秋篠宮皇嗣同妃両殿下がJICA帰国専門家にご接見

2024.01.31

各国でJICAのプロジェクトに従事された帰国専門家が、1月25日赤坂御所の秋篠宮邸で、秋篠宮皇嗣同妃両殿下にご接見を賜り、それぞれの活動やエピソードをご報告しました。

秋篠宮皇嗣同妃両殿下とのご接見は2004年に始まり、今回で20回を数えます。両殿下にお目にかかったのはアジア、欧州、および中南米地域で活躍した帰国専門家3人です。ご接見に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で田中明彦理事長と歓談しました。

前列左から調達・派遣業務部 三井部長、副田専門家、田中理事長、宇佐美専門家、青木専門家
後列左から調達・派遣業務部 青木次長、大塚理事長室長、鶴岡課長

ドミニカ共和国で地域資源を活用した持続可能な観光開発を

青木専門家(アイ・シー・ネット株式会社)は、ドミニカ共和国で、地域住民が主体となった新たな観光開発モデルの構築に向け、地域資源を活用した商品開発や体験ツアーの造成を支援しました。また、観光運営を主体的に担う体制構築と人材育成や、活動の継続を目的とした戦略策定を支援し、持続可能な観光開発の実現に貢献しました。

観光博でのプロモーション活動の様子(左下が青木専門家)

ジェンダーに基づく暴力(GBV)被害者の自立・社会復帰に向けて

パキスタンでは、ジェンダーに基づく暴力(Gender based Violence: GBV)が、女性の権利や安全を侵害する深刻な課題となっています。宇佐美専門家は、個々の被害者に合わせた「被害者中心アプローチ」に基づいたサービス提供と「保護」の先にある「自立・社会復帰」に向けたサポートを提供できるよう、支援従事者の能力向上と、被害女性のエンパワーメントを支援する組織体制の強化に尽力しました。

パンジャブ州社会福祉局職員向けのジェンダーとGBVに関する研修の様子

災害廃棄物処理に係る日本の知見を活かしてウクライナ再建を

副田専門家(日本工営株式会社)は、ウクライナの都市部における廃棄物処理の能力向上や3R促進(リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle))のための取り組みを実施していたところで、ロシアによる軍事侵攻が始まってしまいました。この状況下でウクライナ政府から、大量の破壊廃棄物(※)の処理が困難な状況に陥っているため、日本の災害後の廃棄物処理の知見・経験を共有してほしいとの要望がありました。この要望に応え、副田専門家は、オンラインセミナーで日本の経験を具体的に共有し、再建に繋げることに貢献しました。

  • ウクライナでは戦争によって生じたがれき等の廃棄物を破壊廃棄物(Destruction Waste)と称しています。

ロシア侵攻前のキーウ市でのセミナーの様子(左から3番目が副田専門家)

ご接見を終えて

帰国専門家は、「両殿下を前に、冒頭は緊張していたが、両殿下が微笑みながら話しかけてくださり、また、温かく且つ熱心に発表に耳を傾けてくださり、緊張もほぐれました。」と語り、終始和やかな雰囲気でご接見が行われました。また活動内容に加え、コロナ禍やウクライナ情勢が悪化する中で、苦労した点や工夫したエピソードなどもお伝えしました。両殿下からは、コミュニティ観光開発における地域資源の活用の重要性、女性の保護シェルター運営上の課題や途上国でのゴミ分別にかかる難しさ等、各国の現状や事業の重要なポイントに関するご質問も賜り、それぞれご説明をいたしました。
帰国専門家は、「各専門家の活動に関心をもっていただいたことに感銘を受け、今後も活動を進める上で、非常に励みになった」と感想を述べられ、それぞれにとって、国際協力に取り組む価値を実感する一生涯忘れえない機会となりました。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