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事務所長として2022年9月に着任しました葦田竜也(あしだたつや)です。キューバは人口1,100万人程度のカリブ海に囲まれた国で、キューバ本島と周辺の島々より構成されており、古い時代の面影をそのまま残す街並みや美しい海岸など、豊かな観光資源に恵まれた島国です。キューバの政府は従来から教育と保健医療に対して手厚い政策をとってきており、国民の識字率は99%近くにのぼり、平均寿命も78歳近くと、中南米でも上位に位置しています。また、2021年7月には自国で開発した新型コロナウイルスワクチンを承認するなど、バイオ薬品開発にも強みを有しています。
このキューバにおいて、JICAは1960年代より研修を中心とした人材育成を行ってきており、これまで500人以上のキューバの方が日本で研修を受けたほか、農業分野でも技術協力を実施してきました。2018年1月には首都ハバナにキューバ事務所を開設し、技術協力を中心に、無償資金協力事業の実施やボランティア事業などをつうじ、キューバでの開発の取り組みをさらに強化しています。
現在は、産業開発、エネルギーや運輸交通といった社会基盤の整備、農業開発、保健医療体制の強化、環境保全を優先分野とし、キューバ政府のさまざまなセクターの関係者とともに事業を実施しています。たとえば、再生エネルギー、運輸交通の分野では開発調査型の技術協力を実施し、この国の持つ当該セクターの課題の分析や、中長期的な視点でのこれらのセクターの計画づくりを支援しています。また、保健医療分野では、全国の5つの病院を対象に、デジタル技術を用いて診断画像を共有する仕組みを構築し、病院内で効率的に診断情報の活用を促進する技術協力プロジェクトを実施しています。さらに、ハバナ周辺での水資源の統合的な管理とモニタリングのための能力強化を行うための技術協力プロジェクトを今後実施予定です。
また、あまり広く知られてはいませんが、キューバには1,200人程度の日系人が各地で生活しています。日系人の方々との連携連携をつうじ、草の根レベルでの交流の機会も増やしていければと考えています。
2020年から発生した新型コロナウイルスの世界的流行は、ここキューバにも社会・経済におけるあらゆる面で深い影響を及ぼしています。特に、感染拡大の不安の煽りを直接受けた観光業での収益の落ち込みなどにより、キューバは経済的にも苦しい局面を迎えています。また、2022年9月にハリケーン・イアンがキューバを通過し、西部を中心に大きな損害を被むることになりました。
キューバにとっても大変な時期が続いていますが、人材育成や効率的な仕組みづくりを通じて少しでもキューバの発展に貢献し、また、日本の経験をこの国で役立ててもらうような支援を進めていきたいと考えています。加えて、多くの方にキューバに関心を抱いてくださるお手伝いができればとも考えていますので、キューバに関心をお持ちの方、ぜひ、お気軽に一報いただけますと幸いです。ご関心のある方はぜひ事務所のFacebookも覗いてみてください。
キューバ事務所長
葦田 竜也
メール:Ashida.Tatsuya@jica.go.jp
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