千里の道も一歩から!歩みを固めて大きな壁も乗り越える~「土のうを活用した未舗装道路の整備研修」の実施(課題別研修「道路維持管理(E)」フォローアップ協力)

2023.12.05

2023年11月、「土のうを活用した未舗装道路の整備研修」が、首都ワガドゥグにて6日間の日程で実施されました。
本研修には、NPO法人道普請人ルワンダ事務所所属エンジニアObed(オベット)氏とSifa(シファ)氏のお二人が講師としてお越しくださりました。

NPO法人道普請人様は、アフリカの貧困削減を目指して「土のうによる道直し」を開発されました。2007年にNPO法人を設立後、「自分たちの道は自分たちで直せる」をコンセプトに、アフリカを中心に世界30ヵ国でプロジェクトを展開されています。

本研修は、課題別研修「道路維持管理」コースを通じ、日本で、「土のうによる道直し」の講義を受けたブルキナファソのインフラ省の職員らが、土のう技術が労働集約型であり高度な技術を必要としない工法であること、ブルキナファソで調達可能な原材料で対応できる工法であること、及び、職を持たない若年層が日雇いの現金収入を得やすい工法であることから高い関心を示しており、ブルキナファソでも普及・展開したいという要望が示されていました。

本要望を受け、今回はブルキナファソ13州から未舗装道路整備局のインフラ省技術者、土のう技術に関心を有する他ドナー、NGO、 ナショナルボランティア(JICAが協力する16名の現地の若者のボランティアが、国内避難民(IDP)の多い地域において、行政とコミュニティを繋ぐ活動を行っています)など総勢50名を研修参加者として迎えました。

年中水たまりができてしまう道路

年中水たまりができてしまう道路

講師のオベット氏、シファ氏(写真左から)

講師のオベット氏、シファ氏(写真左から)

「土のうを活用した未舗装道路の整備研修」の様子

研修実施準備:

ルワンダからのエンジニアのお二方と複数の研修候補地を視察。その中から昨年の研修地より難易度の高い道路を選定。地面から地下水が染みでて年中水たまりができてしまう道路を小さな水路が交差するようにし、その水たまりも解消します。ブルキナファソでは農村と幹線道路を繋ぐ道路の未舗装率は約95%を占め、その約80%の未舗装道路が適切に整備・維持管理されておらず、特に雨季には道が泥濘化・侵食され、物流が著しく滞ります。そのような事例を想定し、土嚢の道が浸水で朽ちることのないようにするにはどのような手法を用いるのかを紹介するよい機会となります。

研修1日目:

研修参加者の自己紹介の後、プログラムの内容が伝えられます。
今回は未舗装道路の状況を踏まえた整備計画立案、必要な機材調達、実技指導、維持管理について体系的に普及するために必要な知識を身に着けられるよう、さらに充実した内容になっています。

講義を真剣に受ける様子

講義を真剣に受ける様子

現地語(モレ語)とフランス語の同時通訳

現地語(モレ語)とフランス語の同時通訳

土のうを活用した未舗装道路整備技術(土のう技術)の紹介、理論など座学を受けます。
参加者よりたくさんの質問が挙がり土のう技術に対する関心の高さが伺えました。明日からの実地作業に向け、グループ分け(50mほどの未舗装道路を3グループに分け担当区間を決めます)が行われました。

研修2日目:

午前中実習地にて道路から水や泥を取り除くなど基礎工事を行い、必要なデータの収集を行いました。また、土のう袋に入れる土の量、袋の閉め方などデモンストレーションが行われました。

道路から水や泥を取り除く基礎工事の様子

道路から水や泥を取り除く基礎工事の様子

データ収集の様子

データ収集の様子

水をかき出した後、土のう袋を敷設する箇所を整えます

水をかき出した後、土のう袋を敷設する箇所を整えます

20キロの土の入った土のう袋

20キロの土の入った土のう袋

データをもとに計画立案する様子

データをもとに計画立案する様子

20キロを量るために上部をカットしたボトルにて計量

20キロを量るために上部をカットしたボトルにて計量

午後事務所にて、収集したデータを分析、工事の計画立案、必要な機材、資材を概算しどのように予算を立てるか。また、事業を展開するためにどのように国の予算をつけるかなど、事業拡大のための講義がありました。

