所長あいさつ

ご挨拶

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2020年2月に所長として着任した遠山慶(とおやま けい)です。イラクは政治や治安の不安定さは残りますが、JICAは関係する全ての人とともに粘り強く課題解決に取り組み、少しでも早く支援の果実が人々に届くよう努力し、イラクの復興と国づくりに協力します。

イラクという国

チグリス川とユーフラテス川が形成した広大で肥沃な土地を持つイラク。この地で、世界最古のメソポタミア文明が育まれ、都市文明と農業が発展してきました。20世紀に入ってからは世界第5位の埋蔵量を有する産油国として、石油資源を背景とした工業化に取り組んできました。豊富な人的資源に加えて国民の教育水準は高いレベルにあり、自立発展のポテンシャルは非常に高い国と言えます。

しかし、1980年のイラン・イラク戦争以降、湾岸戦争、イラク戦争と、その後の国内での騒乱を経験し、長らく発展の機会を逸してきました。さらに2014年以降はISILにより復興への取り組みは停滞を余儀なくされましたが、2018年以降、ようやく復興に向けた動きが本格化しつつあります。

イラクの復興と経済成長には課題が多く存在します。1人当たり国民所得は5,878ドルで「中進国」に分類されますが、現実の人々の生活レベルは厳しく、度重なる戦争で経済・社会インフラが破壊され、多くの人々が劣悪な環境下での生活を余儀なくされ、失業等の社会不安にもつながっています。インフラの復旧に加え、産業の多角化と雇用の創出、行財政改革なども喫緊の課題です。

日本/JICAからの支援

日本政府は、2003年のイラク復興支援国会合で総額50億ドルの支援を表明し、JICAもイラク支援を本格化しました。2009年にはフィールドオフィスを置き、2011年には正式にイラク事務所を開設しました。この10年間で、合計31件、約8300億円の円借款を供与し、電力、港湾、橋梁、上水道、灌漑、通信などのインフラ整備を支援し、完成案件も次々にでてきています。また、2003年以降、約1万人のイラクの人々を対象に日本・第三国で研修を実施するなど、自らの国を支える人材育成のための技術協力を行ってきています。JICAはこれからも、1)経済成長基盤の強化、2)民間セクターの活性化、3)生活の質の向上、4)ガバナンスの強化を重点に協力を行っていきます。

結び

一つ一つの地道な積み重ねが、イラクの復興と発展につながり、さらには日本とイラクの関係が一層強化されることを目指します。そのため、読んでいただいた皆さまのお力もお借りし、ともに取り組みたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

JICAイラク事務所長
遠山 慶