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エルサルバドル国海岸線における橋梁再建のための能力向上アドバイザー業務

プロジェクト名
エルサルバドル国海岸線における橋梁再建のための能力向上アドバイザー業務
(通称:HASHIMORIプロジェクト)

協力形態
技術協力プロジェクト

テーマ
運輸交通

プロジェクト対象地域
エルサルバドル幹線道路(CA02)に位置する9県(アウアチャパン県、 ソンソナテ県、ラ・リベルタ県、サン・サルバドル県、ラ・パス県、サン・ビセ ンテ県、ウスルタン県、サン・ミゲル県、ラ・ウニオン県)

協力期間
2022年12月~2025年11月

カウンターパート機関
公共事業運輸省(MOPT)

その他協力機関:
気候変動適応・戦略的リスク管理総局(DACGER)、公共事業計画総局(DPOP)、道路整備基金(FOVIAL)。


プロジェクトの背景
 エルサルバドルを含む中米地域は、その地理的な条件から集中豪雨、地震など各種 の自然災害の影響を受けやすく、「世界銀行」が 2005 年にまとめた「Natural disaster hotspots: a global risk analysis」によると、全土の88.7%が災害リス ク地域であり、全国民の95.4%が災害リスク地域に居住している。2020年5月の熱帯暴風雨アマンダでは約30,000世帯が被災し、斜面崩壊991箇所、地滑り43カ所、落橋4 カ所等の被害が及んでおり、人々の生活だけでなく公共インフラへの損害や交通、物流および国の経済活動に大きな影響を与えている。 エルサルバドルの海岸道路(CA-2)には、国全体に存在する橋の約20%を占める222 の橋梁があり、コンクリート、鋼、ベイリー等、橋梁形式も多岐に渡る。これらの橋 梁の多くは、1950年~1970年に建設されており、そのほとんどで損傷が発生し、補修 が必要な状況である。2009年に洪水被害を受けた海岸道路(CA-2)の主要橋である Melara橋は流失し、応急復旧として整備された仮設橋は、本復旧することなく未だに 使用し続けている状況である。 エルサルバドルの海岸地域は国土の約34%であり、そこに位置する海岸道路(CA-2) は14の県のうち9県を横断、沿線には150万人が居住している。また、国内及び中米地域の物流ロジスティックスにおいて重要な貨物輸送ルートとしての機能だけでなく、 エルサルバドルの豊かな土壌の50%がこの地域に集まっており農業生産性に優れて いることや、サーフィン国際大会の開催地となる等、経済・産業開発のポテンシャル が高いことから、現政権の国家開発戦略として「サーフシティ構想」が計画/実施されている。
 これまでJICAは、「公共インフラ強化のための気候変動・リスク管理戦略局支援プ ロジェクト」のフェーズ1(2012年〜2015年)、フェーズ2(2016年~2021年)を実施 し、先方機関である公共事業省気候変動・リスク管理戦略局(DACGER)に対し、自然 災害(特に豪雨災害)にかかる橋梁、斜面、排水等道路インフラの災害リスク削減のための組織の能力強化、リスク診断、災害リスク削減事業の計画/実施および災害発 7 生時の迅速な緊急復旧作業の実施体制作り等の技術支援を図った。一方、公共事業省 の橋梁の維持管理能力は十分でなく、限られた予算内で橋梁を再建する能力や橋梁の 点検から診断、補修工法に関する、マニュアルの作成など能力強化が喫緊の課題とな っている。かかる状況の下、エルサルバドル政府は海岸道路(CA-2)に位置する橋梁 に焦点を当て、橋梁再建のための能力向上を目的とした支援を要請した。


目標
【上位目標】

エルサルバドル国内の橋梁が適切に維持管理される。

【プロジェクト目標】
MOPT職員の橋梁維持管理に関する能力が向上する。

期待される成果
成果1:MOPT職員の橋梁の点検に関する能力が向上する。
成果2:MOPT職員の橋梁の診断に関する能力が向上する。
成果3:MOPT職員の橋梁の補修に関する能力が向上する。
成果4:橋梁維持管理に関する点検から診断、補修工法に関するマニュアル及 びデータベースが作成され、プロジェクトの成果が国内外で共有される。

活動内容
成果1に係る活動:MOPT職員の橋梁の点検に関する能力が向上する。
1-1. MOPT及びFOVIAL職員が、海岸道路(CA-2)にある橋梁の損傷を点検する能力 を向上する。
1-2. MOPT及びFOVIAL職員が現存の点検チェックリストを改善する。
1-3. MOPT及びFOVIAL職員に現存の橋梁台帳の問題点を分析し改善のための提案 を行う。
1-4. 点検に関してi-Constructionに関連する最新技術の知見を深める。
1-5. MOPTが管理する海岸道路(CA-2)に位置する橋梁にて、活動1-1から活動 1-4の内容を実施する。

成果2に係る活動:MOPT職員の橋梁の診断に関する能力が向上する。
2-1. 点検及び現存する情報をもとにして橋梁ごとに診断表を作成する。
2-2. とりまとめた結果から橋梁ごとに安全性について評価する。

成果3に係る活動:MOPT職員の橋梁の補修に関する能力が向上する。
3-1. 様々な損傷に対して適切な補修工法を整理する。
3-2. 各補修工法について、工法の概要、材料の特徴、概算単価を記載した一覧を 作成する。
3-3. 活動3-1、3-2を通して、MOPT及びFOVIAL職員が優先順位をつけて補 修計画または架け替え計画に関する案を作成する。
3-4. 補修に関してi-Constructionに関連する最新技術の導入の可能性を評価す る。
3-5. 補修計画策定の中からパイロットプロジェクトを実施する。

成果4に係る活動:橋梁維持管理に関する点検から診断、補修工法に関するマニュアル及 びデータベースが作成され、プロジェクトの成果が国内外で共有される。
4-1. 橋梁の点検、診断、補修のマニュアルを作成する。
4-2. 橋梁の維持管理データベース(アプリ)を構築する。
4-3. プロジェクトで得た知識を、国内及び中米地域を対象としたセミナーを通し て共有する。