インドネシア政府主催 母子健康手帳活用促進の国際研修を北スラウェシ州で開催 ~日本発の母子手帳、インドネシアから世界へ~
2024.10.21
インドネシア保健省は、国家官房、外務省を含むインドネシア関係省庁及び独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力の下、2024年10月20日から25日まで、北スラウェシ州にて「母子健康手帳(以下、母子手帳)を活用した母子保健サービス向上のための知識共有プログラム」を開催し、インドネシア国内5州および日本を含むアジア・アフリカ・環太平洋地域の7カ国から約21名の母子保健行政官が参加します。
インドネシアは、1993年にJICAの技術協力を通じて母子手帳導入の取り組みを開始した最初の国の一つです。日本人専門家たちの支援のもと、日本の母子手帳を単に翻訳するのではなく、各地域の特色や文化を反映させた独自の母子手帳を開発しました。その後30年以上にわたる協力の成果として、母子手帳による啓発や保健指導が強化され、医療従事者の介助による安全な出産の割合が2004年の71%から2022年には95%にまで向上しています。
2007年からは、インドネシア保健省がJICAと共同で国際研修を開始しました。これまでに東南アジアのみならず、中東やアフリカなど18の国や地域から参加者を招き、15回の研修を開催しており、現在ではグローバルな視野に立ち、他国への技術移転を行う立場となっています。この取り組みは、世界保健機関(WHO)による家庭用母子保健記録に関するガイドライン策定にも大きく貢献しました。なお、本プログラムでは、参加国の保健医療従事者や行政官に対し、母子手帳を活用した継続的なケアの提供方法や、分野横断的な協力体制の構築など、参加国が経験を共有し知見の交換が行われます。ダンテ保健副大臣からも、オープニングスピーチの中で、「本KSPを通じて、参加各国がインドネシアの経験やベストプラクティスを学び、自国で活かす機会となることを期待しています。同時に、インドネシアも参加国の貴重な経験から学ぶことを楽しみにしています。」とのコメントがありました。
JICAによるインドネシアの母子手帳プロジェクトは本年10月27日をもって終了しますが、これまでの協力を通じて育成された人材と経験を活かし、今後はインドネシア政府が主導的な役割を担い、母子手帳を通じた母子保健の向上を国際的に推進し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた重要な推進力となっていくことが期待されています。
【研修概要】
日時:2024年10月20日〜25日
場所:インドネシア共和国 北スラウェシ州マナド・トモホン・北ミナハサ
参加国:ブルンジ、カンボジア、フィジー、ラオス、ネパール、東ティモール、(ベンチマーク:日本)
主催:インドネシア共和国保健省、国家官房、外務省
協力:国際協力機構(JICA)
KSP2024 参加者集合写真。
ダンテ保健副大臣からのオープニングリマークス。
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