第2回「地域養殖セミナー」を開催 - 10か国以上から約90名が集結、養殖分野における民間投資促進等について議論 -
2025.08.06
2025年8月4日〜6日、JICAコートジボワール事務所は、中央西部ギニア湾漁業委員会(Fisheries Committee for the West Central Gulf of Guinea、CPCO/FCWC)およびコートジボワール動物・水産資源省(Ministère des Ressources Animales et Halieutiques、MIRAH)と連携し、アビジャンで第2回「地域養殖セミナー」を開催しました。本セミナーには、CPCO/FCWC加盟6か国(ベナン、コートジボワール、ガーナ、リベリア、ナイジェリア、トーゴ)に加え、カメルーン、ギニア、モロッコなどの漁業・養殖関連団体・組織ならびにFAO、ECOWAS、COMHAFAT(ATLAFCO)などの地域・国際機関、民間企業等から有識者約90名が対面で参加しました。
ギニア湾沿岸諸国の漁業は、各国内における水産物生産量が国内需要を満たせないことから、国外からの水産物輸入に大きく依存しています。これらの多くの国は自給率が50%未満であり、例えば、コートジボワールでは、国内の水産物需要(消費量)約70万トンに対して、国内生産は約9.2万トン、養殖は約8,500トン規模にとどまり、約86%を国外からの輸入に依存しています(2023年)。
こうした状況を改善するため、2020年にベナンで初めての「地域養殖セミナー」が開催されました。同セミナーは、養殖部門における官民対話を強化することを目的とし、「民間セクターとの連携による大陸全体の養殖生産の拡大」をテーマに開催され、官民両セクターの相互作用により、水産養殖開発への投資の重要性と、同分野におけるさらなる相互対話の強化の必要性等が提言されました。
今回の第2回「地域水産養殖セミナー」では、「水産養殖分野における投資環境の改善と産業化に関する官民対話の強化」をテーマとして、第1回セミナーの提言の進捗状況をフォローアップし、官民の役割分担を明確にしながら、投資促進と産業化に向けた具体的な実行枠組みの形成を目指しました。
飼料・種苗の品質向上、投資家に分かりやすい制度・手続き(公有水面アクセス、許認可、優遇税制等)の整備、技術・インフラ設備(加工・保冷等)に対する継続的投資、金融アクセスの改善などを通じた養殖投資の促進と産業化について議論され、これらに向けた規制枠組みの整備に係る方向性や、各国の気候変動に対応した行動計画に持続可能な養殖開発を統合することが提言されました。
アフリカ地域の経済変革の触媒となり得る水産セクターへの「女性・若者」の参画拡大を目指した技術強化の可能性などについて議論されました。これら意見交換を踏まえて、水産養殖分野の起業家精神を促進するためのエコシステム構築、これを支える金融機関支援を含むインキュベーションプログラムの実施、人的ネットワーク構築の基盤となるプラットフォーム/イベント等開発などが提言されました。
東南アジアやガーナにおける魚病対策の取組み事例(早期監視・診断・通報体制等)や、一般市民及び養殖家などへの啓発活動、インフラ・資材等への投資活動などが共有され、地域におけるバイオセキュリティ監視・検査体制の底上げと人材育成が合意・提言されました。
上記ハイライトの他、CPCO/FCWCにおける水産養殖作業部会の運用を目指した、行動計画の策定・承認、リソースの動員などに係る提言も行われました。
本セミナーの提言は、今後詳細な検討・行動計画としての策定等ののち、各国の政策・計画等に適宜反映されることが期待されます。
JICAコートジボワール事務所では、CPCO/FCWCや各国水産・養殖当局、地域・国際機関、民間企業などと連携し、投資環境整備、技術協力、人材育成支援、バイオセキュリティ対策を通じて、持続可能で包摂的な水産・養殖セクターづくりを後押ししていきます。
開会式の様子(アビジャン、8月4日)
意見交換の様子その1
意見交換の様子その2
集合写真
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