jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

過酷な環境で生きる力(宮﨑梓 職種:小学校教育)

2026.06.16

帰国直前のJICA海外協力隊隊員へ、後輩隊員からボツワナでの日々についてインタビューを実施する本シリーズ。今回は、小学校教育隊員としてマロワネの小学校に派遣された宮﨑さんにお話を伺います。


宮﨑さんの主な活動内容を教えてください。

ボツワナの小学校で、主に5・6年生を対象に算数や図工の授業を担当しました。現地のカリキュラムは統一されているものの、具体的な授業内容は校長先生や他の先生と相談しながら決めていく形でした。

活動の中心は算数教育で、1ヶ月ごとにスケジュールを立てながら、計算練習や基礎力向上に取り組みました。1コマ30〜45分の授業を担当し、継続的な学習機会を提供しました。特に力を入れたのは、子どもたちが算数の基礎を楽しみながら身につけられるようにしたことです。かけ算九九の理解度を確認したところ、すべての子どもたちが十分理解できていないことが分かりました。そこで、九九のチェックカードを使って何度も練習したり、合格した子にシールを渡したり、歌のリズムに合わせて楽しく九九を覚えられるよう工夫しました。また遊びを通した学習も積極的に導入しました。その結果、テストの平均点を向上させることができ、子どもたちの学習意欲も高めることができました。

さらに、足し算や引き算では「10をつくる」という概念の理解が不十分であることに気づき、具体物を使った教材を自作して視覚的・体験的に理解できる授業を意識しました。ボツワナでは先生たちは学力差のある子どもたちに対して、個別に教えることはしないので、一人ひとりに合った支援を行い、子どもたちに成功体験を積んでもらうことを大切にしていました。子どもたちの「できた!」と喜ぶ姿を見ることが、私にとって一番の喜びでした。

そのほか、日本の学校との文通やオンライン交流、日本文化紹介などにも取り組み、子どもたちに新しい世界を知る機会を提供しました。

これまでのキャリアと、協力隊に参加されたきっかけを教えてください。

大学では児童教育学を専攻し、大学院では心理学や描画から子どものストレスを読み取る方法を研究しました。その後に、民間企業で働いた経験もありますが、利益重視の環境に違和感を覚え、改めて教育の道に進み、小学校教員として約10年間勤務してきました。

10年という節目の時に、「教育を通じて海外で貢献したい。自身の視野を広げて、日本の教育に還元したい」という思いが強まり、協力隊への参加を決意しました。


ボツワナで活動する上で大変だったことや、日本との違いはありますか?

一番大変だったのは、現地の先生方の理解を得ることでした。自作した教材を紹介すると「いいね」と言ってもらえるものの、実際に活用してもらえる場面は多くありませんでした。変化を好まない文化や、日々の業務の忙しさもあり、新しい取り組みを広げる難しさを感じました。

一方で、子どもたちはとても意欲的で、「次はいつ来るの?宿題を出して!」と声をかけてくれて、自分から学ぼうとする姿勢がとても印象的でした。日本の子どもたちと比べて、学ぶことに対して前向きな姿勢を感じる場面が多くありました。

また、任地は地方にあり、首都まではバスで往復6時間かかる上、村にはスーパーやATMがなく、生活面で不便さを感じることがありました。毎週のように他の村に買い出しに行く必要があり、生活そのものが挑戦でした。

ボツワナでの生活を一言で表すと?

「戸惑いと逆境の2年間」です。 不便な環境のなかでも、自分で工夫しながら生活し、できることを見つけて挑戦し続ける日々でした。そのなかで人とのつながりや仲間の存在の大きさを実感し、多くのことに感謝できるようになりました。 何ものにも代えがたい経験を通じて、当たり前のことに感謝し、自身の成長と新しい価値観を見出すことができました。


これから協力隊に参加する隊員や応募を考える方へのメッセージをお願いします!

迷っているなら、ぜひ挑戦してほしいです。うまくいかないことや悩むこともありますが、それも含めて自分の成長につながります。やらずに後悔するより、挑戦して得られる経験の方が大きいと思います。また、困ったときにはJICAや仲間が支えてくれる環境があるので、一人で抱え込まずに安心して挑戦してほしいです。きっと協力隊を終えた後に見える景色が変わると思います。

インタビュー・文:金子(ボツワナ派遣、マーケティング隊員)

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