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エルサルバドル国女性の生活改善と青少年のビジョン形成を通じた幸せに過ごせる地域づくり事業

開発ポテンシャルを活かすプロセス支援

プロジェクト名
エルサルバドル国女性の生活改善と青少年のビジョン形成を通じた幸せに過ごせる地域づくり事業
~開発ポテンシャルを活かすプロセス支援~

協力形態
JICA草の根技術協力事業(JICA Partnership Program:JPP)

テーマ
生活改善

プロジェクト対象地域
ラ・ウニオン県コンチャグア市

協力期間
2022年12月~2025年11月

カウンターパート機関
コンチャグア市役所

JICA草の根技術協力事業(JICA Partnership Program:JPP)パートナー型のもと、国際農民参加型技術ネットワーク(NPO法人イフパット) と協力して実施された。


プロジェクトの背景
 コンチャグア市は人口約 5 万人、同国東南端の町である。町の中心に国内最古の教会があ り、ホンジュラス、ニカラグアと 3 ヵ国海域が入り組むフォンセカ湾に面し、住民の多くが漁 業や海辺周辺の観光業の他、自給用穀物栽培やインフォーマルセクターに従事している。国外移住者が多く、全住民の 18.7%が海外送金を受け取っている。しかし、送金は生活改善のた めの投資や貯蓄に活用されず、未だ薪を使う家庭が 37.5%に達し、平均到達学年が初等教育4 年、識字率 69.7%と社会開発が遅れた地域である。不登校の児童数(5~17 歳)は 4,015 名に 上り、若年層への働きかけが犯罪予防の観点からも重要な課題となっている。
 同市は、特に開発の遅れた南部海岸部3村を開発優先地域としスポーツを通じた非行防止や多目的集落センターの活用による自治組織の活性化への取り組みに力を入れているが十分でない。援助慣れによる住民の依存体質、内戦の結果生じた集落内社会連携の欠如が地域開発 の障壁となっており、住民の主体性醸成と地域づくりの担い手としての若者層の意識付けが 喫緊の課題となっている。


目標
【上位目標】
プロジェクトによって確立された生活改善アプローチに基づく地域開発モデルが東部地域で活用され、住民の生活の質の改善がなされる。

【プロジェクト目標】
コンチャグア市内集落において、生活改善アプローチに基づき、女性の生活改善・青少年のビジョン形成(人おこし)を柱とした、地域開発モデルとしての地域おこしが展開される。

期待される成果
成果1:生活改善アプローチの普及手法を習得し、人づくりを重視する地域開発を担う人材が育成される。
成果2:生活上の課題(個別・地域)に対する解決能力を習得し、主体的に行動する女性が育成される。
成果3:個別ライフビジョン形成を経て、主体的に生涯学習をする青少年が育成される。
成果4:コンチャグア市全体(市、ADESCOs、NGO、住民、他)で地域づくりのためのプラットフォームが構築され、活動が開始される。
成果5:指標分析を含め、プロジェクト実施プロセスと成果が体系化される。

活動内容
成果1に係る活動:生活改善アプローチの普及手法を習得し、人づくりを重視する地域開発を担う人材が育成される。
1-1.行政職員に対し生活改善ファシリテーター養成定期研修を行い普及手法と地域づくりの基礎力を構築する。(オンライン研修・本邦研修含む)
1-2.対象集落住民と共に、農村環境指標を設定する。
1-3.住民の課題解決活動支援に向けた寄り添い活動を行う。
1-4.ファシリテーターチームを形成し、チーム内振り返りを実施し、活動評価表を策定する。
1-5.本邦研修において日本の生活改善グループ、元生活改良普及員との意見交換を踏まえ、活動内容を改善する。
1-6. 国内外他地域の生活改良普及員と相互学習会を実施する。

成果2に係る活動:生活上の課題(個別・地域)に対する解決能力を習得し、主体的に行動する女性が育成される。
2-1. 点検及び現存する情報をもとにして橋梁ごとに診断表を作成する。
2-2. とりまとめた結果から橋梁ごとに安全性について評価する。2-1.生活改善ファシリテーターが、集落内コミュニティ開発協会、地域リーダー、集落住民対象にプロジェクト活動説明会を行い、目的及びゴールを明確化する。
2-2. 生活改善ファシリテーターが、集落内コミュニティ開発協会、プロジェクト参加希望農漁家女性(以下、農漁家女性)を対象に生活改善アプローチ定期研修を行う。
2-3.農漁家女性が生活改善ファシリテーターの支援のもと、参加型ベースライン調査を実施し、現状を把握する。
2-4. 農漁家女性が、生活改善の活動サイクルを習得し、生活上の課題解決に取り組む。
2-5.農漁家女性に対し、生活改善ファシリテーターや他機関が、課題に基づく家計簿記帳などの生活技術研修や勉強会を行う。(生涯学習の習慣づけ)
2-6. 農漁家女性が、グループ・地域の共通課題の解決に向けたビジョンが策定し、対象集落内コミュニティ開発協会(ADESCOs)の協力を得て、活動を開始する。

成果3に係る活動:個別ライフビジョン形成を経て、主体的に生涯学習をする青少年が育成される。
3-1.青年層担当生活改善ファシリテーターが対象集落青少年にプロジェクト活動説明及び生活改善アプローチ研修を行う。
3-2.プロジェクト参加希望青少年(以下、青少年)が、ファシリテーターの支援のもと、生活改善活動サイクルを習得する。
3-3. 青少年が、ファシリテーターとの活動を通じ、将来の自分及び地域の成功イメージを可視化する。
3-4. 青少年グループが「地域の姿10カ年計画」を策定する。
3-5.青少年がSNSを通じた活動の発信を行う。
3-6. 青少年生活改善グループ間のネットワークを構築する。

成果4に係る活動:コンチャグア市全体(市、ADESCOs、NGO、住民、他)で地域づくりのためのプラットフォームが構築され、活動が開始される。
4-1.住民、青年、各組織が課題及び解決策を共有しあうプラットフォームの構築に向け、生活改善ファシリテーターチームが、運営体制を整備する。
4-2.アウトリーチセンターの更なる活用戦略をプラットフォーム関係者が協議し、セミナーや地域おこし活動を実施する。
4-3.ADESCOs内に地域おこし分科会が設置され、ビジョンに基づいた活動を実施する。
4-4.米国在住コンチャグア市出身者グループと協議を行い、海外送金を地域おこしに活用する仕組みを構築する。

成果5に係る活動:指標分析を含め、プロジェクト実施プロセスと成果が体系化される。
5-1.生活改善活動実践者の達成度を測る定性的評価指標をチーム内で策定する。
5-2.参加者の意識変容・行動変容分析のための意向調査を行い、定性・定量評価する。
5-3.他地域への波及に向け、普及手法や寄り添い活動を含むプロセスを可視化する。
5-4. 市及び東部地域レベルで成果を発表する。