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IT技術の活用を通して、ボツワナの可能性を拡げたい(松田信秀 職種:コンピュータ技術)

2024.12.19

アフリカ大陸の南部に位置するボツワナ共和国では、現在32名のJICA海外協力隊員が活動しています。そんな中、10月17日に2年の任期を満了して7名の隊員が帰国しました。
帰国直前に、ボツワナで過ごした日々について、現役隊員からインタビューさせていただきました。
本記事では、コンピューター技術隊員としてトロッケン教育大学に派遣された松田信秀さんのお話を紹介します。

早速ですが、松田さんの主な活動内容を教えてください。

首都から車で30分ほどの場所にある、トロッケン教育大学でコンピュータ技術隊員として活動しました。トロッケン教育大学は、教員の養成に特化した大学です。

私はコンピュータ技術隊員ですが、活動の目的は、当初の要請にあったシステムの構築や運用支援ではなく、それらの活動を通した人材育成と設定しました。ダイヤモンド産業への依存が大きく、産業の多角化と雇用機会の創出が国家課題であるボツワナにとって、人材育成が課題解決の鍵になると思ったからです。
この活動目的を念頭に置き、「①ネットワークシステムの運用支援」、「②各種新規システムの導入」、「③ICT関連教育」の3点を軸に活動しました。
大学に配属された当初は政府から提供されたパソコンや周辺機器も、その場に置かれているだけで使える状態ではありませんでした。ですので、同僚と一緒に活動を始められるシステム環境を整えるところからスタートしました。
また「世界に通用する質の高い教育と訓練を提供する」という本学のビジョンに共感して、e-ラーニングシステムの構築を行いました。先生がe-ラーニングのコースを作成するのを支援するだけでなく、本学の学生や先生が、世界の有名大学が提供しているオンラインコースを受講できる環境も整えました。

学生や同僚たちにデジタルツールの使い方を知ってもらうだけでなく、それらを活用して、受け身ではなく自分から使ってもらうことを目指しました。彼らには、 IT の活用を通して視野を広げてもらいたかったんです。
ボツワナは教育が無償化されていて、多くのボツワナ人は英語を話せます。そのアドバンテージを自覚して、「自分たちも世界で働けるんだ」と思って欲しいんです。今はインターネットを介して世界のことを知れますから、自分の可能性を知って、そして世界で活躍してくれるような人が出たら嬉しいです。
そしていつかボツワナに帰ってきて、ボツワナの技術力、産業を底上げして欲しいですね。

派遣される前のキャリアについて教えてください。

派遣前は金融機関の情報システム部で勤務していました。私が就職した30年前はまだインターネットの創世記とも言える時代で、日本語のドキュメントもなく、自分で試行錯誤しながら手探りで技術を身につけて仕事をしていました。そうして働いていく中で、IT領域では日本も海外も関係なく、培った経験をそのまま生かすことができると気づき、いつか海外に挑戦したいという思いを持っていました。

そして今回、早期退職の制度を利用して、退職してJICA海外協力隊に応募しました。
他の国でITを武器に、その国や人々をよくするために働きたいと考えたので、協力隊は目的に合っていると思いました。また、自分がその国で働くことによって少しでも日本という国を知って欲しい、好きになってもらいたいと思っています。

ボツワナで活動する上で大変だったことはありますか?

約束ごとに関する価値観の違いに特に苦労しました。
会議の開始時間になっても誰も来なかったり、期日を忘れられてしまうことが日常的にあって、着任当初はストレスを感じることも多かったです。リマインドをしたり、約束を守って欲しいとお願いしても中々変化がありませんでした。
しかしそれを繰り返すうちに、むしろ私の方が、彼らが日頃意識していないこと(時間厳守・期日厳守)を強要して、相手にストレスを与えてしまっていることに気がつきました。ここは日本ではありません。郷に入っては郷に従えで、どうしたら彼らが楽しく仕事をできるのかを考えて行動するようにしたら、次第に上手く行くようになりました。

具体的には、同僚に「これを教えるから何時に来てくれ」と依頼するのではなく、彼らからヘルプを求められたときに、対応可能な時間を答えます。彼らが時間通りに来たら、一緒に問題を解決して成功体験を共有するのです。これを繰り返すと、約束の時間に待ってくれていることが多くなりました。本人が成功するためにやる、楽しみに待っている約束は忘れないものですよね。

ボツワナに来てよかったと思う瞬間、出来事はありますか?

配属先で窃盗事件が発生し、学生の誤解で私が容疑者として疑われたことがありました。
その際に同僚が「松田はPrincipledだからそんなことはしない!」と否定してくれました。更に「何故、そう言えるのか?」と問われた同僚は「彼が日本人だからだ!」と答えてくれたのです。

私がここで活動している大きな目的の一つは、ボツワナの方々に日本を好きになってもらうことです。毎日真面目に働く自分の姿から、日本人に良いイメージをもってもらえたと感じられて、ボツワナに来て一番嬉しかった瞬間でした。

また、自転車を買って、見たことがないほど真っ青な空のもと、地平線の先まで続く道を初めて走った時は最高に気持ちよかったです。

これから協力隊に参加する隊員や応募を考える方へのメッセージ、アドバイスをお願いします!

アフリカは派遣にあたって初めて来ましたが、来れて本当によかったです。仕事で先進国に行く選択肢もありましたが、世界を良くしたいという自分の思いには直結しなかっただろうと思います。なので、協力隊を選んで正解でした。
これからどこに行っても、ボツワナで働いた経験が誇りになります。

会社員と違い、目標設定も達成方法も自分次第。働く自由度は高い反面、文化、習慣、言語が異なる環境で働くことは想像以上につらいこともあります。しかし、海外旅行だけでは味わえない、大きな満足感と貴重な経験を得られること間違いなしです。
もし、応募を迷っているならば、一歩、踏み出してみてはいかがでしょうか。

ボツワナに来てよかったと思う瞬間、出来事はありますか?

配属先で窃盗事件が発生し、学生の誤解で私が容疑者として疑われたことがありました。
その際に同僚が「松田はPrincipledだからそんなことはしない!」と否定してくれました。更に「何故、そう言えるのか?」と問われた同僚は「彼が日本人だからだ!」と答えてくれたのです。

私がここで活動している大きな目的の一つは、ボツワナの方々に日本を好きになってもらうことです。毎日真面目に働く自分の姿から、日本人に良いイメージをもってもらえたと感じられて、ボツワナに来て一番嬉しかった瞬間でした。

また、自転車を買って、見たことがないほど真っ青な空のもと、地平線の先まで続く道を初めて走った時は最高に気持ちよかったです。

これから協力隊に参加する隊員や応募を考える方へのメッセージ、アドバイスをお願いします!

アフリカは派遣にあたって初めて来ましたが、来れて本当によかったです。仕事で先進国に行く選択肢もありましたが、世界を良くしたいという自分の思いには直結しなかっただろうと思います。なので、協力隊を選んで正解でした。
これからどこに行っても、ボツワナで働いた経験が誇りになります。

会社員と違い、目標設定も達成方法も自分次第。働く自由度は高い反面、文化、習慣、言語が異なる環境で働くことは想像以上につらいこともあります。しかし、海外旅行だけでは味わえない、大きな満足感と貴重な経験を得られること間違いなしです。
もし、応募を迷っているならば、一歩、踏み出してみてはいかがでしょうか。

インタビュー・文:藤井ゆきこ(ボツワナ派遣、マーケティング隊員)

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