東ティモールの体育教育向上のためにできること

2024.03.25

東ティモールの体育教育向上のためにできること

2023年7次隊 東ティモール派遣 
職種:体育 
大坂 嘉奈子

一番右が筆者

 私たち現在東ティモールに派遣されている体育隊員は、東ティモールの体育教育の向上のために何かできないかと考え、2024年3月16日に東ティモール国立大学内の体育館で「運動会」を実施しました。

 ではなぜ、「運動会」なのでしょうか。そしてなぜ、対象者は「学生」だったのでしょうか。

 日本の体育教育について学習指導要領には「心身の健全な発達や健康の保持増進などについての関心を高め、安全な行動や規律ある集団行動の体得、運動に親しむ態度の育成、責任感や連帯感の涵養、体力の向上などに資するような活動を行うこと」と記載されています。これらの目的を達成するためのツールとして、日本では運動会や球技大会といった行事を必ずおこなっています。そして、そのためには必ず準備が必要であり、その役割を担っているのが教員です。一つのイベントを行うにあたり、教員は計画・準備・運営といったさまざまな能力が必要になります。しかし、現在隊員が配属されている学校の現地の体育教員は、年間授業計画を立て計画通りに実行している教員が少なく、先を見据えて計画を立てることや、順を追って進めていくことが苦手、慣れていないことが分かってきました。

 そこで、運動会をおこなうことによって、これらの能力を身につけることができるのではないかと考えました。しかし、現役の体育教員たちは自分の指導方法が定着しており、中々新しいものを受け入れる姿勢になるのは難しいです。そこで、まず東ティモール国立大学の体育学部に所属している学生たちに運動会を体験してもらうことにしました。運動会を通して何を学ぶことができたのかを実際に彼ら自身が経験し理解することで、これから出会う生徒に正しく伝えることができるのではないかと考えました。今後、現役の教員を対象に学生と共に運動会を行うことで「学生にも出来たから自分たちも出来る」という思考にするのが狙いです。

 運動会をおこなうにあたり、日程調整、会場手配、使用する道具や資料の作成などを私たちの活動と同時並行に進めていく必要があったため、約3ヶ月間の時間がかかりました。その過程で、学生に運動会の事前説明を行いました。始めは興味を示しているように見えませんでしたが、実際おこなうと楽しそうに取り組んでいました。運動会当日もルールを覚えていたため、スムーズに競技を進めることが出来ました。とても印象的だったのは運動会終了後、全員が積極的に片付けや掃除を行なっていたことです。運動会を通して私たちが伝えたいことが彼らに伝わっていることが実感できた瞬間でした。

 今回は日本人が中心となり開催しましたが、これから少しずつ東ティモールの人たちだけでおこなうことができるようにアプローチしていきたいと思います。単発的なアクションは比較的簡単ですが、それを継続して行うことは難しいです。更に、それを現地の人が継続していくというのはさらに難しいことですが、東ティモールの体育教育向上のために、一歩ずつ進めていきたいと思います。

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