ボツワナで“届く発信”とは? SNS運用と伝えたい想い(藤井ゆきこ 職種:マーケティング)
2026.05.13
帰国直前のJICA海外協力隊隊員へ、後輩隊員からボツワナでの日々についてインタビューを実施する本シリーズ。今回はマーケティング隊員としてボツワナ・ジェンダーバイオレンス防止・支援センター(Botswana Gender Based Violence Prevention and Support Centre、 以下BGBVC )に派遣された藤井ゆきこさんにお話を伺います。藤井さんはこの企画の初代インタビュアーでもあります。
藤井さんの活動内容や、取り組んだことを教えてください。
配属先は、ジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence、 以下GBV)を経験した人たちの支援や、HIVの予防・啓発活動をするNGOです。首都ハボロネのほか地方拠点を2つ持ち、緊急シェルターの提供、医療的支援、教育を中心に活動しています。私はハボロネで活動していました。
私はマーケティング隊員として派遣され、Facebookを中心にInstagram・TikTok・YouTube・LinkedInなど、複数のソーシャルメディアプラットフォームにおけるコンテンツ作成や運用を担当しました。
また、啓発を目的としたコンテンツ投稿やフォロワー参加型のコンテンツ、動画を多数制作しました。「正しい情報を届けること」「助けが必要な人に情報が届くこと」を重視し、週4回の発信を続けました。
どのようなコンテンツがボツワナの人たちにより見てもらえるのかを分析しながら、コンテンツを作成するようにしていました。ボツワナではFacebookが人気で、多くの人が情報源にしています。公用語は英語ですが、現地語のツワナ語で投稿すると反応がいいことに気づきました。そうとわかってからは、ツワナ語の投稿を毎週金曜日に設定し、同僚に翻訳してもらった画像コンテンツや、ツワナ語で話す動画コンテンツを投稿するなどの工夫をしました。
これまでのキャリアと、協力隊に参加されたきっかけを教えてください。
以前はフィリピンで働いていましたが、新型コロナの影響で帰国することになりました。しかし思いがけない形で帰国することになったため、不完全燃焼のまま日本に戻ることになり、帰国後も海外で働きたいという思いが強く残っていました。その後コロナが落ち着いたタイミングで、また挑戦したいという気持ちがさらに強くなったんです。その選択肢の一つが協力隊への参加でした。大学生の時からジェンダーや社会福祉に関心があり、大学でも学んでいたのですが、そんな自分にピッタリな要請を見つけることができたため、迷わず応募しました。
ボツワナで活動する上で大変だったことはありますか?
特に大変だったのは、動画制作時の出演交渉やディレクションです。動画やTiktokというプラットフォームは、より広い世代にリーチできるので大きな効果がありますが、自分が出演するとなると恥ずかしがる人も多く、やんわり断られることが多かったんです。私も同じく動画への出演は恥ずかしいと感じるタイプなので、彼らの気持ちは分かります。しかし「GBVを自分ごとに感じてほしい」という考えから、AI生成の動画などを使うのではなく、生身の人間がツワナ語で話すことに意味があると思っていました。ですので、出演者には動画の目的を詳しく説明したり、撮影に協力してくれるたびに少しおおげさなくらい感謝を伝えたりと、コミュニケーションをしっかり取るようにしました。どうしても困った時は、自分からではなくマネージャーから出演を依頼してもらっていましたね。
ボツワナでの生活を一言で表すと?
「愛に溢れた生活」です。同僚や近所の人、大家さんなど、日常のなかで自然とつながりが生まれ、嬉しいときも辛いときも感情を共有できるコミュニティを築くことができました。たくさんの愛をもらい、そして返すことができた2年間だったと思います。
藤井さんがこの帰国隊員インタビューを始めたきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
前職でインタビュー記事の企画や執筆を担当していた経験を活かし、協力隊の活動を言葉として残したいと思ったのがきっかけです。他の職種の方々と比べると、配属先の活動がオフィス業務中心だった分、JICA海外協力隊として何か見える形で貢献したいという思いもありました。結果として2年間で20名の隊員にインタビューを行い、取材を通して非常に刺激を受けました。2年間書き続けられたことは、大きな自信にもなっています。同じマーケティング隊員の金子さんが企画を引き継いでくれて、最終的に私もインタビューされる側になれるとは想像していませんでした(笑)
これから協力隊に参加する隊員や応募を考える方へのメッセージ、アドバイスをお願いします!
海外で長期間暮らし、ローカルコミュニティで活動する経験は、旅行では得られないかけがえのないものです。日本と比べて便利か不便か、良いか悪いかと判断するのではなく「違いを楽しむ」ことができれば、大変だった経験もいつか大切な思い出になると思います。いいことも悪いことも、ぜひ全ての経験を糧にする気持ちで頑張ってください!
インタビュー・文:金子(ボツワナ派遣、マーケティング隊員)