山里亮太さんが体験! JICA地球ひろば 世界とつながる20周年
2026.07.03
お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんは2025年8月、フィリピンの首都マニラの公立学校に、給食を無償提供する「赤メガネ食堂」をオープンしました。きっかけはJICAの国際協力の現場を取材するためマニラを訪れ、貧困で栄養失調に苦しむ子どもたちを目のあたりにしたことです。そんな山里さんが東京にあるJICAの施設を訪れました。果たしてその目的は――。
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山里亮太(やまさと・りょうた)
千葉県出身。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のツッコミ担当。2011年からは、全国津々浦々で行うトークライブ「山里亮太の140」も精力的に展開している。MCとしても「DayDay.」「土曜はナニする!?」「JUNK 山里亮太の不毛な議論」など、出演番組多数。
山里亮太さん(以下、山里) 東京・市ケ谷にあるJICAの施設に来ています。日本にいながら世界のいまを学べると聞いたので、入ってみましょう。
JICA広報部地球ひろば推進課課長 植田茜(以下、植田) ようこそJICA地球ひろばへ。ここは日本と開発途上国のつながりを見て、聞いて、触って学べる入場無料の施設です。
途上国の学校を再現した展示で、疑似体験する子どもたち
JICA地球ひろばは2006年に市民参加による国際協力の拠点として生まれ、今年20周年を迎えました。これまでに子どもから大人まで270万人以上が訪れています。
1階の体験ゾーンでは、世界が直面するさまざまな課題を体験型の展示で学ぶことができます。2階には食を通じて世界を身近に感じられるカフェ・レストランもあり、ランチタイムには大勢の人が各国の料理を味わいに訪れています。
館内に入った山里さん。地球案内人と呼ばれるガイドに出迎えられました。JICA海外協力隊として途上国で活動した経験のある人たちで、来館者に実体験などを伝えています。
地球案内人 三國由菜(以下、三國) こんにちは。私は体育教師の経験を生かして中南米のホンジュラスやメキシコに派遣され、教育機関への体育研修や市民への運動啓発を行っていました。
一行が最初に目にしたのは、20年の歩みを紹介する年表パネルです。
年表で20年を振り返り、山里亮太さんに地球ひろばの歩みを説明する植田茜・JICA広報部地球ひろば推進課課長(右)
植田 この20年間で、多くの基本展と企画展を交互に開催してきました。例えばオリンピックの年には「スポーツと開発」をテーマにするなど、その時々のトピックをより深く、よりわかりやすく学べる展示をしています。
山里 世界でいろんな問題が起きた時に気付くのは、どれもよそのことではなく、自分事としてつながっているっていうことなんですよね。最近は日本でも石油の問題が生活を圧迫して中東への関心が高まっていますけど、無関係だと思っていることも、意外と自分たちの生活に関係している。ここに来れば、そのつながりを確認できるんですね。
山里さんがまず案内されたのは、「カレーで考える世界とのつながり」というコーナー。モニターの前に、カレーの材料が書かれたカードが並んでいます。
三國 山里さん、1番のカードから順番にめくっていただけますか?
山里 こうですか? よいしょ。あ、モニターと連動してる!
三國 日本のお米の自給率は97%ということですね。
山里 「ナン(小麦)の場合は自給率が16%になります」って書いてある。僕、お店に行く時はナンを選ぶことが多いんですけど、ナンだと低いんですね。
「野菜」「肉」と書かれたカードを順番にめくっていく山里さん。最後に残ったのは「スパイス」。
山里 カレーはこれがないと始まりませんから。(めくって)えっ、ゼロですか!?
モニターにスパイスの自給率が「0%」と表示され、驚く山里亮太さん
モニターには最後に「結論 おいしいカレーが食べられるのは世界とのつながりがあるからです」と表示されました。
山里 怖いこと言うじゃないですか。あって当たり前と思うのがカレーじゃないですか。でも実はいろんなつながりがあって当たり前になっているだけで。このスパイスの「0」を見ると、世界とのつながりがなくなった瞬間、カレーが食べられなくなる?
