フォローアップ支援「カンデラリア・デ・ラ・フロンテーラ市における地域ブランド構築支援を通じた履物産業の促進」

2023.05.31

JICAはエルサルバドル移住者支援機構(INSAMI)及びトリフィニオ自治体協会(Asociación de Municipios Trifinio)と連携し、カンデラリア・デ・ラ・フロンテーラ市の履物生産者協同組合への支援を行いました。

この活動は、JICAの課題別研修「地域の特色を活かした産業振興」に参加したINSAMIの職員から、西部国境の北部三角地帯に一村一品(OVOP)運動を促進することで地域の資源・産品・特性などを活かした地域振興に繋げ、長年エルサルバドルが社会問題として抱えている不法移民発生の対策に寄与したいとJICAに相談が持ち寄られたことにより検討が始まりました。

そこで、2022年1月にJICAエルサルバドル事務所主催で実施したOVOP関連セミナーに同INSAMI職員を招待し、OVOP運動に関する基礎知識の修得を促したうえで、JICAとの連携案を徐々に具体化していきました。その結果、JICAとINSAMIは北部三角地帯を拠点に活動しているトリフィニオ自治体協会と連携し、カンデラリア・デ・ラ・フロンテーラ市の履物生産者協同組合に対して地域ブランド構築支援を行うことになりました。なお、カンデラリア・デ・ラ・フロンテーラ市が位置する国境地域を支援することは、同地域の住民達が地元における就労機会確保のための環境整備に繋がるため、2021年4月に発表された「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」における中米北部3か国からの移民の根本原因対処にも貢献出来るという点において、日本の外交的な観点においても意義のある活動と言えます。

履物生産者協同組合に対して実施した支援活動の概要は次のとおりです。

1)隣国グアテマラ、フティアパ県サンタ・カタリーナ・ミタにある靴職人協会(AZAC)での製靴技術研修実施。
2)OVOP運動の促進活動を行っているJICA専門家及び帰国研修員2名(課題別研修「中米統合機構加盟国向け道の駅による道路沿線地域開発」参加者)によるOVOPオンライン研修実施。
3)生産性向上、品質管理、調達及び交渉戦略などをテーマとした経営研修実施(グループカウンセリング含む)。
4)地域ブランド構築支援(ブランドロゴ製作含む)。
5)販促物品(チラシ、バナー、ポスター)のデザイン及び製作。
6)靴の木型の供与(39足分)。
7)OVOP運動視察(エルサルバドルで最も盛んにOVOP運動が行われている街の一つであるサンファン・オピコ市の視察)。

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製靴技術研修を実施したサンタ・カタリーナ・ミタ(グアテマラ)にて

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地域ブランドロゴ

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地域ブランドロゴ

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OVOPオンライン研修の様子

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OVOP運動視察(サンファン・オピコ市)の様子

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販促物品の供与(JICAエルサルバドル事務所にて)

JICAはエルサルバドルにおいて地域経済の開発支援活動等を通じて様々なパートナーと協働し、信頼関係を築いてきました。今回の活動はこれらの人脈を最大限に活用し、連携・共創を図ったことで相乗効果を引き出すことに繋がりました。

次に、今回の取り組みに協力していただいたパートナーの方々からの声を紹介します。

ベディ ボット氏(カンデラリア・デ・ラ・フロンテーラ市長)

「地域経済活性化のためには、質の高い生産物を生み出すことが重要で、そのためには生産者たちの能力強化は不可欠であり、広報活動も重要な役割を果たします。今回の支援活動はこれらの要素が強化された好事例で、カンデラリア・デ・ラ・フロンテーラ市の特産品構築に繋がりました。」

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ラファエル オルティス氏(INSAMI プロジェクトコーディネーター)

「JICAによって支援を受けたOVOP運動が今後もカンデラリア・デ・ラ・フロンテーラ市で促進されることで、住民達の経済や社会において様々な好機をもたらし、結果的に不法移民発生の抑制に繋がっていくと信じています。」

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ウィリアン アロンソ ガルシア氏(履物生産者協同組合代表)

「今回JICAとINSAMIによって実施していただいたOVOP運動に関する一連の支援は非常に価値のあるもので、心から感謝申し上げます。履物生産者協同組合関係者一同は今回の支援を通じて修得した知見を最大限に活かし、将来の成功に繋げていきます。」

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ブラディミル パラシオス氏(トリフィニオ自治体協会 プロジェクト技官)

「トリフィニオ自治体協会は今回の取り組みで地域ブランドが構築されたことを高く評価しています。地域ブランドを通じて生産者間の連携が強化されることは、高い競争力を持つ製品の生産に繋がります。また、製品の差別化が促進されることで地域自体の価値も高まっていくと信じています。」

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エンリケ オルテス氏(サンファン・オピコ市役所 経済社会開発課長)

「我々の地域おこしに関する経験や知見を共有させていただくことは非常に名誉なことであり、帰国研修員が果たすべき重要な役割であると認識しています。個人的にも喜びを感じながらOVOP運動を主導させていただいており、サンファン・オピコ市で発現している成果にも満足しています。我々の経験を他地域の方々に共有することは、客観的な評価を得る貴重な機会にもなるため、今回JICAによって帰国研修員達を繋いでもらい連携の機会を創出していただいたことに感謝しています。」

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