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2026年3月、国際協力機構(JICA)バングラデシュ事務所長としてダッカに着任いたしました。日本とバングラデシュは、独立直後から今日に至るまで50年以上の長きにわたり、信頼と友好に基づく関係を築いてきました。これまでバングラデシュの発展に関わってこられた多くの方々の努力と想いを受け止めながら、両国の友好関係をさらに深め、意義ある協力を積み重ねていきたいと考えております。
バングラデシュについて
皆さんは、バングラデシュについてどのような印象をお持ちでしょうか。
貧困や自然災害といったイメージが先に立つこともありますが、現在のバングラデシュは、大きな転換期を迎えつつあります。
1971年の独立当時、一人当たりGDPは120米ドル余りにすぎず、国の将来を楽観視できる状況ではありませんでした。しかし、その後の粘り強い努力と経済成長を背景に、近年は安定的な発展を遂げてきました。その結果、その一人当たりGDPは2026年には約2,900米ドルの水準まで成長すると予測されています。貧困率の大幅な低下に加え、初等教育就学率の向上や保健指標の改善、ジェンダー格差の縮小など、社会開発分野でも着実な成果が積み重ねられてきました。一方で、バングラデシュはミャンマーから流入した120万人以上のロヒンギャ避難民を抱えており、国内の開発課題に加え、人道的な観点からも難しい対応を迫られています。独立後の半世紀は決して平坦な道のりではありませんでしたが、バングラデシュは確実に発展の歩みを進めており、国際的にも注目される国の一つとなっています。
南アジアと東南アジアを結ぶ要衝に位置するバングラデシュは、地理的・経済的に重要な位置を占める国です。縫製産業を中心とした輸出産業が発展し、約1.75億人という若く大規模な人口を背景に、近年では製薬、建設、自動車、ICT、消費財の分野などでも日本企業の進出が進んでいます。バングラデシュ政府も外国投資の促進を重要政策として掲げており、さらなる経済成長が期待されます。
首都ダッカでは、JICAが協力した都市鉄道(MRT)が市民の重要な移動手段として定着し、バングラデシュ経済特区(BSEZ)や新空港、そして港湾整備を含むマタバリ地区一帯の開発など、さらなる発展を下支えする基盤整備が着実に進められています。
JICAによるバングラデシュとの協力
JICAとバングラデシュへの協力は、1973年に始まったボランティア派遣に遡ります。それ以来、人材育成や制度整備を中心とした技術協力、電力・運輸交通をはじめとするインフラ整備への円借款、地域や分野のニーズに応じた無償資金協力などを通じ、幅広い分野で協力を行ってきました。近年では、民間セクター開発、産業の多角化、人材育成、気候変動や防災への対応にも重点を置き、同国の自立的かつ持続可能な発展を後押ししています。
当地で様々な関係者の方と会う中で、バングラデシュの人々が日本に対して強い親しみと信頼を寄せていることを日々実感します。日本が独立間もない時期に同国を承認し、協力を続けてきた歴史は、今なお多くの人々の記憶に刻まれています。日本の協力が、人々の生活の改善や将来への希望につながってきたことは、私たちJICAにとって大きな励みです。
最後に
感染症の流行、気候変動に起因する災害、各地で激化する紛争など、世界は複合的な課題に直面しています。バングラデシュにおいても、こうした国際情勢の不確実性がサプライチェーン、エネルギー供給にも影響を及ぼすなか、産業構造の転換、都市・環境問題への対応、社会的に脆弱な人々への支援強化など、多くの課題が山積しています。
2016年7月、ダッカにおいて都市交通開発に携わっていたJICA関係者7名の日本人が、テロ事件により尊い命を失いました。私たちはこの悲しい出来事を決して忘れることなく、その志を心に刻みながら、平和で安全、そして持続可能な社会の実現に向けた協力を続けていきます。
JICAバングラデシュ事務所は、これまでに培われてきた信頼関係を礎に、日本とバングラデシュを結ぶ架け橋として、現場に根ざした協力を着実に進めてまいります。今後とも、皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2026年5月
JICAバングラデシュ事務所長
高橋 順子