三國 難しくなりますよね。農林水産省によると、2024年度の日本の食料自給率は38%で、食料の約6割を海外からの輸入に頼っていることになります。
山里 僕はフィリピンの子どもたちに給食を食べてほしくて、NPO法人アクションと協力して「赤メガネ食堂」を始めました。それは世界と関わって何かを起こすことで、何かが生まれて、いつか日本が助けてもらえる時が来ると思っているからです。世界はつながっている。それがカレーからわかるっていうのが、面白い。仕掛けがあって遊びながら学べるのがいいですね。
マニラに開設した「赤メガネ食堂」で、給食を配る山里亮太さん(右から2人目)
子どもたちはおいしい給食で笑顔いっぱいに(いずれも特定非営利活動法人アクション提供)
続いて山里さんは、SDGsが掲げる17の目標が並んでいるダッシュボードの前へ。
SDGsのボードの前に立つ山里さんと三國由菜・地球案内人
三國 世界各国のSDGsの達成状況がわかります。山里さん、日本は世界ランキングで何位ぐらいだと思いますか?
山里 日本でもSDGsっていう言葉が結構言われるようになってきたから……ベスト10に入っていてほしい! 10位!
三國さんがボードの下にある「日本」と書かれたカードを取り出すと――。
三國 19位。
山里 うわぁ……。頑張っているほうだって言っても、いいんですか?
三國 167カ国中のランキングなので、かなり上位ですよね。ではこのカードをここに差し込んでください。
山里さんが「日本」のカードを差し込むと、ダッシュボードに緑、オレンジ、黄色、赤のライトが点灯しました。
達成状況ごとに色分けされたダッシュボード
三國 日本の達成状況が項目ごとに色分けされています。注目していただきたいのが、赤が点灯している5番の「ジェンダー平等」です。
山里 確か日本、ものすごく低いんですよね。
三國 世界経済フォーラムが毎年、ジェンダーギャップ指数を発表しますが、日本は148カ国中118 位(2025年)。低い理由の一つは国会議員の男女の比率です。20%前後しか女性議員がいないので、数値を落としてしまっています。
山里 海外では女性の国会議員が多いんですか?
三國 例えばアフリカのルワンダはいま、世界で一番女性の議員が多い国ですが、女性の比率が50%を超えています。日本はかなり後れを取っていますね。
山里 そんな中で総理大臣が女性になったのって、結構すごいことなんですね。達成している国を参考にすれば、改善できることもありそうですよね。
教育のコーナーに移ると、さまざまな数字が書かれたパネルが現れました。三國さんが「2億7,200万人」という数字をさし、山里さんに尋ねます。
教育に関する数字が並ぶパネルの前に立つ山里さんと三國案内人
三國 何の人数だと思いますか?
考え込む山里さん。三國さんがパネルを裏返すと、「世界で2億7,200万人の子どもや若者が学校に通えていません」という説明が。
山里 ええ! これだけの子どもが学校に通えていない?
