2019年7月16日
氏名:富田裕美(東京都出身)
JICA海外協力隊(2017年2次隊(任期:2019年9月まで)・コンピューター技術)
現在、東ティモールの首都ディリにある、国立医薬医療用品サービスセンターで活動しています。
配属先は国内で使われる薬を一括に管理している巨大な倉庫で、いわば東ティモール医療の要です。
私の日本での仕事はシステムエンジニア、そして協力隊でも「コンピューター技術」という職種で派遣されています。が、私の活動の中で、最も力を入れていること、それは「お片付け」!!
東ティモールに派遣された当初、医薬品の在庫を管理するシステムのサポートや、配属先のインターネット環境の改善等が求められていました。
しかしながら、東ティモールでは通信環境は不安定で、雨季には停電が頻繁に起こるため、常時の電力供給やインターネット接続ができません。また、政治や省庁内での人事が変わると、システムの利用方針も一緒に変わるため「昨日まで使っていたシステムは明日からはもう使わない」ということもしばしば起こり、継続的に運用していくことが困難であることが分かりました。
そういった環境下で、「システムに頼らない在庫管理」を目指すため、現在は「5S・KAIZEN」を導入し、配属先の人とともに取り組んでいます。5S・KAIZENは主に日本の自動車産業で用いられてきた職場環境改善及び品質管理の手法で、今では世界各国に広まっています。
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとって名付けられた標語ですが、もっと平たく言えば「お片付け」。
正直、東ティモールの人はお片付けが苦手です。
「ゴミをゴミ箱に捨てる」「使ったものは元の位置に戻す」など、私たちには「当たり前」で「些細なこと」でも、彼らにとっては習慣がないため、その感覚を持ってもらうには一筋縄ではいきません。
そのため、まずは「なぜ「お片付け」が必要なのか」を理解してもらうために、ワークショップを開き、体験型のアクティビティを取り入れながら、配属先の職員が自ら考えながら行えるように工夫しています。
例えば、ワークショップで取り入れているのは「紙で作る箱作り」。
新聞紙やチラシで作ったこともある人も多いかもしれませんが、彼らにとっては新しい知識です。
ワークショップの参加者は「はさみもテープも使わずに作れるなんてすごい!!」と、今では整理整頓のアイデアとして、とても重宝されています。
その他にも、職場のあらゆるところに事例を紹介したポスター等を貼り、日々の業務でも意識して行動できるようにしています。
こうして日々活動をしていると、私たち日本人が普段何気なくやっていることこそ、使えるアイデアとして、思わぬ良い効果を生むことが多くあります。
こういった「日本のお家芸」を広めていくことも、我々協力隊の一つの役割だと感じています。
活動先で5Sの提案を実施しています。
同じ配属先の薬剤師隊員と一緒に5S・KAIZEN研修(チーム対抗のゲーム形式)を行っています。
5S・KAIZEN研修終了後は「研修認定証」を渡しています。
職場には現地語で5Sの意味を訳したポスターを貼っています。
配属先では手作りの紙の箱がデスクの整頓に重宝されています。
配属先のオフィスの棚の整理・整頓を実施しました。
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