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エルサルバドル国首都圏建物の評価と耐震補強のための能力強化プロジェクト

プロジェクト名
エルサルバドル国首都圏建物の評価と耐震補強のための能力強化プロジェクト
(通称:HOKYOプロジェクト)

協力形態
技術協力プロジェクト

テーマ
防災

プロジェクト対象地域
サンサルバドル首都圏(AMSS)

協力期間
2022年2月~2026年2月

カウンターパート機関
サンサルバドル首都圏計画事務所(OPAMSS)


プロジェクトの背景
 エルサルバドル国のサンサルバドル首都圏(AMSS)は 610 ㎢の面積(国土の 2.8%)を 持ち、GDP の 33%、総人口の27%が集中している。地理的な特徴としては、エルサルバド ルは環太平洋火山帯の一部であり、複数の地殻プレート上に位置することから地震活動が盛んである。近年首都圏に大きな被害をもたらした地震としては 1986 年と 2001 年の地震 があり、2001 年の震災後に実施された危険度判定調査ではAMSS 内に位置する公共建物等においてレッドフラッグが52 件、オレンジフラッグが 101 件にのぼり、現在においても 既存建物の多くが一時的な修復や技術的基盤のない修繕を経たのみで使用されている。
 1986 年の地震以降、AMSS を構成する 14 市の市長により各市の行政区分の障壁を超えて 協力する枠組みとしてサンサルバドル首都圏市長評議会(以下、COAMSS)が設立され、同委員会の事務局を担う組織として AMSS の国土整備、開発政策、建築許可を支援するためサンサルバドル首都圏計画事務所(以下、OPAMSS)が設立された。OPAMSS は都市計 画や建設に係る許可発行権限を持ち、AMSS の適切な土地利用に係る関連規制等を決定す る役割を持つ。 このような状況の中、既存建物の多くが震災後一時的な修復や技術的基盤のない修理を経たのみで使用されている状況を鑑み、適切な技術基準での耐震性評価や設計実施に係る能力強化、そうした評価・設計に基づく耐震改修を通じて発災前のリスクを削減することが急務となっている。この取組過程を通じて、OPAMSS の耐震改修促進にかかる組織能力及び人材育成強化が図られ、サンサルバドル首都圏住民への災害時の公共サービス機能 が確保される。OPAMSS を実施機関として AMSS 内の公共建築物を対象に適切な技術基準での耐震性 評価や設計実施に係る技術・行政能力強化、並びに適切な評価・設計に基づく耐震改修の促 進を主な目的とする「首都圏建物の耐震評価と耐震補強のための能力強化プロジェクト」が要請された。


目標
【上位目標】
サンサルバドル首都圏(AMSS)内外の公共建物の耐震改修が促進され、都市機能のレジリエンスが向上する。

【プロジェクト目標】
AMSS の公共建物に対し適切な耐震診断、耐震改修設計、耐震改修施工が 促進される。

期待される成果
成果1.AMSSにおける耐震診断に係る行政・技術能力が向上する。
成果2.AMSSにおいて耐震改修設計に係る行政・技術能力が向上する。
成果3.AMSSにおいて耐震改修施工監理に係る行政・技術能力が向上する。
成果4.アクションプラン策定を通じて、AMSS公共建物の耐震改修実施促進に係る基盤が強化される。

活動内容
成果1に係る活動:AMSSにおける耐震診断に係る行政・技術能力が向上する。
1-1. AMSS内公共建物に関するベースライン調査(地震後の耐震改修有無に係る調査を含む)を実施する。
1-2. 日本、エルサルバドル、及び海外の既存の耐震診断に係る基準・指針・文献等の比較検討を行なう。
1-3. 既存建物の耐震診断・改修設計のための構造実験を実施する。
1-4. 既存建物の耐震診断マニュアルを作成する。
1-5. 既存建物の耐震診断レビューのためのガイドを作成する。
1-6. パイロットプロジェクトの建物の耐震診断およびその他建物の建物調査を実施する。
1-7. 首都圏市長会議(COAMSS)によるマニュアルの適用承認を得る。
1-8. マニュアル策定及び普及のための各種セミナー・ワークショップを開催する。

成果2に係る活動:AMSSにおいて耐震改修設計に係る行政・技術能力が向上する。
2-1. 日本、エルサルバドル、および海外の既存の耐震改修設計に係る基準・指針、文献等の比較検討を行なう。
2-2. 既存建物の耐震改修設計マニュアルを作成する。
2-3. 既存建物の耐震改修設計レビューのためのガイドを作成する。
2-4. パイロット事業の建物に対し耐震改修設計を行う。
2-5. COAMSSによるマニュアルの適用承認を得る。
2-6. マニュアル策定及び普及のための各種セミナー・わーワークショップを開催する。

成果3に係る活動:AMSSにおいて耐震改修施工監理に係る行政・技術能力が向上する。
3-1. 耐震改修の5-6種類の要素部材の試験施工を計画し実施する。
3-2. 耐震改修施工監理マニュアルを作成する。
3-3. 耐震改修施工の検査のためのガイドを作成する。
3-4. パイロット事業の建物を対象に施工品質検査を実施する。
3-5. COAMSSによるマニュアルの適用承認を得る。
3-6. マニュアル策定および普及のための各種セミナー・ワークショップを開催する。

成果4に係る活動:アクションプラン策定を通じて、AMSS公共建物の耐震改修実施促進に係る基盤が強化される。
4-1. AMSSに内で耐震改修を促進する既存のイニシアティブについてベースライン調査を行う。
4-2. 国と市の関係者から構成されるメンバーにより「AMSS内建物の耐震改修促進行動計画」策定のための技術作業グループを設置する。
4-3. 市職員に対し市内公共建物耐震改修計画策定のためのガイドを策定する(ガイドには費用積算に必要な情報等を含む)。
4-4. 市の関係者に対し市内公共建物耐震改修計画策定にさいしに際して技術支援を提供する。
4-5. AMSS内建物の耐震改修を促進するための中央政府関係機関に対する提言を含む上記行動計画を最終化する。
4-6. 行動計画を実施につなげるためCOAMSSの承認を得る。
4-7. 行動計画および市耐震拐取計画の策定、普及、発表のための各種セミナー・ワークショップを開催する。