国別研修「幹線道路の地すべり対策工」の参加者が日本で研修を受講

2023.08.24

エチオピアでは、自動車輸送が主な移動・物流手段として使用されていますが、国の中心部をアフリカ大地溝帯が走り、都市と都市を結ぶ道路の中には、地すべりが起こりやすい急峻な山間部を通過する箇所が多くあり、そのため、雨季には地滑りが頻繁に発生し、道路を遮断することがあります。これにより、人の移動や物流に大きな障害を与えることがあります。

JICAが約265億円の無償資金協力を通じて建設した国道3号線は、同国内の主要な幹線道路のひとつとして首都アディスアベバ市と穀倉地帯を結ぶだけでなく隣国スーダンからエチオピア国内への石油輸送等も支えています。この道路は途中のアバイ渓谷などでの大規模な地滑り問題を抱えていたため、JICAはプロジェクトにおいて必要な対策を講じながら道路の建設を行いました。しかし、本地域は、地すべりが頻繁に発生する地域であり引き続き、その脅威にさらされています。また現在、JICAからの96.55億円の有償資金協力により建設を進めているジンマーチダ間道路(全長約80kmの道路)も、土砂崩れの危険性が高い地域に位置しています。

これらの地滑り問題を軽減するため、JICAは2010年にエチオピア道路局(ERA)との協力を開始しました。 それ以来、JICAは、日本人専門家の派遣、ERA職員の日本での研修、さまざまな機材供与を通じて、地すべり対策を能力強化を図っています。 しかし、地すべり対策工事はエチオピアにとって比較的新しい経験であり、この問題に十分に対処するための熟練した人材や技術がまだ不足しています。

こうした背景のもと、ERAからの支援継続の要請を受け、2020年から幹線道路における地すべり対策工事の計画と施工に関する国別研修を開催しています。 過去2回の研修は、COVID19の発生によりオンラインで実施されました。今回の研修は2023年7月15日から30日まで金沢で開催され、ERAから9名、エチオピアの地すべり対策関連部署である宇宙科学地理空間研究所から1名の職員が参加しました。

研修生はドローン(UAV)を使用した地形図の作成による地滑り対策の計画と実施や適切な対策の適用に関する手法など学びました。また白山国立公園では排水防護、トンネル防護、岩石防護、雪崩防護などの工法を視察しました。エチオピアとは大きく異なるコンクリート擁壁も視察するとともに、擁壁や道路の亀裂や水流の観察から被害を予測する方法や、UAVの操作方法などを学びました。

本研修を通じてERAの技術者が取得した知識やスキルが、このジンマーチダ間の道路での維持管理に生かされるとともに、全国の他の道路の維持に有効に活用されることが期待されます。

金沢河川国道事務所による排水トンネルについての説明

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ドローン(UAV)の使い方に関する講義(湯之谷)

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ドローン(UAV)の使用方法の説明

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ドローン(UAV)の飛行前の安全点検

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日本の専門家が、ドローン(UAV)の使い方をサポート

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ドローン(UAV)の飛行訓練

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地形図作成に関する講義

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