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所長あいさつ

この度、JICAインド事務所長に着任しました、竹内 卓朗と申します。

インドは、日本と長く深い親交を有する国です。そして、日印関係を、世界で最も可能性を秘めた二国間関係と評する方がいらっしゃいますが、私もインドとの国際協力に大きな魅力を感じ、この国で仕事ができることを大変嬉しく思っております。

インドは可能性に満ち溢れた国です。例えば、人口は14億人を超え、およそ3人に1人は10歳から24歳の間にある若い国で、エンジニアの人口は世界最大と言われています。グローバル企業のトップ人材を多数輩出し、IT分野をはじめ様々な分野で豊富な人材を有し、そして中間層の人口が増大し、市場としての魅力も急激に増大しつつあります。日本でも、多くの企業、研究機関、自治体などが、将来性を有望視し、インドへの進出、拠点の拡大、インドの人々や機関との連携などを進めています。

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同時に、インドは、社会課題大国でもあります。依然として多くの人々が貧困に喘ぎ、世界銀行が貧困層(1日1.9米ドル未満で生活する人)と定義する層の人口は世界最大で、2010年には、約1.4億人で、世界の貧困層の約2割を占めていました。国際連合食糧農業機関(FAO)の調査によれば、飢餓人口も、2023年に約2.3億人いるとされ、世界の約30%を占めているとされています。栄養失調、若年失業、世界でもっとも深刻な水準の大気汚染、気候変動の影響が疑われる干ばつや氷河決壊による洪水、安心できる医療サービスへのアクセス、女性の社会進出等々、世界の開発途上国が直面している課題の多くがインドにあります。インド政府をはじめ、社会起業家、学界、市民社会など、数々の機関がこれらの課題の解決に向け様々な取り組みを行っています。

このように、インドには可能性と課題が満ち溢れ、その狭間に多くの機会が横たわっています。私たちがインドの社会課題の解決に協力できる余地は極めて大きく、例えば、インドで不足する技術やノウハウの提供、インドで必要とされる人材の育成、学術的な協力、自治体で培ってきた課題解決の知見の提供など、様々な形でインドの課題解決に貢献することができます。インドでは、志とエネルギーを持った数多くの方々がこうした課題解決に取り組んでおり、そうした方々との協働を通じて学びや刺激が得られる要素も多くあると思います。

また、そうした活動を通じ、インドの活力を日本に取り込み、日本の私たちの課題解決につなげることも可能です。たとえば、こうした課題解決の多くは、ビジネス機会にも直結し、インドでの市場獲得につながる可能性があり、また、若者に対する魅力ある就業機会の提供を通じ、日本における人材不足の解消につなげていくことも可能です。いま、私たちの目の前には、インドの人々とともに学び、ともに恩恵を受け、より強固な信頼関係を培ってゆける余地が大きく広がっています。

私は、これから、少しでも多くの方にインドとの協力に関心を持っていただき、日印両国の皆さまが共に恩恵を被ることができるような機会を作れるよう汗をかいていく所存です。先人の方々が培ってきてくださった日印両国間の深い友好関係や信頼関係に、わずかでも新たなページを書き加えることができれば望外の喜びです。

インドでの事業機会や、インドの人材や機関との関係構築などにご関心がある方は、ぜひJICAにお声がけ頂けますと幸いです。これから、どうぞ宜しくお願い致します。

2024年12月
インド事務所長 竹内 卓朗