所長あいさつ

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アフリカ西部に位置し、アフリカ最大の人口(約1億8200万人(2016年推計))を擁するナイジェリアは、アフリカ最大級の経済規模を誇ります。原油価格が高騰していた頃は、潤沢な原油収入を元手に「何でも輸入」すれば良かったのですが、油価が下落した現在、それまでのような高収入が得られず、簡単に増税することもできない中、国家運営のための資金やノウハウを国際社会に支援してもらわねばならない状況に陥っています。

日本の2.5倍もある広大な国土に、熱帯雨林からサバナ、ステップに至る幅広い気候、1500mを超える高原地域も抱えるナイジェリアは植生も豊かであり、この国の農業ポテンシャルの高さを疑う人はいないでしょう。その気になれば国内人口の胃袋を満足させることなど朝飯前でしょうし、もしかすると西アフリカの台所になれるかも知れません。そのためにナイジェリアは今、原油一色の経済からの脱却を図るべく、農水産業の強化に乗り出したところです。JICAは、これまでも小規模農家を対象としたコメの収穫後処理に関する協力などを行ってきましたが、今後も小規模農家の能力強化とコメの品質向上を前提に、現地に根付く技術協力を進めます。

国家財政運営が厳しくなると、真っ先に影響を受けるのは常に弱者です。開発途上国では一般的にセーフティネットが定着しておらず、ただでさえ不足する保健や教育・社会保障等の予算は更に削られることになります。そこに致死率の高い感染症などが大流行すると、女性や子ども、病人、貧困層といった弱者が更なる窮状に追いやられます。JICAは、安全なお産や、貧困層が無理なく医療施設にアクセスできるような保健システムの実現に向けて協力を行ってきましたが、今後は感染症の予防と対策強化も含めた保健システムの強化に向けて協力を進めます。

また、経済規模で肩を並べる南アフリカの電化率が7割を超える一方、ナイジェリアの電化率は未だに4割未満といわれています。そのような慢性的かつ絶対的電力不足に喘ぐ中、2013年にナイジェリアの国有電力事業は、ビジネスに繋がりにくい送変電部門を残し、発電部門と配電部門が民営化されました。その結果、民間投資による発電所の建設事業は増えましたが、送変電施設の建設や修繕が追いつかず、電気料金も適切に回収されず、従って発電用ガスの調達もできないという悪循環に陥っています。JICAは、送変電部門への資金協力支援を軸に、産業の発展やエンドユーザーたる住民への裨益を考え、持続的な電力の安定供給に向けて協力しています。

JICAナイジェリア事務所は、このような多くの課題を抱えるナイジェリアの発展に向け、日本の得意分野や技術を生かした協力を続けていきます。

ナイジェリア事務所長
中村 浩孝