地球に生きる私たちが、未来へつなげていくべきものは何か―JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2023表彰式開催

2024.03.11

未来を担う中学生・高校生が、世界の現状や日本とのつながりについて理解を深め、自分たちは何ができるかを考えて綴る、本エッセイコンテスト。「地球に生きる私たち~未来へつなげるために~」をテーマに募集した今年度のエッセイコンテストは、中学生の部17,439作品、高校生の部20,153作品、総計37,592作品の応募をいただきました。生活の中の小さな気づきをきっかけに、広い地球の未来のために自身で考え、行動したことを取り上げた作品が多く寄せられました。

日常にあるきっかけを、国際協力へつなげる

JICAの山田順一副理事長は、受賞者へ向けた挨拶で、自身の学生時代の経験から、国際協力の一歩はそれぞれの文化を尊重しあい、人々がつながり、理解し合えることだと伝えました。そして、「信頼で世界をつなぐ」というJICAのビジョンを伝え、「今日ここで出会った『つながり』を大事にして、今後の人生の糧にしてほしい」とのメッセージを受賞者へ送りました。

中学生の部・最終審査員長である尾木直樹さんは、本年度中学生の部の作品について、「スケールが大きい!」という特徴をあげました。日常生活の中でも大きな問題意識を持って、些細なきっかけを鋭い切り口から見つめなおした作品が多かったと講評しました。

高校生の部・最終審査員長である星野知子さんは、葛藤や悩みが素直に書かれていて、人間味が表れている作品が多く、力強さを感じると講評しました。「作文を読むと、日本の若者は大丈夫だと思える。悩んで、挫折して、一歩ずつ大きくなっていってほしい。」と受賞者や若者への期待とエールを伝えました。

世界中に仲間がいる

受賞者を代表し、中学生の部、高校生の部で、それぞれ独立行政法人国際協力機構理事長賞を受賞した髙嶋凛乃さん(恵泉女学園中学校・3年)、兼頭玄(かねとうはじめ)さん(愛媛県立松山東高等学校・2年)が受賞の言葉を述べました。

ネパールの学生の「私の国の発展に学校給食は不可欠だ」という言葉をきっかけに、ネパールを含む開発途上国では学校給食が栄養不良や教育などの社会課題の解決や国の発展につながっていることを知った髙嶋さん。社会課題への関心と解決のための行動を未来へつないでいくために、学びを活かした実践や、「今すぐ始められる社会課題解決を支援する仕組みが身近に多数存在する」という気づきを綴りました。受賞式では自身が参加している開発途上国への学校給食支援活動を紹介し、「世界中の人々との交流から学び続けることで、自分たちの社会をより豊かにするための仕組みづくりに貢献したい」と決意を語りました。

故郷である瀬戸内海の弓削島で海とともに育ち、海洋プラスチックが世界的な問題だと知った兼頭さん。ふるさとの海を守るために地域に呼びかけて開催したビーチクリーン活動や、環境問題の解決には国境を越えた協力が必要だという思いから自ら考案・実施した、国際課題の解決を異なる国の学生同士が話し合うプログラム「Happy Learning」、そしてマレーシアでの森林保全研修に参加された経験や、活動を通して得た学びをエッセイに綴りました。受賞式では、「環境や貧困、紛争などの国際課題を、国境を越えた協力により解決する」という夢を語り、「未来を信じ、仲間を信じ、共に一歩踏み出しましょう」と結びました。

座談会・ワークショップを開催

表彰式後、受賞者と世界の第一線で活躍する審査員の方々との座談会や、国際理解のためのワークショップを実施しました。

座談会では、これまでの活動や生活のなかで生まれた疑問や悩みなど、受賞者が多様な質問や言葉を投げかけていました。自分たちの活動が悪影響も生んでしまうのではないかという受賞者の葛藤に対して、世界銀行の米山泰揚駐日特別代表は、相手が何を必要としているのか一緒に寄り添い考えていくことの大切さを自身の経験をもとに伝えました。また学校生活で生まれた受賞者の様々な悩みや疑問に対して、都内高校の校長も務められている全国国際教育研究協議会の中里真一会長は、「積極的に周りの人を巻き込んで、大変さがおもしろさに変わるまで探求してほしい」と伝えました。

海外協力隊出身者によるワークショップでは、エクアドルの先住民インディヘナの事例をもとに、世界が抱える課題で深刻度が高いものは何かを考えるグループワークを行いました。すべて重要な課題である中どのように優先順位をつけて課題解決に取り組むかを、グループの仲間と悩みながら議論して発表しました。最も深刻な課題として、「命がないと何もできない」との考えから戦争や紛争、医療を挙げたグループが多くありました。また教育不足は他の様々な課題を引き起こして負の連鎖が続くため、教育格差が深刻だという意見も多く聞かれました。

おわりに

JICAエッセイコンテスト2023受賞者の皆様、改めておめでとうございます。そして参加してくださったすべての皆様、ありがとうございました。最優秀賞・優秀賞の方には副賞として夏に海外研修が予定されています。そこで多くのことを吸収してきてほしいと思います。

来年度(2024年度)エッセイコンテストの募集テーマは、「未来の地球のために~私たちにできること~」です。2024年6月頃募集開始を予定しています。

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