理由を書いたパネルが、後ろのボックスに隠されています。「学校に通うお金がない」「親が学校の必要性を認めない」……。順番に引き出して読んでは、深くうなずく山里さん。「働いて家計を助けなければならない」というパネルで、手が止まりました。
山里 僕はフィリピンで貧しい港町に行ったんですが、小学2、3年生の子たちが午前4時ぐらいまで漁に行って、そのまま学校に来るから、勉強が全くできなくて。しかもお金がないから給食もお弁当もない状態で、学校に行かなくなる子がたくさんいました。親も「行かないで手伝えばいいじゃん」っていうふうになるんですね。
文字の読み書きができないことを疑似体験する「識字ボックス」という展示もあります。三國さんが「どうしよう、弟が熱を出しちゃった! ほかに誰もいないし、一人で薬を買いに来たんだけど……」と書かれたボックスを開けると、スワヒリ語のラベルが貼られた瓶が三つ並んでいます。
三國 この中から一つ、熱冷ましの薬だと思うものを選んでください。
スワヒリ語の瓶が並ぶボックス
山里 そうか……字が読めないって、こういうことですもんね。雰囲気でいくしかない。これだな。
スワヒリ語を読めない山里さん。ラベルを見つめ、瓶を一つ手に取りました。裏返すと、現れた文字は――。
山里 うわー、最悪だ。農薬。一番ダメなやつじゃないですか。
三國 これを「熱冷ましだよ」と弟に渡してしまうと、命に関わることもあるわけです。読み書きができずこうした不利益を被っている人が、世界には約7億3900万人いるとの調査結果もあります。
山里 だから言葉や文字を教えに行くことも、立派な活動になるわけですね。字を覚えた子たちは人生の選択肢の幅が広がって、やりたいことを見つけて挑戦して。それがすごい発明や開発につながって、未来の僕たちを救うかもしれない。
山里さん、次は鉄道の模型に目が留まりました。
山里 カッコいい。これ、何ですか?
インドの地下鉄「デリーメトロ」の鉄道模型
三國 これはインドの地下鉄「デリーメトロ」です。約20年前に開発が始まり、いまは総延長距離約390キロ。日本の東京メトロの195キロを上回りました。
山里 えっ! 東京メトロって相当な長さで張り巡らされてますよ!
植田 JICAはデリーメトロの整備に初期から協力してきました。また、バングラデシュのダッカメトロやベトナムのホーチミン市メトロにも関わっています。
山里 僕はJICAの取材でフィリピンの地下鉄工事現場に行きましたが、現地の人たちに「日本から働き方の意識を学んだ」と言われたんです。働く環境の大切さ、ルールや礼儀、そうしたものへの感謝の言葉をたくさん聞きました。駅に日本の国旗もありましたしね。
マニラの地下鉄工事現場を視察し、現地の作業員と記念撮影する山里亮太さん(1列目左から3人目)
植田 インドの地下鉄事業ではインフラが整備されただけではありません。整列乗車などのマナーが向上したほか、女性専用車両ができて、女性の社会進出につながったんです。
山里 インフラの国際協力って、社会の構造まで変えるんですね。
整列乗車が定着したデリーメトロ(久野真一さん提供)
その後もさまざまな展示を体験した山里さん。最後に、来館者が未来へつなぐメッセージを貼るボードに、こんな言葉を加えました。
「世界を知ると他人事(ひとごと)はなくなる やりたい事が一気に増える」
ボードの前で、未来へつなぐメッセージを書き終えた山里さん
山里 やっぱり知ることが大事。自分事なんだと思って考える。行動する。今日はそんな選択肢が増えることの楽しさを得ることができました。ところで植田さん、そもそもJICAはなぜ、こうした学びを重視しているんですか?
植田 世界のさまざまな課題は1カ国では解決できないものばかりだからです。私たち一人ひとりがさまざまな問題を知り、考え、行動することが大切だと考えています。
山里 地球ひろばに来ることが大事なスタートラインになると思いますね。
植田 ここまで来られない方々のために、協力隊の経験者やJICA職員が講師として体験を伝える対面型の出前講座や、途上国でいま活動している隊員たちとリアルタイムで交流できるオンライン出前講座も行っています。
マダガスカルと日本の子どもたちをつなぐオンライン出前講座
山里 いやー、JICA地球ひろば、本当に来てよかった。楽しかった。僕は情報番組などをやっていて、いろんな情報を見聞きしていると思っていたんですが、何も知らなかったことに気付きました。まだこんなことができるかもしれない。そう考えるきっかけが、そこかしこにあって、ワクワクしました。すてきな場所だと思いました。
世界を知ることが未来を変える一歩になる――。
地球ひろばは全国に8カ所あり、地域ごとに特色のある展示をしています。ぜひお近くのひろばにお越しください。