jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

所長あいさつ

このたび、コンゴ民主共和国のJICA事務所長として着任しました。川を挟んで対岸のコンゴ共和国も兼轄しております。

直前は西アフリカのブルキナファソに駐在しておりましたが、コンゴ民主共和国への赴任は8年ぶり2回目となります。国土は日本の6倍、アフリカ大陸で2番目に面積が大きく、人口はほぼ1億人、タイムゾーンが2つもあり、国境を接する国は9か国と巨大な国です。銅やコバルトなどを産する世界有数の資源国であり、コンゴ盆地はアマゾンに次ぐ世界第2位の熱帯雨林です。大河川コンゴ川水系の有する水力発電ポテンシャルも世界最大規模となっています。鉱物資源に牽引され、経済成長も平均5%以上と好景気が続いています。事務所のある首都キンシャサは人口1700万人程度の大都市ですが、さらに2040年には人口が2500万人以上とアフリカ最大級の都市となることが予測されています。

他方で、抱える課題も非常に大きいと言わざるを得ません。脆弱なインフラ、悪化する交通渋滞等、拡大する大都市の抱える課題の解決が必要となっているとともに、治安と安定も引き続き大きな課題であり、市民に信頼される警察組織を構築することは経済発展及び人々の暮らしのためにも急務です。とりわけ、東部地域では反政府武装勢力による紛争が絶えず700万人と言われる世界最大規模の避難民が発生し、国連平和維持部隊の撤退に合わせた市民保護の強化が急務となっています。世界の片肺とも言われるコンゴ盆地の森林保全は世界の気候変動対策の注目の的となっていますし、コンゴ発祥のエボラ等感染症が発生すればその問題は一国に留まることはありません。

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これに対し、JICAは、コンゴ民主共和国においては、これら経済開発、警察協力、環境保全、保健医療の4つの分野を軸に、JICAの資金協力と技術協力を効果的に組み合わせて協力事業を推し進めます。また、これら事業間の連携とともに、他ドナーや民間セクターを含む様々なアクターとの連携によりシナジー効果とコレクティブインパクトの発現を目指して参ります。

経済開発では、運輸交通・電力アクセス等の改善や産業人材開発に取り組むとともに、昨年40周年を迎え日本とコンゴ民主共和国との友好のシンボルであるマタディ橋の保全にも取り組みます。

警察協力では、これまで2万人以上の警察官を研修してきましたが、警察研修のみならず、市民に信頼される地域警察を通じた警察改革への支援を、都市や東部地域で行っていきます。

環境保全では、世界の気候変動対策として、「途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)」を支援し、近年注目を浴びる泥炭保全にも貢献していきます。
保健医療分野では、中部アフリカの感染症研究の拠点である国立生物医学研究所(INRB)と協力し、周辺諸国含めた域内の感染症対策強化を進めていきます。

さらに、コンゴ共和国においても、農業、水産バリューチェーン強化や人材開発、その他事業の広域展開を図っていきます。

アフリカの最後の秘境、コンゴには大きな、大きなポテンシャルがあります。真面目で働き者の人材もたくさんいますし、日本語を巧みに話すコンゴ人もおります。
是非ご関心を寄せていただきたいですし、Facebookなどでも発信しておりますので注目していただけますと幸いです。

コンゴ民主共和国事務所長
興津 圭一