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「アフリカの巨人」と呼ばれるナイジェリア。
その名のとおり、たくさんの魅力がつまった国です。

首都アブジャの独立の父とも呼ばれる「ナンディ・アジキウェ」の名を冠した国際空港に降り立つと、人々の熱気が溢れ、まさに成長期のアフリカの国を実感します。ナイジェリアの人口は2億3千万人以上、2050年には世界第3位の人口大国になると予測されています。経済規模はアフリカ大陸の上位に常に位置しています。

民族は250以上、言語は500以上と言われる多民族国家。首都には荘厳な国立のモスクと教会がそれぞれ存在します。まさに多様性に満ち溢れた国です。多様な民族から輩出される文化や芸術は、人々の日々の華麗なファッションや豊かな食生活からも感じ取れます。また、ノリウッド(Nollywood)として知られる映画、アフロビート(Afrobeats)の音楽、現代アートの発信地としても注目されています。

私の赴任直後の10月1日、ガソリンスタンドに行くと、店員から「Happy 65th Independence Anniversary」と元気に声をかけられました。

10月1日はナイジェリアの独立記念日です。1960年の独立から、軍政時代もありましたが、1999年以降は一貫して民政の政権が続いています。

独立記念日の式典では、経済政策の振り返りがなされました。政府は、財政の負担となっていた燃料補助金の廃止や為替レートの統一を実施。これにより短期的には通貨ナイラの大幅下落とインフレの急騰を引き起こしましたが、政府は「最悪期は脱した」との見方を示し、GDP成長率の回復、インフレの低下、外貨準備の増加などの成果を強調しました。

当日は伝統的な大規模なパレードをキャンセルするなど、祝賀よりも反省と将来の誓いを重視する姿勢が象徴的でした。

人口・経済・多様性のいずれにおいても、ナイジェリアはアフリカの複数国を一つにまとめたかのような大国です。15カ国が加盟する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)においては、ナイジェリアは創設メンバーかつ最大の出資国であり、加盟国GDPの約60%、人口の約50%を占め、最も多くの平和維持軍を派遣しています。経済・人口・軍事面において「中心国(anchor state)」として圧倒的な存在感を示しており、西アフリカでのビジネスや事業展開を考えるうえで欠かせない国です。

民間セクターを中心に、より良い兆しも見え始めています。ナイジェリアは有数の産油国でありながら、長年、石油製品精製設備がなく、原油を輸出してガソリンを輸入してきたことから、大幅な貿易赤字の要因となっていました。ラゴス近郊では世界最大規模の民間製油所が稼働を開始し、経済構造転換の切り札として期待されています。

また、国内外で経験を積んだ若い優秀な人材が起業し、社会課題を解決するビジネスに取り組む事例も増えており、ナイジェリアはアフリカ大陸における重要なスタートアップ・エコシステムの拠点として注目されています。

ナイジェリアでのビジネスや業務は決して容易ではありませんが、「ナイジェリアで成功できれば、どの国でも通用する」と言われるほどの奥深さがあります。何より、人々は陽気でホスピタリティにあふれ、仲良くなれば「ブラザー」、「ファミリー」として親身に接してくれます。

一方で、直面する課題も多く、製造業・農業振興による雇用創出、教育・保健サービスの普及、地域間格差の是正など、長期的視点に立った政策の実行が求められています。外国企業の進出に当たっては、不安定な電力供給、行政手続の遅延、治安問題などが依然として課題です。

JICAは1977年に現地事務所を設置し、事業を推進してまいりました。現在は、以下の3つの重点分野で活動しています。

この「巨人」の国をどのように観察し、行動するか。私たちの眼力と熱意、そして忍耐力が試されていると感じています。政府機関のみならず、ダイナミックな民間企業、他の援助機関、NPOとの連携を深めながら、ナイジェリアの経済社会発展に貢献してまいります。

2025年10月
JICAナイジェリア事務所長
石亀 敬治