jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

所長あいさつ

アルゼンチンは、日本から最も遠い国ですが、2026年には移住140年を迎える日本人移住の歴史を背景に中南米第3位の規模とされる日系社会が形成されています。そして、日系社会による文化の発信は、当国での対日理解を深め、「日本に対する信頼感」という何ものにも代えがたい素晴らしい功績を残されています。

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アルゼンチンでのJICA事業は1950年代から幅広い分野で展開されてきました。

長年にわたる協力による成果として、例えば、日本人移住者への技術支援を目的に1977年に設置されたJICAの旧園芸総合試験場は、2004年にアルゼンチン政府に移管され、現在では、国立農牧技術院(INTA)花卉研究所として本邦企業とも連携しながらアルゼンチン固有の遺伝資源を国際取極めに基づいて適切に利用した育種開発を進めています。

国立ラプラタ大学獣医学部では、40年以上に亘るJICAとの協力関係を経て、現在は新型コロナウイルス感染症とも関係の深い人獣共通感染症対策の中南米有数の研究・教育機関となっています。

国立工業技術院(INTI)は、30年以上に亘るJICAとの協力関係の中で、包装、省エネルギー、そして経営管理の分野を扱い、現在では「KAIZEN」に代表される経営管理手法の普及・指導における中南米地域の拠点となっています。

また、これらの協力成果は、2001年に署名された「日亜パートナーシップ・プログラム」を通じて中南米諸国の人材育成という形で還元されています。

この他、国立ラプラタ大学における日本研究講座の拡充支援やアルゼンチン研究者と日本の研究者の共同研究を行う科学技術協力についても、積極的に取り組んでいます。

日系社会においては、従来の訪日研修を中心とした支援に加え、日系団体が行う活動や行事への支援、日本企業や自治体との連携やビジネス関係の調査等、新たな取り組みを始めています。

JICA海外協力隊についても、これまでに400名を超えるボランティアがアルゼンチン各地で活動し、配属先各機関から高い評価をいただいています。

時代と共に、JICAの事業内容も変ってきていますが、引き続き、アルゼンチンの発展とそして日本とアルゼンチンの絆をさらに強くするために取り組んでいきたいと思います。

皆様のご支援とご理解を何卒よろしくお願いします。

2025年6月
アルゼンチン支所長 石橋 匡