2026年4月より、国際協力機構(JICA)イラク事務所長を務めております。
【イラクとJICAとの関わり】
イラクとJICAの協力は、2003年にスペイン・マドリードで開催されたイラク復興支援国会合において、日本政府が総額50億ドルの支援を表明したことに始まります。それ以来、日本はイラクの復興と発展に長年にわたり寄り添い、共に歩んできました。
当初は、日本および近隣国での研修事業を通じた人材育成からスタートしました。その後、2008年には同国初となる円借款事業が実現し、エネルギーや道路・港湾をはじめとする基幹インフラの整備、また上下水道、病院や灌漑施設整備など、イラクの経済基盤を支える支援を積み重ねてきました。
現在では、研修参加者は1万人を超え、円借款は36件、総額約1.3兆円にのぼっています。また、2021年にはイラク最大の商業港ウンム・カスルにおいて、イラクにとって新しい支援形態となる海外投融資を通じた民間事業者による新ターミナル整備を実現し、現地でのオペレーションも既に開始されています。こうした取り組みは、イラクの持続的な発展を支える基盤として着実に実を結びつつあります。
多くの方の思いとともに、JICAは2009年にフィールドオフィスを設置し、2011年には事務所を開設しました。今年で15年目を迎えます。これまで築いてきた信頼関係を大切にしながら、引き続き現地に根差した協力を進めてまいります。
【これからのイラクとJICA】
2026年5月、イラクでは約半年の政治的空白期間を経て新政権が発足しました。昨今の不安定な中東情勢の中にあっても、こうした変化の局面だからこそ、イラクの今とこれからに真摯に向き合うことが重要だと考えています。
新政権の開発方針を踏まえながら、今何が求められているのか、JICAとしてどのような支援ができるのかを丁寧に、かつ積極的に検討していきたいと思います。
そのうえで、イラク政府関係者に加え、日本を含む民間企業の皆様とも対話を重ねながら、多様なパートナーとの共創を通じて、イラクの持続的な発展につながる取り組みを進めていきたいと考えています。
これからも「信頼で世界をつなぐ」というJICAのビジョンのもと、事務所開設15年の節目を迎え、日本とイラクの友好関係をさらに深め、その発展に貢献していきます。
2026年5月
イラク事務所長
内田 久美子