jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

和解と平和に向けた教育強化研修

(1)当該国における教育セクターの開発の現状・課題及び本事業の位置付け

 コロンビアでは2015年5月に平和教育に関する大統領令(号令1038)が施行され、平和教育が全教育レベル(初等・中等・高等)における教科となることが決定した。中央政府が定めた平和教育に関する大枠の学習基準(70頁程のガイドライン)に準じて、県・市・学校は、独自に講義・ワークショップの内容を検討しているが、教員・教員研修実施者共に平和教育の手法・内容に係る知見が十分にないことから、研修及び授業が実施されにくい現状がある。そこで、「平和教育における現職教員研修制度強化(2019年~2022年)」による教員20名、教育省4名への国別研修を通じて、沖縄そして日本の平和教育の意義・実践方法を理解し、コロンビアの平和教育の改善、質の向上を図ってきた。しかし、持続性と国内における平和教育のインパクトをさらに上げるために、対象とする自治体を増やして普及・拡大させ、現職教員向けの研修計画やアクションプランの策定と継続的な実践能力の強化が必要である。さらに、2022年に新大統領として就任したペトロ新政権は、「全面和平」(Paz Total)をスローガンに掲げ、平和構築の促進を図っており、コロンビア国家開発計画(2022‐2026年)において、文化、スポーツ、芸術、科学等のみならず、CRESE(平和、和解、共存、人種及びジェンダーの多様性と人権、民主主義、性被害への対応及び気候変動対策を考慮した教育)を組み込んだより包括的な教育枠組みの推進を強調していることから、新政権下において平和教育促進の重要度がさらに増している。このことから、日本とりわけ平和教育に関して実績を持つ沖縄での国別研修による協力要請がなされた。実施機関であるコロンビア教育省は、既に前フェーズで沖縄の平和教育における基本的概念を理解していることから、アウトプットを意識したより実践力と普及力の強化を図る必要がある。

(2) 教育セクターに対する我が国及びJICAの協力方針等と本事業の位置付け、課題別事業戦略における本事業の位置づけ

 我が国の対コロンビア共和国国別開発協力方針(2021年5月)において、「和平プロセスの定着を目指した均衡のとれた持続的な社会経済発展への支援」を基本方針とし、「和平プロセスの履行期における均衡のとれた社会経済発展」を援助重点分野としている。本件事業は、沖縄の平和教育モデルに基づいたコロンビアの和解と平和のための教育手法の改善を通じて、紛争影響地域の現職教員による平和教育の実践及び普及能力が向上させるものであり、当方針に加えてJICA課題別事業戦略「平和構築」とSDG「平和と公正をすべての人に」にも合致する。