2022年度3次隊JICA海外協力隊派遣前訓練修了式

2022年度3次隊JICA海外協力隊59名の修了式を執り行いました。JICA二本松での訓練期間は、10月19日から12月8日までの51日間。派遣予定国数は15か国です。代表答辞を務めたのはナミビアへ「電気・電子設備」で派遣される予定の加藤 穂高隊員でした。以下に全文の写しを掲載します。

2022年12月7日

隊員代表答辞(全文)

安達太良山が雪化粧をし、本格的な冬の訪れを感じる時節となる中、二本松訓練所での日々も終わりを迎えることとなりました。
 本日はご来賓の皆様、田中所長他スタッフの皆様、語学講師の皆様のご臨席のもと、このような修了式を挙行していただきましたことを、心より御礼申し上げます。本日をもって、私たちJICA海外協力隊二〇二二年度三次隊五十九名は、だれ一人欠けること無く、派遣前訓練を修了いたします。

 私たちは、多くの方々のご支援をいただいているからこそ、今日この日を迎えることができました。美味しい食事や丁寧な清掃によって、訓練生活に集中できるよう支えてくださる商船三井興産株式会社の皆様、任国で活躍するための土台である言語能力が身につくよう、厳しくも暖かく指導してくださる、語学講師およびバークレーハウスのスタッフの皆様、私たちの健康を守るために多くの制約が必要な状況の中、様々なサポートをしてくださるJICA・JOCAスタッフ、診療室、よろず相談室、各講座の講師の皆様、並びに私たちを温かく迎え、応援してくださっている「にほんまつ地球市民の会」をはじめとした、二本松市の皆様、この訓練に関わり、支えてくださっている全ての皆様に厚く御礼申し上げます。
 
それに加えて、訓練の中で私たち五十九名の間に生まれた絆、この絆こそが、今日こうして全員で修了式を迎えられたもう一つの理由だと思います。今から私たちが絆を育んだ軌跡をお話しします。
 振り返ると、まだ残暑が感じられた十月十一日、私たちはそれぞれの期待と不安を抱え、都内のKKRホテルに集まり、人生の新たなステージに立つための第一歩を踏み出しました。感染症対策のため、自分の部屋以外ではマスクを外せず、パソコンの画面越しでしか素顔を見ることができない中でも、オンライン講座や隊員の自主的な創意工夫を通して、私たちはお互いを知っていきました。隊員全員のLINEグループを作ったり、個性的な自己紹介シートを共有したりする中で、十人十色のバックグラウンドを持つ私たちは、次第に打ち解けることができました。

 八日間のリモート型派遣前訓練はあっという間に終わり、十月十九日、ついにこの二本松訓練所での生活が始まりました。起きている時間のほとんどを語学に費やし、同時に異文化理解、健康管理、安全対策といった任国での円滑な活動に必要な基礎知識も学ぶ必要がありました。学習量の多さや、コロナ禍での制限によるストレスが蓄積される中でも、私たちはお互いに励まし助け合いながら、真摯に訓練と向き合い、一日一日確実に成長していきました。そして、豊かな自然に囲まれたこの地で、朝日や皆既月食、流星群を一緒に眺め、温泉で疲れを癒やし、安達太良山登山や二本松の菊人形などを楽しむことも忘れませんでした。有志による自主講座の企画もダンス、経口補水液、インプロ、運動会、ドローンなどバラエティに富んでおり、また、この隊次らしいデザインのポロシャツやグッズを作ることもできました。このように協力してお互いを高め合う空間を作り上げることで、私たちの絆は確実に深まっていきました。
 同期が五十九名ということで、訓練期間中にほぼ全員が一対一で言葉を交わし、お互いの名前や派遣国を覚えることができました。そして、秋篠宮皇嗣同妃両殿下と直接お話しする機会を全員が持てたのも貴重な経験でした。
ここで一つ個人的な話をさせて頂くと、この答辞は、私ひとりで考えたものではありません。六人の生活班の班長全員で考えました。「支え合う事でより良いものが生み出せる。」そのような感覚を持つことができたこの隊次では、ごく自然に、修了式で感謝の気持ちを伝える言葉を、班長全員で考えようという共通認識が生まれました。私がこの隊次の一員で、本当によかったと感じた出来事でした。

これから私たち五十九名は、それぞれ任地へ旅立ち、この二本松訓練所やリモート訓練で培った知識、能力、絆を胸に二年間の活動を開始します。訓練中に多くの方々から教えて頂いたように、私たちの未来には多くの困難が待ち受けていることでしょう。ですが、このコロナ禍で、待ちに待った派遣を迎える同期隊員や、任期途中で帰国せざるを得なかった先輩方の思いを私たちは聞いています。そして、家族や友人、恩師や職場の同僚など、様々な方々に背中を押して頂きこの場に立っている隊員も沢山います。他の方の思いを背負うことは、時に重圧にもなりますが、私たちは皆、その思いを困難に打ち勝つ力に変える強さを備えています。
 それでも、自分一人では心が折れてしまいそうな時は来るかもしれません。そんな時は、この訓練を通して生まれた五十九名の絆が、私たちに安心感や勇気を与えてくれることを、私は信じています。

 最後に、私たちはそれぞれの任地に行ってからも、この訓練を通して育んだ絆を大切にし、お互いを励まし助け合い、全員無事に笑顔で日本に帰ってくる事を約束し、答辞とさせて頂きます。

二〇二二年十二月七日
二〇二二年度三次隊
JICA海外協力隊 加藤穂高

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