所長あいさつ

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皆様、こんにちは。
いま日本では、タジン鍋、アルガンの油、バラのエッセンス、髪に付けるヘンナやガスールが流行っていますが、これらはモロッコ原産の製品だったことをご存知でしょうか。それに加えて、モロッコのスリッパ(バブーシュ)や刺繍製品がインターネットで購入できて、モロッコ産品の日本進出には目を見張るものがあります。
モロッコは、「アラブの春」の以降に北アフリカ・中東の各国で治安が乱れたのと比較して、政治的な安定を見ています。それゆえ、経済成長も続いており、首都ラバトと経済都市カサブランカには近代的な市電(トラム)が走るようになりました。加えて、マラケシュやフェズなどの観光都市にも大型のショッピングモールが開店し、時代の移り変わりを感じます。

皆様が業務や観光でモロッコを訪れた際には、知らないうちに円借款事業による成果に触れられることになります。
例えば、カサブランカおよび南の都市アガディールにある高速道路、地中海地方の海岸道路は、円借款事業による支援により建設されています。また、水道をひねって飲む水も、上水道整備事業により、そして、モロッコ国鉄の車両を牽引する機関車も、輸送力増強事業により整備されたものです。レストランで食べる海産物は、長く水産分野での技術協力の成果として、JICAの専門家より訓練を受けた船員、漁師、港湾職員、水産物加工職人の手を渡ってきたものかもしれません。

このように、目に見える国の発展に対して、モロッコは開発課題を持っています。それは、国連の発表する「人間開発指数」では、全世界187位中、130位に留まっていることが示すように、主に教育や保健などの社会サービスの質の向上が求められているのです。
JICAは、地方における母子保健の改善を目指して、女性の健康手帳の配布や母子学級の実施を支援しています。その中で、青年海外協力隊員が、学校で衛生向上のための保健キャラバンを行ったり、病院で5Sや「カイゼン」といった品質管理手法を普及したりしています。そして、新たな円借款事業としては、地方部の女子の中学校就学率を向上させるため、中学校の建設を進める予定です。並行して整備される地方道路や上下水道により、地方部の住民の生活が向上することが期待されます。

今後モロッコは、ヨーロッパ、中東、そして、アフリカへの接点として、地理的な利点を生かし、この地域の産業・交易の基地になってゆく可能性があります。そして、これまでの協力の成果を生かし、JICAと共に、より支援を必要とするサブサハラ地方のアフリカや北アフリカ・中東諸国への援助を広げてゆくことができると考えています。

モロッコ事務所
所長 辛島 朝彦