〜世界最大の多言語国家インドへ!〜 多言語×音声コード「アクセシブルコード」が挑む、すべての人に平等な情報インフラ
2026.09.24
言語の違いや視覚障がいのあるなしに関わらず、世界中のすべての人が「自立して」正しい商品情報を手に入れられる社会を作りたい。
エクスポート・ジャパン株式会社は、そんな強い想いから、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」を活用し、1年間にわたるインド現地でのニーズ確認調査を行いました(案件名:インド国情報の多言語・音声化が可能なアクセシブルコードのニーズ確認調査)。
今回の調査を通じ、日本発の技術がどのように社会にインパクトを与え得るのか、1年間の現地調査から得られたリアルな教訓を紹介させていただきます。
「アクセシブルコード(Accessible Code)」は、視覚障がい者、ディスレクシアの方、外国語話者向けに、音声や多言語で、「商品の使い方や成分、安全上の注意」などの重要な情報を伝えるために作られた2次元コードです。たった1つのQRコードに最大15言語のテキストと音声を入れることができ、世界中の消費者に対して、ユニバーサルな情報提供を可能にします。「手で触ってコードの場所がわかる」仕様は、日本全国150名以上の当事者へのヒアリングや実際に体験してもらうことを通して、規格化されました。
日本国内では、大手製薬メーカーのOTC医薬品のパッケージにも採用いただいており、すべての消費者が自分自身で安全に情報を得られる環境作りを支援しています。
なぜインドへ?
世界中のすべての人が「自立して」正しい商品情報を手に入れられる社会を目指す我々にとって、世界最大の多言語国家であるインドは、かねてから注目していた市場でした。
進出の糸口を探す過程で、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」を見つけ、インドでの事業開発をスタートする第一歩としてニーズ確認調査に踏み出しました。
インドには、全盲や弱視を含め何らかの視覚障がいを持つ人が約7,000万人(総人口の約5%)存在すると言われています。彼らを取り残さない平等な情報インフラの提供を実現するために、政府としての動きが活発であることは理解していましたが、実際に現地で実地調査を行うと、商品情報のアクセシビリティにおいては大きな課題があることがわかりました。
現地の薬局やスーパー、バザール(露店や商店が集まる市場)などを調査して私たちが直面した最初の課題は、パッケージの大部分が英語表記のみという現実です。多言語国家であり、すべての人が英語やヒンディー語を不自由なく読めるわけではないインドにおいて(ヒンディー語話者は総人口の50%以下)、「商品の言語対応」という大きな課題があることが分かりました。
現地のスーパーで撮影した、歯磨き粉のパッケージ裏面
さらに、コンビニの数より多い「まちなかの薬局」では市販薬であっても外箱のない状態で、アルミの錠剤シート(PTPシート)単位で「切り売り」されて販売されるのが一般的でした。錠剤シートに印刷された文字は極小であり、かつ英語表記のみであり、たとえ目が見えたとしても「薬の使い方や成分、安全上の注意」を確認することは困難です。
こうした状況から、すべての人が「自立して」正しい商品情報を手に入れられる社会への道のりは想像より長いことがわかりました。
インドにおけるこのような実態に対して、当事者はどう思っているのでしょうか。
本調査のメインプログラムとして現地の薬科大学の協力のもと、南インド4州の当事者513名を対象に、服薬管理に関する聞き取り調査とアクセシブルコードの読み取り実験を行いました。その一部を紹介します。
※調査結果から抜粋
事前の予想通り、現地では当事者が自立して情報を得る手段が不足しており、音声によるガイドが極めて有効であることが分かりました。また、ほとんどの視覚障がい者がスマートフォンでコードを読み取れるという事実も確認でき、QRコードという日本発の技術を基盤としたアクセシブルコードが、現地の課題解決に適合する可能性を確認することができました。
視覚障がい者への聞き取り調査の様子
アクセシブルコードは、弊社が発行する多機能なQRコードをクライアントである製品メーカーが商品パッケージに印刷することで、消費者にその価値を届けます。
そこで私たちは、現地の製薬大手企業への訪問やパッケージング業界関係者が集う専門展示会への出展を通じて、企業側へのヒアリングを行いました。調査の結果、ここで新たなギャップが見えてきました。
消費者側にはインクルーシブな情報提供への強いニーズがある一方で、企業側には「障がい者向けの情報提供」という課題がまだ明確に認識されておらず、両者には明らかなギャップがありました。現地企業が特に関心を示したのは、市場で深刻な課題となっている「偽造品対策」や「流通経路の追跡」という、ビジネスに直結する防衛ニーズであり、福祉の文脈そのままでは、インドの企業に広く採用してもらうのは難しいというリアルな実態が浮かび上がりました。この現状を受けて、今後は、現在のアクセシブルコードが持つ価値に加えて、企業の関心が高い真贋判定機能などと統合させ、よりインド市場の現実に合わせたサービス設計を行っていくことが重要であると分かりました。
この消費者ニーズと企業ニーズのギャップを捉え、新しい気づきを得られたこと自体が、今回の大きな収穫です。
企業と消費者間のギャップ
本調査における最大の成果の一つが、カルナータカ州・マイソールで開催した調査報告会でした。
報告会では、調査に関わってくださった現地の薬科大学に加えて、カルナータカ州の保健・家族福祉大臣(Dinesh Gundu Rao氏)のご臨席を賜りました。我々が明らかにしたこの深刻な実態を目の当たりにした大臣は、「高齢者や視覚障がい者の命の安全を守るため、医薬品パッケージへのQRコード義務化をインド中央政府へ公式に提案する」ことをその場で表明してくださいました。これは、日本発の技術がきっかけで現地の重要な課題が浮かび上がり、現地政府への働きかけを行うというプロセスが体現された瞬間でした。
報告会の様子
これが叶ったのはひとえに、JICAという後ろ盾がもたらす圧倒的な「信用」があったからに他なりません。日本の一民間企業が単独でアプローチしても、政府の要人に直接会って技術を提案する機会を得ることは不可能に近かったはずです。JICA事業を活用する最大のメリットは、資金的なサポートだけでなく、未知の市場でJICAというネームバリューを存分に活用できる点にあります。これは調査や事業活動の質を大幅に上げるだけではなく、現地政府機関とのネットワークを築くきっかけにもなります。
また、この報告会は、現地メディアでも複数取り上げていただきました。
現地で取り上げられた際の新聞記事の写真
今回の1年間にわたる調査を通して痛感したのは、「どれほど優れた技術であっても、現地のインフラや企業の本音に寄り添わなければ、社会実装は絵に描いた餅に終わる」というリアルな現実でした。机の上では見えなかった言語の壁やニーズのギャップを知れたことこそが、私たちが得た最大の学びです。
今後は、今回の挑戦で得た学び、現地とのつながりを糧に、すべての人が「自立して」正しい商品情報を手に入れられる社会を目指して、さらなる挑戦を続けていきます。
具体的には3つ。
また、ご支援いただいたJICAとのネットワークを今後も維持・継続し、世界中のすべての人が「自立して」正しい商品情報を手に入れられる社会を目指して挑戦を続けてまいります。
インドの視覚障がい者のみなさんにも実際に読み込んでいただいた、実際のQRコードをぜひ皆様もご覧ください。
※印刷時は、弊社が規格化した凹凸加工を施すことで、目の見えない方が「触ってわかる」仕様になっています。
アクセシブルコードの特徴
消費者側のメリット
企業側のメリット
多言語対応や海外展開におけるパッケージ戦略にご関心のある企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
エクスポート・ジャパン株式会社
アクセシブルコードの詳細はこちら:https://jp.accessible-code.com/
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