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お風呂の栓を抜いて水を流すと、北半球では反時計回りに渦ができ、南半球では時計回りに渦ができるそうです。では、赤道直下ではどうなるかご存じですか。
赤道直下の観光地では、穴をあけたお皿から水を落とすパフォーマーがいて、北半球と南半球を行ったり来たりして、渦の向きが変わる様子を見せてくれます。でも実は、赤道から数メートル程度の緯度の差、水の量では、渦の向きに影響がないらしいので、あくまで演者のテクニック、パフォーマンスとして楽しむ、というのが嗜みのようです。
ケニアは、アフリカにある赤道直下の国です。とても暑い国だと思われがちですが、意外にそうでもありません。もちろん季節によりますが、首都ナイロビの標高は約1800mで、基本的にはカラッと涼しい気候です。朝はむしろ寒くて、薄手のダウンジャケットを着て通勤して丁度よいくらい。車は左側通行で、道行く車のほとんどは日本車です。100以上の日本企業がナイロビに出先を持ち、日本人会には700名以上の会員がいます。日本食材を販売するお店も日本料理屋さんも複数あり、とてもありがたい環境だと思います。
約30年前に一度、ケニアにいたのですが、昔とあまり変わらないなぁと思うのは、1)部族間の利権争いが顕著(地元の政治家への期待が過大)、2)インフォーマルセクターが大きい(労働人口約2000万人の中で、正規雇用者は推定約310万人。その約70%は月5万円以下の給与所得者。)3)足元の利益を我先に取りに行く姿勢(長期的な視野、公平で透明な制度やサービスに欠ける)、4)法の下での平等が妙に定着している(訴訟に関わる機会が多い)こと。逆に、変わったなぁと思うのは、お札がきれいになった(電子通貨M-PESAが普及し、食事を食べた手をお札でさりげなく拭く必要がなくなったのかも)、マタツ(乗り合いバス)が一層派手になった(これに代わる公共交通機関が発達していない)など。
世界に目を向けると、不安定な経済情勢、ウクライナ問題、気候変動、テロリズム、ウイルス感染の拡大、食糧危機など、現在我々は複合的危機に直面しており、この克服のため、価値観の相違や利害の衝突等を乗り越えた協力が求められています。これら国際的な協力による開発課題改善への期待を踏まえ、今後も、アフリカのニーズに応える開発協力を促進していきたいと考えています。
民間企業、NGO、大学・研究機関等の開発パートナーとの連携を強化し、JICAがこれまで培ってきた経験に、新しいアイデアやイノベーティブな技術を取り込んで、より効果的な協力を探求していきたいと考えていますので、みなさま、引続きご支援のほど、よろしくお願いします。
2025年1月
JICAケニア事務所長
晋川 真
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