天皇皇后両陛下が帰国したJICA海外協力隊(海外協力隊、日系社会海外協力隊)と御懇談

2023.07.27

JICA海外協力隊帰国隊員(海外協力隊と日系社会海外協力隊)の代表が7月12日、皇居(御所)において天皇皇后両陛下に御懇談の栄を賜り、任国での活動をご報告致しました。帰国隊員と両陛下との御懇談は、1965年に青年海外協力隊が発足した当初から今日に至るまで続いています。

今回帰国したJICA海外協力隊員は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、日本への一時帰国を余儀なくされながらも、日本での待機期間中には、現地へオンラインでの支援活動や能力強化などを行い、これらをまた現地に戻った際の活動に生かすなど、コロナ禍を乗り越えて派遣国での活動に従事しました。

今回両陛下にお目にかかったのはアジア、欧州、中南米の国々に派遣されていた海外協力隊2名と日系社会海外協力隊1名です。御懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で田中明彦理事長と面談しました。

前列左から松村さん、田中理事長、西中さん 後列左から 大塚理事長室長、宮崎理事、大西さん、橘青年海外協力隊事務局長

前列左から松村さん、田中理事長、西中さん
後列左から 大塚理事長室長、宮崎理事、大西さん、橘青年海外協力隊事務局長

日本の教員経験をマレーシアの教育現場に

大西寛さん(マレーシア派遣、職種:理科教育、63歳、兵庫県出身)は、首都クアラルンプールから飛行機と車で約2時間の場所に位置するペナン島にある、理数科教育センターに配属されました。主な活動は、外国教員等へ指導を行う講師に対する、①日本の理科教育についての紹介、②他教員との授業研究・研修員へワークショップの実施、③研修カリキュラムへの助言・教材開発・ビデオ制作等です。一時帰国中も日本から遠隔支援を行い、任期満了までに41本の理科実験ビデオの制作等を行い、自身が離任後も関係者が活用できる形で、理科教員の能力向上に寄与しました。

生徒たちと大気圧を確かめる実験に挑戦している様子

生徒たちと大気圧を確かめる実験に挑戦している様子

セルビアで障害者の就労への理解促進に取り組む

西中純子さん(セルビア派遣、職種:障害児・者支援、70歳、福岡県出身)は、首都ベオグラードのNGO発達障害者支援協会/ナサ・クチャ(我が家)に配属され、成人した知的障害者の自立支援に取り組みました。主な活動は、①知的障害者の就労支援、②収入向上につながる作業提案と作業提供、③障害者理解と啓発です。コロナ感染症蔓延の影響により、自身も長期一時帰国となったものの、日本国内で継続してセルビア語を学び続け、再赴任後に備えていました。再赴任後は、ベオグラード国立大学の日本語を専攻する学生を対象に障害者理解講座を日本語で開催するなど活動の幅を広げ、配属先や関係者から高い評価を得ました。

配属先にて、絵カードを利用し、クッキー作りの材料や分量を確認している様子

配属先にて、絵カードを利用し、クッキー作りの材料や分量を確認している様子

日本語教育の継承に取り組み、パラグアイと日本の懸け橋に

松村妙子さん(パラグアイ派遣、職種:日本語教育、71歳、群馬県出身)は、首都から南東に車で6時間に位置する、エンカルナシオン市にあるエンカルナシオン日本人会に配属され、同会が運営する日本語学校で、学校運営体制の改善に取り組みました。主な活動は、①児童・生徒の日本語力の把握、②非日系日本語クラス運営、③日本語能力試験対策等です。現地の課題や今後の日系社会における日本語の役割について問題提起し、試行錯誤しながら、現地での活動を推進しました。特に、非日系パラグアイ人対象の日本語クラスの整備や拡充に貢献しました。コロナ感染症蔓延の影響により、日本に一時帰国した際は、現地とのオンライン授業に積極的に参加し、活動を継続しました。

非日系パラグアイ人を対象にした日本語クラスの様子

非日系パラグアイ人を対象にした日本語クラスの様子

御懇談後、参加者からは、「両陛下とも終始にこやかに、うなずきながら報告を聞いてくださった。両陛下のお心遣いに感動した。」「協力隊に参加して良かったことなどについて、全員にご質問いただいた。」「協力隊の活動に深く関心を寄せてくださり、幅広くご質問いただいた。」などの感想をいただきました。

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