子どもたちが運動を楽しめる環境に(江口太陽 職種:小学校教育)
2025.05.22
帰国直前のJICA海外協力隊隊員へ、後輩隊員からボツワナでの日々についてインタビューを実施する本シリーズ。
今回は、小学校教育隊員として首都ハボロネのベンテマ小学校へ派遣された江口太陽さんにお話を伺います。ボツワナの体育事情とは、どのようなものなのでしょうか?
江口さんの主な活動内容を教えてください。
ボツワナの首都、ハボロネにあるベンテマ小学校で小学校教育隊員として活動しました。ベンテマ小学校は生徒数911名、34クラスとボツワナのなかでも比較的大きな学校です。
そのなかで、体育の授業を主に担当しました。大きな目標は「生徒の運動機会を増やす」「体力を向上させる」ことです。ベンテマ小学校ではコロナ禍以降体育の授業がほぼなくなり、子どもたちの運動機会が激減していました。また、グラウンドや用具が整備されておらず、グラウンドに出て遊ぶことも難しかったのです。
そこで、先生たちが体育の指導をできるような資料の作成や、グラウンドや用具の整備を行いました。体育はテストに関係がないため先生たちの優先度が下がりがちですが、その分自由に活動することができました。廃棄された机や椅子を解体して、平均台やストラックアウトの的も作りましたね。
一方、自分だけが取り組んでも持続性がないので、グラウンドのゴミ拾いは子どもたちと一緒に取り組みました。子どもたちはゴミをポイ捨てすることが当たり前になってしまっているので、この意識を変えないと綺麗なグラウンドを保つことは難しいです。今後の課題でもあると思います。
こうした取り組みの結果、グラウンドが使える状態になり、以前よりも外で遊ぶ子供たちが増えました。僕を真似して自ら廃材でボールを作って遊ぶ子もいて嬉しかったです。
体育以外には、算数も担当しました。算数では、3年生から急激に成績が低下するという課題を抱えていました。授業を観察したところ、教員が具体物(模型などの教具)をほとんど使っていないことに気がつきました。小学生に対しては、物を使って授業を行い、視覚的に理解を深めることも大切です。ですので、具体物を用いた補習授業をしたり、教員たちへの教具作成ワークショップを実施したりしました。
協力隊に参加されたきっかけを教えてください。
昔から海外で働きたいという思いがありました。そのなかでも、自分の仕事を活かせる教育分野か、長崎県が出身なこともあり、平和構築分野に携わりたいと思っていました。以前は日本の小学校で教員をしていましたが、定年まで学校現場で働き続けるイメージはあまりで持てず、他のことにも挑戦したかったんです。そのきっかけとして、協力隊に挑戦しようと決めました。
ボツワナで活動する上で大変だったことや、日本の教育現場との違いはありますか?
体育をするために来たのですが、赴任当初はグラウンドの状態がかなり悪かったことが最初に当たった困難でしたね。雑草も生え放題でしたが、草が硬く一人で刈るのは難しい状況でした。色々な人に相談したのですが、最終的に副校長に相談したらすぐに市に掛け合ってくれ、整備が進みました。
ボツワナでは物事が思うように進まないことも多いですが、このことから、決定権がある人に相談することが近道なんだと気づきました。つい近しい人から相談して返事を待ってしまうのですが、それだと忘れられてしまったりして進まないことが多いんです。すぐに動いてくれる人、すぐに動ける裁量がある人を見つけることが近道かもしれません。
ボツワナでの生活を一言で表すとなんでしょう?
『愛』ですね!学校の子どもたちからもたくさん愛をもらいました。スキンシップだけでなく「Letsatsi(江口さんのツワナ語ネーム)はこれまでで一番の体育の先生だ!」なんて言われたこともあります。これまで体育の授業がなかったので比較対象がないのが実のところですが、そう言ってくれるぐらい体育を楽しんでくれたのならよかったです。
先生たちも何かと気にかけてくれ、愛を持って接してくれてると感じました。よく声をかけてくれたり、明るくコミュニケーションを取ってくれました。慕ってくれる子どもたちや陽気な同僚のお陰で、学校に行きたくないという日はなかったです!
これから協力隊に参加する隊員や応募を考える方へのメッセージ、アドバイスをお願いします!
協力隊で活動した2年間で、世界が広がりました。活動したからこそ、次の進路に関しても選択肢が広がり、今は帰国後のチャレンジに向けて準備しています。
協力隊に参加することに対して、それで全てが決まるような感覚よりは、これをきっかけに何かを広げる気持ちで参加するといいと思います。たとえすぐにキャリアが変わらなくても、定年まで何十年もある生活のなかの数年間、全く違う文化や価値観のなかで揉まれるのはいい経験になると思います。
実は自分はこのボツワナが初めての海外で、行きの飛行機の中で遠くまで来てしまったなと思いました。ですが住んでみれば、意外とすぐ慣れるものです。心配ごとがあったとしても、案外なんとかなるので、気軽にチャレンジしてください!
インタビュー・文:藤井ゆきこ(ボツワナ派遣、マーケティング隊員)
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