所長あいさつ

日本では、新年度が始まりました。ケニアでも、長かった選挙期間がようやく終わり、「新たな始まり」を感じています。

2017年、ケニアでは2回の大統領選挙が行われました。その過程では、残念ながら、民族間の対立や政治上の分断がありました。

しかし、選挙は終わりました。そして、2018年3月9日に、ウフル・ケニヤッタ大統領とライラ・オディンガ氏が、共同声明「新しいケニアへ橋をかける(Building Bridges to a New Kenya Nation)」を発表したことに、1963年の独立以降、よきパートナーとしてケニアを支えてきたJICAの現地事務所長として、心からの祝意を表します。

ケニヤッタ大統領は二期目となる次の5年間の主要課題として(1)食料・栄養の保障、(2)手ごろな住宅の確保、(3)製造業の推進、(4)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の4つの柱を、「ビッグ・フォー(the Big 4)」として打ち立てました。

JICAはこれまでもずっと、「ビッグ・フォー」の各課題に対し、ケニア政府、ケニア国民とともに取り組んできています。一例として、食料安全保障の分野ではRice-Mappプロジェクトを通じて米の生産性向上を実現し、UHCでは円借款による財政支援と専門家派遣の組合せでケニア政府のUHC推進政策の立案と実施を支えてきています。

また、JICAは、2016年8月にナイロビで開催されたTICAD VIの成果文書「ナイロビ宣言」の3つの柱に対応した活動を行ってきていますが、ビッグ・フォーはナイロビ宣言の柱とも重なり合っています。

JICAは今後も、ケニアとアフリカのニーズに応える開発協力を促進していきます。

昨年の選挙を通じ、私たちはケニアが様々な面、民族、言語、宗教、気候・環境などにおいて、多様性に富む国であることを再認識しました。

選挙期間中に、いくつかの郡の内部で(政治的・民族的少数派に対する)排他的・差別的な対応が見られた際に、2010年の改正憲法に基づく地方分権化(Devolution)に紐付けようとする動きもありました。

JICAは地方分権化の真の意義に即し、人々に直接、行政サービスを提供する郡政府レベルの能力強化・人材育成を引続き支援していきます。

そして、ケニアの人々が、互いに結びつき、調和し、安定した国づくり、誰もが取り残されていると感じない国づくりへの努力を続けていけるよう、支えていきたいと希望しています。

最後にこの場を借りまして、全ての関係者の皆様へ、JICA事業へのご理解とご協力に対しお礼を申し上げます。

JICAの新しいビジョン「信頼で世界をつなぐ」が示すとおり、JICAはその活動を通じ、信頼で世界をつなぎ、人々が明るい未来を信じ多様な可能性を追求できる世界を目指していきます。

2018年4月
ケニア事務所長
佐野 景子