:2026.08.26

イベント |

かつて支援を受ける側だった国が、自らの経験を生かして他国を支援する側へと成長する。このような「学びの連鎖」は、JICAが目指す持続可能な国際協力の姿の一つです。

1998年、当時世界で最も多くの地雷被害者が出ていたカンボジアにおいて、JICAはカンボジア地雷対策センター(CMAC)への協力を開始しました。以来、調査手法・技術の改善を含む地雷探知・除去技術の向上や人材育成、組織運営能力の強化などを通じて、カンボジアの地雷対策能力の向上を支援してきました。

長年にわたる協力の成果として、CMACは現在、自国の知識や経験を他国へ共有する国際的な地雷対策機関へと成長しています。近年では、JICAが推進する三角協力の枠組みのもと、ウクライナ、コロンビア、ラオス、エチオピア、ナイジェリア、ソマリア、南スーダンなど、地雷・不発弾汚染の課題に直面する国々に対し、地雷探知機や除去機の活用・維持管理、組織及び制度の構築、人材育成などに関する知見の共有を行っています。

JICAは近年、地雷・不発弾対策に取り組む各国・機関の知見を共有するため、地域や国境を越えた協力を推進しています。最近の代表的な取組をご紹介します。

コロンビア・ウクライナ・JICAによる三者ワークショップ

2026年4月、スイス・ジュネーブで開催された地雷対策プログラム責任者会合(International Meeting of Mine Action National Directors)において、JICAのカウンターパートであるコロンビア大統領府平和高等弁務官事務所(OCCP)とウクライナ経済環境省、そしてJICAの三者によるワークショップが開催されました。本取組は、長年JICAが協力を行ってきたコロンビア側から、JICAを通じたウクライナとの知見共有への関心が示されたことを契機として実現したものです。2025年10月に東京で開催された「ウクライナ地雷対策会議(UMAC2025)」での協議を経て、三者による協力が決定されました。

ワークショップでは、コロンビアからウクライナに対して地雷対策における品質管理の経験が共有され、ウクライナからコロンビアに対しては情報管理やドナー調整に関する実践的な知見が紹介されました。参加者からは、今回のような取組を今後も継続・発展させたいとの期待が寄せられ、引き続き学びあいを深めていくことになりました。2026年5月には、ウクライナからコロンビアに対して、地雷回避教育についての知見共有の要望があり、オンラインセッションが実施されました。

東南アジアの地雷対策機関による知見共有イベント

地雷対策プログラム責任者会合では、 “From Shared Contamination to Shared Solutions: Cambodia, Laos and Viet Nam Addressing UXO Issues Together”(共通の汚染から共通の解決策へ - カンボジア、ラオス、ベトナムが取り組む不発弾対策と地域協力)と題したサイドイベントも開催しました。本イベントでは、カンボジア地雷対策センター(CMAC)、ラオス不発弾除去組織(UXO Lao)、ベトナム国家地雷対策センター(VNMAC)、ASEAN地域地雷対策センター(ARMAC)が参加し、不発弾汚染への対応や地域協力の意義について議論しました。

カンボジア、ラオス、ベトナムは、長年にわたりクラスター弾を含む不発弾汚染という共通の課題に向き合ってきた東南アジアの国々です。本イベントでは、各国間の訪問や実務者レベルの交流が、特に現場のオペレーションの改善及び強化に効果的であるとの意見が出ました。本サイドイベントは、2月にカンボジアで開催された、3か国の不発弾対策組織とJICAによる不発弾対策についての技術ワークショップの結果を踏まえて実施されました。今後も3組織間で技術面での知見共有が継続するよう、JICAは支援していきます。

アフリカ向けシニアマネジメント研修

2026年6月、JICAは、エチオピア、ナイジェリア、ソマリア、南スーダンの地雷対策機関の幹部職員を対象に、カンボジアでシニアマネジメント研修を実施しました。研修では、カンボジア地雷対策センター(CMAC)が講師役を務め、施設の視察や意見交換を交えながら実践的な学びを提供しました。

参加者は、地雷回避教育や住民からの聞き取り調査、発見時の対応等技術的な側面について学ぶと共に、地域及び社会の開発につなげるための地雷対策戦略やそれを実施していくための組織運営について理解を深めました。研修期間中は、地雷対策を皮切りに、自国が直面する平和構築への課題や経験についても活発に議論が行われ、国や地域を超えた学び合いの場となりました。参加者からは、研修で得た知見は実践的であり、自国の地雷対策の強化に活かしたいと、今後の取組への高い意欲が示されました。

国境を越えてつながる知見

地雷や不発弾による汚染という共通の課題に向き合う国々は、それぞれ異なる歴史や状況を抱えながらも、経験や教訓、課題解決の工夫を共有し、互いに学び合っています。実践に裏打ちされた知見の共有は、単なる技術移転にとどまらず、紛争を経験して同じ課題に取り組む仲間としての共感と信頼を育み、より効果的な地雷対策の推進と、国や地域の平和の構築にもつながっていきます。

JICAは引き続き、各国・地域の知見をつなぎ、人と人、組織と組織、そして国と国との協力を深めながら、地雷・不発弾のない安全で持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいきます。