国際協力機構（JICA）は、技術協力プロジェクト「新型コロナウイルス感染症流行下における遠隔技術を活用した集中治療能力強化プロジェクト」で建設を行ったプレハブICU（集中治療室）について、2022年10月18日、教育文化研究技術省およびハサヌディン大学病院に対して、引き渡しを行いました。インドネシア側を代表して教育文化研究技術省のソフワン高等教育局長とハサヌディン大学病院のマイスリ病院局長が、日本側を代表してJICAインドネシア事務所次長の岡村が引き渡し式典に出席しました。

本日引き渡しが行われたプレハブICUは、新型コロナウイルスの流行のさなか、ハサヌディン大学病院の集中治療室の病床の逼迫に対応するため、JICAがプロジェクト内で建設を行ったものです。プレハブICUは、5つの病床を備えた独立した建物で、管理室から、患者の状況が遠隔で監視できるようになっています。JICAは、プロジェクトの中で、遠隔医療を使った集中治療に必要な医療機器やIT機器も供与しており、これらの機器とあわせて、プレハブICUが活用される予定です。

ハサヌディン大学病院は、スラウェシ島に所在する、インドネシア有数の教育機能を持ち合わせた大学病院です。同病院は、今回JICAから供与したプレハブICUを、新型コロナウイルスの患者のみならず、その他の感染症の患者の治療にも、活用する予定です。プロジェクトでは、遠隔医療による集中治療の能力強化など、技術面の協力も行ったことから、今回建設を行ったプレハブICUや医療機器といったインフラとあわせ、協力の成果を最大限活用していくことが、期待されています。

先述のプロジェクトは、2022年9月30日をもって一旦終了していますが、JICAは、2022年10月1日より、次のフェーズとして遠隔医療に関する協力を新たに開始しています。新フェーズでは、これまでの協力で得られた成果や経験を糧に、インドネシア国内、特に地方部や離島における医療格差を是正するため、遠隔医療の更なる利活用、そのための技術協力を、進めていく予定です。協力の分野は、インドネシア大学病院とは引き続き集中治療を、ハサヌディン大学病院とは、眼科や産婦人科の分野で協力を行うことが、決定しています。

引き渡し式典で、JICAインドネシア事務所次長の岡村氏は、教育文化研究技術省、ハサヌディン大学病院、その他の関係者に謝意を表するとともに、「インドネシア国内、とりわけスラウェシ島の医療を牽引するトップ病院の一つであるハサヌディン大学病院が、今回供与するプレハブICU、およびこれまでJICAが技術協力を行って得られた遠隔医療や集中治療の経験・知識を使って、地域の医療サービスや医療教育を、量・質ともに向上させていって欲しい」と今後の期待と展望を述べました。

JICAインドネシア事務所　津田
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