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学内Wikiでつなぐ、帰国後のサポート(五十嵐 職種:コンピューター技術)

2025.09.09

帰国直前のJICA海外協力隊隊員へ、後輩隊員からボツワナでの日々についてインタビューを実施する本シリーズ。今回はコンピュータ技術隊員としてセロウェのセロウェ教育大学へ派遣された五十嵐さんにお話を伺います。初めての海外渡航がボツワナだったという五十嵐さんですが、どのような活動をされたのでしょうか?


早速ですが、五十嵐さんの主な活動内容を教えてください。

活動先は首都からバスで3時間ほどのセロウェという町にある、セロウェ教育大学です。ITオフィスの同僚と協力してヘルプデスク業務を行っていました。具体的には、スタッフや講師、学生らを対象に、PCやネットワーク関連のトラブル相談を受け、状況を確認して解決策を提案する業務がメインです。

加えて、スタッフや講師が快適にITリソースを利用できる状態にすることも目標に掲げていました。大学ではExcelを使ってデータ処理をすることが多いので、Excelにおける事務作業をVBAを使って自動化しました。また、新しいアプリケーションの導入にも挑戦しました。これまで学内にあるIT機器がどれぐらい使われているのか、どのようなコンディションなのかが大学側に把握されていませんでした。ですので、Zabbixという統合監視ツールを導入し、機器の稼働状況を自席から一括監視できるようにしました。

また、ヘルプデスク業務では、今までは依頼に対して都度対応していましたが、私の帰国後は同僚たちだけでトラブルに対応しなければなりません。ですので相談された内容を毎日記録し、その内容を中心に帰国後も使える学内用のWikiを作成しました。先ほどお話ししたZabbixもそうですが、Wikiアプリケーションの導入にはサーバの構築が必要でした。しかし、自分には実務経験が不足していたので、サーバ構築や仮想化技術の導入は、独学しつつ手探りで進めました。帰国後も、ITオフィスの同僚がWikiを手順書やTipsの共有に活用してくれていたら、とても嬉しく思います。


これまでのキャリアと、協力隊に参加されたきっかけを教えてください。

昔から国際情勢や社会問題などのニュースを収集し、世界の複雑性について考えるのが好きでしたが、これまで海外に行ったことはありませんでした。興味があるのに挑戦しないのはもったいないと思い、海外で誰かに貢献できる機会を探すなかで協力隊に挑戦することを選びました。

前職では、銀行のシステム部門に常駐して、ITエンジニアのサポートをしていました。エンジニアとしての経験はなく、日々の業務も事務的な内容が中心でしたが、同僚と技術的な事柄について円滑にコミュニケーションを取りたいと感じるようになり、 業務時間外に勉強して応用情報技術者試験に合格しました。この経験が、今回のコンピュータ技術隊員としての派遣につながったと思います。


ボツワナで活動する上で大変だったことはありますか?

語学にはかなり苦戦しました。特に語彙力が足りず、言いたいことを十分に表現できないフラストレーションに悩まされました。他の隊員が配属先でワークショップをやったと聞いて、自分もやりたかったのですが、語学に自信がなく踏み出すことができませんでした。それでも話さないと何も伝わらないので、簡単な言い回しで頑張って伝えたり、アプリで勉強したりしていました。私の言いたいことが言えないもどかしさを汲んで、それでも議論や会話を積極的にしてくれた同僚には感謝しています。

ボツワナでの生活を一言で表すと?

私にとっては『日常』でしたね。海外生活はてっきり波瀾万丈で刺激的な毎日かと思っていたら、ハレとケでいうケの日が続いているような感覚でした。ボツワナという異国での生活を日常として受け入れ、一人でちゃんと生活していけたという経験は自分にとって大きな自信になりました。ボツワナは人も景色ものんびりしていて落ち着きますし、動物が好きなので、牛やヤギなどの家畜が身近に歩いている光景に癒されていました。また、数多くの自然保護区に足を運び、ゾウやキリンなどの動物を観察したり、雄大な自然に感動できた経験は何よりも楽しかったです。

これから協力隊に参加する隊員や応募を考える方へのメッセージ、アドバイスをお願いします!

世界の状況に興味を持っているのなら思い切って海外に行ってみてほしいです。私は特に経済や政治に関する情報収集が好きなのですが、ボツワナではちょうど独立後初の政権交代に立ち会うことができました。例えば日本だと選挙期間中は物品を配布できませんが、ボツワナでは傘やTシャツなどの政党をアピールするグッズを持っている人を数多く見かけました。こうした日本とは異なる海外の選挙事情をリアルタイムで見ることができて非常におもしろかったです。日本の外に出てみると、新鮮で興味深いことがたくさんあると思うので、JICA海外協力隊でそのあたりの経験を楽しんで欲しいと思います。

インタビュー・文:藤井ゆきこ(ボツワナ派遣、マーケティング隊員)

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