所長あいさつ

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2016年8月27-28日にTICAD VI(第6回アフリカ開発会議)がナイロビで開催されました。ケニアは、初のアフリカ開催というプレッシャーをチャンスに替え、開発におけるアフリカ自身のオーナーシップを強く印象づけるとともに、日本をはじめとするアフリカ開発の支援国・機関にとってケニアが頼もしいパートナーであることを証明しました。ケニヤッタ大統領は、安倍総理大臣、イトゥノ・チャド共和国大統領(AU議長)と共同議長を務め、アフリカの課題と今後の取り組みを「ナイロビ宣言」及び「ナイロビ行動計画」としてまとめました。心配された治安面でも特段の事故・事件はなく、蓋を開けてみれば過去の会議をはるかに上回る参加者数となりました。アフリカ53か国、開発パートナー各国、アジア諸国,国際機関・地域機関に加え、民間セクター、NGO等市民社会の代表など総計11,000名以上、そのうち日本からは約3,000人が参加しました。特に安倍総理同行ミッションとして77の企業及び大学等の代表が、自社製品の展示・紹介、アフリカ各国との覚書署名等を行ったことは、日本が官民で連携してアフリカの開発を支援するという「公約」の具体的なアクションとして、アフリカ側から歓迎されました。

JICAは、テーマに即した様々なサイドイベントを、各界からパネリストを迎えて開催し、「ナイロビ宣言」の議論に大きく貢献しました。また、JICAケニア事務所では、これまでは日本開催で遠く感じられていたTICADを、開催国としてケニアの人々が身近に捉え、関心を持って一緒に盛り上げていけるようにしたいというケニア政府の熱意に応じ、各種広報ツール(パンフレット、新聞記事、広告等)を共同制作しました。市民の皆さんの反応もよく、ケニア政府から高い評価と感謝の言葉を頂き、事務所員一同うれしく思っています。

大成功に終わったTICADVI。JICAは、そのフォローアップを実施中です。「ナイロビ宣言」の3つの柱(1)経済の多角化・産業化を通じた経済構造改革の促進、(2)質の高い生活のための強靱な保健システム促進、(3)繁栄の共有のための社会安定化促進、の下、当事務所は、ケニアに加え、兼轄するエリトリア、セーシェル及びソマリアについても、それぞれに大きく異なる開発課題やニーズを丁寧に分析し、人々の期待と信頼に応える、JICAならではの協力に取り組んでいきます。私はアフリカ駐在が3回目となりますが、特に戦後の日本の高度成長−外部の援助の活用や成長の過程で生じた負の影響への対応も含む日本の経験が、今のアフリカに役立つと確信しています。一方、アフリカにも、長い歴史の中で育くまれた素晴らしい伝統や文化があり、また、音楽やスポーツでの世界的な活躍は誰もが知るところです。JICAの協力が一方的な価値の押し付けではなく、アフリカの誇り(プライド)と溶け合うようにして、開発を着実に進める一助となる−そのような協力を行っていきたいと考えています。

最後に、2017年は、ケニアは8月8日の投票日に向けて「選挙」が国民の最大の関心事となります。前々回の2007年12月の選挙では、結果を巡る抗議行動が次第に部族間の対立を煽る形で大規模な暴動に発展し、1,000人以上の死者と50万人以上と言われる国内避難民を生み出す事態となりました。ケニア国民にとって悲劇の記憶は今も鮮明であり、惨事を繰り返さないという共通の願いをよりどころとして、平和裏に次回総選挙が実施されること、「頼もしいケニア」でいてくれることを強く願っています。

平和で、誰一人、開発の恩恵から取り残されない世界に向けて、JICAケニア事務所は引き続き努力してまいります。今年も当事務所の活動を応援していただきますよう、お願い申し上げます。

2017年2月
ケニア事務所長
佐野 景子