研修3日目:

一層目を敷き詰めた様子

一層目を敷き詰めた様子

コンパクターで締固めるとセメントのように固くなる

コンパクターで締固めるとセメントのように固くなる

土のう袋に土を入れ鉄製のコンパクターで締固める作業をし、土のうがセメントのように固くなる様子をみて参加者は驚きを隠せません。「自宅前の道路で実践したい。」との声が方々から聞こえます。
一層目の土のうが敷かれコンパクターで締固められました。

研修4日目:

2層目、3層目が敷設されました。
また、修繕方法の紹介、現場での1年後の問題点の検証、維持管理実習など長く利用する方法を学びました。

2層目を敷設する様子

2層目を敷設する様子

水路と道のつなぎ目を丁寧に積み上げます

水路と道のつなぎ目を丁寧に積み上げます

歌いながらなら体の疲労も半減します

歌いながらなら体の疲労も半減します

3層目を敷設します

3層目を敷設します

研修5日目:

効率よく排水するため道の中央から水が溜まらず速やかに流れるように勾配をつけます。
インフラ省の大臣による視察が行われました。大臣はルワンダのエンジニアより土のう技術についての説明を受け、コンパクターで締固める作業などに参加しました。簡易な材料で道路を修繕でき雇用も生み出すこの手法を絶賛し、早速この技法で修繕すべきいくつかの道を省の職員たちと検討していました。
連日の力仕事に疲労の色を隠せない参加者たちも、最後の力を振り絞ってラストスパート!
土のうの上に土が敷き詰められコンパクターで固められました。実地作業終了です、達成感による清々しい表情。

土のうの上に均等に土が敷き詰められます

土のうの上に均等に土が敷き詰められます

勾配がつくよう土を盛り締固めます

勾配がつくよう土を盛り締固めます

インフラ大臣の視察風景

インフラ大臣の視察風景

多くのメディアが取材に駆け付けました

多くのメディアが取材に駆け付けました

大臣が土のうを締固める様子

大臣が土のうを締固める様子

研修参加者の集合写真

研修参加者の集合写真

参加者の清々しい表情

参加者の清々しい表情

きれいに修繕された道路完成写真

きれいに修繕された道路完成写真

研修6日目(最終日):

研修の振り返り、研修参加証書の授与が行われました。

研修の振り返り。予算の立て方をおさらい

研修の振り返り。予算の立て方をおさらい

研修参加証書の受領後の集合写真

研修参加証書の受領後の集合写真

講師から参加者に証書が手渡されます

講師から参加者に証書が手渡されます

土のうを愛する広報担当(加藤氏)

土のうを愛する広報担当(加藤氏)

ブルキナファソの社会融和・コミュニティ強化にも資する「土のうによる道直し」

講師のお二方の祖国ルワンダといえば数年前に大虐殺のあった悲しい過去のある国。とにかくよく働く講師のお二人を見て、ルワンダの人はあなたたちのようにみんなよく働くのですか?と聞いたところ「よく働きます、コミュニティがよく働く雰囲気をつくっています。」と答えが返ってきました。
一度憎しみあった国民同士がともに前を向いて、国の再建という目標に向かって足並みをそろえていくために大切なものは何なのかその言葉から感じられます。ブルキナファソは止まないテロ攻撃でルワンダのように民族間不和を誘発されつつある状況にあります。

外からの支援も重要ですが国の再建のカギを握るのは国民なのです。研修を通して、土のう技術の裏に隠されたコミュニティ強化というポテンシャルもあることが分かりました。未舗装道路整備されるだけでなく住民たちの手による協働の積み重ねが強いコミュニティを築き、テロ攻撃で様々な基盤が揺らぐ中、レジリエンスの一助になることも期待できます。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