ボツワナで築いたチームのかたち(福田佳太 職種:バドミントン)
2026.04.07
帰国直前のJICA海外協力隊隊員へ、後輩隊員からボツワナでの日々についてインタビューを実施する本シリーズ。今回はバドミントン隊員としてボツワナバドミントン協会に派遣された福田佳太さんにお話を伺います。
福田さんの活動内容や、取り組んだことを教えてください。
ボツワナバドミントン協会に所属して、シニア選手の強化を中心に競技普及およびジュニア選手育成に取り組みました。
着任当初は、継続性や技術向上を意識したトレーニングが十分に定着していませんでした。また、国内大会の開催や国際大会への出場が少なく、選手のモチベーション維持や目標設定が困難な状況でした。そのような状況のなかでも、基礎練習の反復やフィジカルトレーニングを取り入れ、継続的にトレーニングを実施することの重要性を伝えました。
その結果、ボツワナで毎年開催されるBotswana Internationalという国際大会では、2年目に勝率を向上させることができました。また、最も一緒にトレーニングに取り組んだ選手が国内大会でベスト16から2位へと大きくステップアップしてくれました。継続的なトレーニングが成果につながるという実感を、選手たちと共有できたことは大きな成果の一つでした。
競技普及活動は、他隊員の配属先(NGOや学校など)を訪問して実施しました。バドミントンを知らなかったり、初めてラケットを握る子どもたちが多かったり、競技としての認知度の低さを実感しました。まずはバドミントンを知ってもらうことに重きを置いたので、純粋にバドミントンを楽しんでもらうことができました。これらの活動が、将来の競技人口拡大につながることを願っています。
ジュニア育成では、地方のジュニアチームへの巡回指導や首都在住の選手たちへの継続的な指導を実施しました。子どもたちと共に基本的なトレーニングに取り組みました。
さらに、日本の中学生とのオンライン交流や日本文化紹介ワークショップの実施、日本からの用具支援の橋渡しなど、スポーツを通じた国際交流にも取り組みました。
これらの活動を通じて、競技としてのバドミントンだけでなく、バドミントンには人と人をつなぐ力があることを強く感じました。
これまでのキャリアと、協力隊に参加されたきっかけを教えてください。
小学生の頃からバドミントンを始め、大学院や研究員時代はオリンピック・パラリンピックに関する研究を行いました。その後、中高一貫校に勤務し、体育の授業やバドミントン部の指導、学寮業務を担当していました。 協力隊を初めて知ったのは大学時代でしたが、本格的に関心を持ったのは、大学院でスポーツの国際的な役割について学んだことがきっかけです。日本以外の国でスポーツに関わり、「誰かの役に立ちたい」という思いが強まりました。
また、自分自身をより成長させる挑戦をしたいという気持ちもありました。未知の環境に飛び込み、一から関係を築く経験を通して視野を広げたいと考え、参加を決意しました。
ボツワナで活動する上で大変だったことや、日本との違いはありますか?
一番大変に感じたのは、文化や組織体制の違いによるもどかしさです。ボツワナの組織ではトップダウン型の意思決定が多く、計画どおりに活動を進められない場面がありました。また、言語面では私と現地の人たちは英語、現地の人同士は現地語(ツワナ語)で話すため、情報共有の難しさを感じることもありました。
日本では共通認識のもとで指導が進む場面が多いですが、ボツワナでは一つ一つ丁寧に説明しながら確認する必要がありました。その分コミュニケーションの大切さを改めて学びました。
また、バドミントンは反復練習による技術定着が重要な競技ですが、その文化がまだ十分に根付いていないことも課題でした。一方で、長い手足や身体能力といった強みもあり、選手たちのポテンシャルの可能性を強く感じました。
派遣任期を延長した理由はなんですか?
2026年2月に首都で開催された「All Africa Senior Championships」まで選手と共にチャレンジしたいと思い、1ヶ月の任期延長を決断しました。
試合では、選手たちがこれまで積み重ねてきた努力がコート上で発揮される瞬間を見ることができました。目指していた結果には届きませんでしたが、選手自身が納得のいくパフォーマンスを発揮できたことが何よりの喜びでした。
また、延長した1ヶ月の間にLetile Tebogo選手をはじめとした2024年パリ五輪メダリストをプリントした記念紙幣が発行され、それを手にいれられたことも嬉しかったです(笑)
ボツワナでの生活を一言で表すと?
「今を生きる」です。
予定が変更・中止になることは日常茶飯事で、日本のように先を見据えて綿密に計画する生活とは異なりました。そのなかで、目の前の状況を受け入れ、今できることに集中する姿勢を学びました。物事を必要以上に心配せず、現実を受け入れる柔軟さが身についた(かも)と感じています。
これから協力隊に参加する隊員や応募を考える方へのメッセージ、アドバイスをお願いします!
覚悟を持って挑戦してほしいと思います。活動が思うように進まないことや、任地の人たちとの相互理解に悩むこともあるかもしれません。どんな状況でも、目の前の相手のために何ができるのかを考えて継続することが大切です。すぐに結果がでなくても、継続することで必ず誰か一人には届きます。
新しい環境に飛び込むことは不安も伴いますが、そこでしか得られない経験が絶対にあります。その経験は必ず誰かの将来に、そして自分にも繋がっていくと思います。ぜひチャレンジしてみてください!
インタビュー・文:金子(ボツワナ派遣、マーケティング隊員)