現地トレーニングから遠隔トレーニングへ
2020.08.31
現在、当機構JICAでは「太平洋地域ハイブリッド発電システム導入プロジェクト(広域)」を沖縄県の企業を中心として取り組んでいます。
本プロジェクトでは、大洋州の5か国、フィジー、ツバル、キリバス、ミクロネシア、マーシャルを対象に、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入状況等を踏まえたディーゼル発電機(以下、DG)の適切かつ経済的な運用・維持管理に加えて、再エネの適切規模での導入・運転を支援し、DGと再エネによるハイブリッド発電システムの導入を推進しています。
世界的に新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、本プロジェクトにおいても2020年4月以降の渡航計画を延期とし、現在も継続して渡航自粛となっております。
一方で、Web会議システムにより対象国と映像と音声でコミュニケーションが図れることが確認できたことから、同年6月より現地トレーニングに代わり遠隔トレーニングを開始しましたのでお知らせいたします。
遠隔トレーニング開始に当たって、日本側の使用教室では講師間のウィルス感染防止対策として、できる限り密状態を避けるように席を配置し、室内の強制換気と飛沫防止用アクリル板の設置を行い、第1回目の遠隔トレーニングを開始しました。
遠隔トレーニング開始当初は、対象国の方々も機器操作が不慣れで戸惑うこともありましたが、現在は操作にも慣れ、遠隔トレーニングは渡航自粛中でもコミュニケーションを図れる絶好の機会だと感じております。
ハイブリッド発電システムに関する必要なノウハウ、技術、運用維持管理についてパワーポイント資料、画像、動画などの資料を扱った講義が中心となりますが、一方的な講義にならないよう、クイズ形式や、質疑応答、意見交換を取り入れるなど試行錯誤しながらトレーニングを実施中です。
さらにマニュアル更新や燃料消費率測定、システム出力係数(パフォーマンスレシオ)算出など、CP側が主体的にプロジェクトの活動を進めるためのフォローアップも行っております。
早期に渡航再開することを期待しつつ、今後も渡航自粛期間中は遠隔トレーニングを中心にトレーニングを継続していく予定です。
DG | 6月17日 | キリバス |
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6月18日 | ツバル | |
6月22日 | ミクロネシア(ヤップ/チューク) | |
6月24日 | ミクロネシア(ポンペイ/コスラエ) | |
DG・再エネ | 6月25日 | 再エネ:キリバス DG:マーシャル |
再エネ | 6月26日 | ツバル |
6月29日 | ミクロネシア(ヤップ/チューク) | |
7月1日 | ミクロネシア(ポンペイ/コスラエ)、マーシャル |
DG | 7月21日 | ツバル |
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7月22日 | キリバス | |
7月27日 | ミクロネシア(ヤップ/チューク) | |
7月28日 | ミクロネシア(コスラエ) | |
DG・再エネ | 7月29日 | 再エネ:ツバル DG:マーシャル |
7月30日 | 再エネ:キリバス DG:ミクロネシア(ポンペイ) |
|
再エネ | 8月3日 | ミクロネシア(ヤップ/チューク) |
8月5日 | ミクロネシア(ポンペイ) | |
8月6日 | ミクロネシア(コスラエ)、マーシャル |
(注)第3回以降も継続実施中
(日本側)
株式会社沖縄エネテック会議室
(対象国)
ツバル:ツバル電力公社(TEC)会議室、交通・エネルギー・観光省(MTET)会議室
キリバス:公共事業公社(PUB)会議室
ミクロネシア:ポンペイ公共事業公社(PUC)会議室、ヤップ公共サービス公社(YSPSC)会議室、チューク公共事業公社(CPUC)会議室、コスラエ公共事業庁(KUA)会議室
マーシャル:マーシャルエネルギー公社(MEC)会議室、クワジェリン環礁ユーティリティ公社(KAJUR)会議室
(注)フィジー:通信環境の調整中につき、今後実施予定
(日本側)使用教室
使用機材等(カメラ、ディスプレイ)、飛沫防止対策用アクリル板、サーキュレータ
1)第1回遠隔トレーニング(DGと再エネ)
キリバスから7名、ツバルから8名、ミクロネシア4州から24名、マーシャルから11名の総勢50名のエンジニアが研修に参加。
2)第2回遠隔トレーニング(DGと再エネ)
キリバスから16名、ツバルから15名、ミクロネシア4州から34名、マーシャルから12名の総勢77名のエンジニアが研修に参加。
1.遠隔トレーニングスケジュールの説明
2.DGの基本的な知識(各系統)
3.DG日常点検Pmax調整,排気温度測定、FOラック調整)の説明
4.電気図面の見方(単線、三線、シーケンス図)
5.燃料消費率の測定方法と計算演習
1.遠隔トレーニングスケジュールの説明
2.ハイブリッド発電システムの基礎技術(HPGS)
3.パフォーマンスレシオの測定状況
4.ハイブリッド発電計画マニュアルの策定・解説・更新に向けた基礎知識
(注)各対象国共通
1.測定機器の使用方法(ノギス、マイクロメータ、ダイヤルゲージ)
2.電気計測機器の使用方法(RTD、TC、圧力計)
3.発電所の運用について説明
4.発電所改善状況の確認
1.周波数変動(系統定数、代数的手法)
2.O&Mマニュアルの作成と更新の基本
3.パフォーマンスレシオ
(注)各対象国共通
遠隔トレーニングの様子
遠隔トレーニングの様子
機器部品を用いた説明
測定機器の使用方法を実演
研修参加者の様子
意見交換の様子
通訳を介してコミュニケーションを図る
ホワイトボードを利用した演習講義
(Zoom映像)
ホワイトボードを利用した演習講義
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