JICA草の根技術協力事業のクロージングセレモニー 連携先の宮城県岩沼市・佐藤市長がパル市を訪問して出席 ~パル市集団移転地におけるより災害に強いコミュニティ形成事業~
2025.07.15
JICA草の根技術協力事業「パル市集団移転地におけるより災害に強いコミュニティ形成事業」では、7月14日(月)にクロージングセレモニー(成果報告会)をパル市で実施しました。本事業の提案自治体である宮城県岩沼市の佐藤淳一市長や玉浦西まちづくり住民協議会、実施団体である公益社団法人青年海外協力協会(JOCA東北)の関係者もパル市を訪問し、セレモニーに出席しました。また、佐藤市長はセレモニーへの参加に加え、パル市のハディアント・ラシド市長(Mr. H. Hadianto Rasyid)と面談、「震災経験を通じたまちづくりの共創」に関する意見交換を行いました。
本事業では、2018年9月に発生したスラウェシ島地震の復興事業として行われている被災者の集団移転事業を支援してきました。具体的には、岩沼市とJOCA東北が東日本大震災の際に集団移転先のコミュニティ形成支援を行った知見を生かし、パル市の避難所や仮設住宅及び集団移転地区での被災者生活支援や住民自治会主体によるコミュニティ活動支援を行ってきています。
行政が住民と連携して地域防災力を向上させるコミュニティ形成手法の確立を目標に、パル市住民による自主防災組織の形成や、災害に強いコミュニティづくりにおける行政官やコミュニティリーダーの能力向上に関する技術協力を行ってきました。こうした活動を通じたパル市の防災に強いまちづくりへの貢献に加え、そこで得た知見やネットワークが日本国内地域へと還元され、岩沼市内での外国人との共生社会の理解促進に繋がることが期待されています。
セレモニーでは、岩沼市やJOCA東北の出席者に加え、パル市開発企画局(BAPPEDA)や同市の集団移転地区「フンタップ・トンド」、地区防災組織(PRB)などの関係者も出席しました。JICAからは、東北センター(宮城県仙台市)の関係者もパル市を訪問、セレモニーに出席し、約100名が参加しました。また、PRBと玉浦西まちづくり住民協議会が、まちづくりや町内イベントの企画運営などにおいて連携するための姉妹友好町内組織に関する協定を締結、PRBのマジッド会長(Mr. Syahruddin Madjid)と玉浦西まちづくり住民協議会の菊地正広会長が協定書に署名しました。
セレモニーで挨拶をした岩沼市の佐藤市長は、「震災からの復興に取り組んだ経験が生かされ、本日、国を越えた住民組織同士の連携協定が締結されること、大変嬉しく思っております」と述べました。パル市のハディアント市長は、「スラウェシ島地震では、日本、JICAに助けていただいた。 様々な国からも支援を受けてきたが、今でも継続して支援してくれているのは日本だけであり、大変感謝している」と述べました。パル市災害管理局長のプレスリー局長(Mr.Presly Tampubolon)は「岩沼市、JICA、JOCA東北の防災キャパシティビルディング支援に感謝します。この復興は彼らのお陰です」と述べました。PRBのマジッド会長は「防災訓練は今年2回実施 (2月と6月)することができた。これからも活動を継続し、災害リスクを減らすために頑張っていきたい」と述べました。
また、JICA東北センターの所長である花立大民は、「インドネシアも日本も自然災害のリスクが高く、これまで歴史上多くの自然災害に見舞われてきましたし、今後もその災害から逃れることはできません。今回のプロジェクトを通じて、その経験やノウハウをパル市と岩沼市が相互に共有し、両市において災害レジリエンスが高まる一助となったものと確信しております」と述べました。
JICA草の根技術協力事業は、国際協力の意思のある日本のNGO/CSO、その他民間の団体、地方公共団体または大学が、開発途上国の住民を対象として、その地域の経済及び社会の開発または復興に協力することを目的として自己の利益に関わりなく行う国際協力活動です。上述のとおり、本事業は、宮城県岩沼市によって提案され、JICAが採択した後、JOCA東北の実施のもとで2022 年 9 月より開始されました。
クロージングセレモニーの集合写真
スピーチをする岩沼市の佐藤淳一市長
姉妹友好町内組織に関する協定書を手にして並ぶ岩沼市・佐藤市長とパル市・ハディアント市長
2018年9月28日、中部スラウェシ州の州都パル市の北80kmを震源とするマグニチュード7.5の地震が発生し、主に液状化に起因すると推測される内陸部での地すべり及び沿岸部での津波の影響により、甚大な被害が生じました。現在もJICAを含む各国ドナーやインドネシア政府による復興事業が進められており、そのうちの一つの活動として、被災者の集団移転事業も行われています。移転地における新たなコミュニティ形成においては、災害に強いコミュニティづくりが求められていますが、多様な背景を持つ住民間によるコミュニティ形成の難しさや、大規模災害を経験したにも拘らず住民の防災意識が低いことなどが課題となっています。
岩沼市とJOCA東北は、2011年6月、仮設住宅サポートセンター運営に関する協定を締結し、避難所や仮設住宅及び集団移転先での被災者生活支援や住民自治会主体によるコミュニティ形成支援を行ってきています。さらに、2015年8月には、「まち・ひと・しごと創生に関する協定」を締結し、震災復興事業と共に地方創生事業にも取り組んでいます。東日本大震災からの復興に取り組んできた経験・ノウハウが本事業に活かされています。
本事業について
JICAインドネシア事務所担当 坂
TEL: +62-811-8125-9942
E-mail:Saka.Yosuke3@jica.go.jp
広報について
JICA Indonesia事務所広報担当 プトリ
TEL: +62-21-5795-2112 (ex.222)
E-mail:putrisiahaan.in@jica.go.jp
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