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パル市で防災備蓄倉庫の譲与式と防災訓練を実施 ~青年海外協力協会(JOCA)が東日本大震災の経験を生かして パル市の地域防災力向上に取り組む草の根技術協力事業~

2025.03.27

2025年2月1日、インドネシアの中部スラウェシ州パル市にある集団移転地区「フンタップ・トンド」において、公益社団法人青年海外協力協会(以下、「JOCA」)が実施するJICA草の根技術協力事業の活動として、災害用緊急備品倉庫の譲与式を行いました。また、翌2月2日には、同地区での防災訓練活動も実施しました。

本プロジェクトは、「パル市集団移転地におけるより災害に強いコミュニティ形成事業」と呼ばれ、2018 年 9 月に発生したスラウェシ島地震の復興事業として行われている被災者の集団移転事業を支援することを主な目的としています。具体的には、フンタップ・トンドの“PRB”と呼ばれる自主防災グループの組織力強化によるコミュニティの防災能力向上や、多様な背景を持つ住民同士の新しいコミュニティづくりを目指し、パル市政府と連携して防災プログラムの実施や映像マニュアル作成、コミュニティリーダーの育成などを行っています。

本事業実施団体であるJOCAの星英次プロジェクトマネージャーは、JICAのインタビューで、プロジェクト終了後もコミュニティが学習を継続できるよう、緊急時に必要な物資を倉庫に備える、ビデオマニュアルを作成する等、災害リスク教育(DRR)活動を支援していることを述べました。

2月1日の譲与式では、出席したパル市のレニー・ラマジド副市長のスピーチや関係者立ち合いのもとで引き渡し議事録への署名が行われ、譲与する災害用備品倉庫の前で関係者によるテープカットセレモニーも実施されました。

レニー・ラマジド副市長は、災害用備品倉庫の重要性を強調し、「マット、ベッド、発電機などの緊急備品を含むこの倉庫の備品は、私たちのコミュニティにとってかけがえのないものになるでしょう。将来、災害が発生した際や、パル市民が災害リスク軽減(DRR)プログラムを実施する際に、より良い準備をする上でこの備品は非常に役に立つでしょう」と語りました。

また、翌2月2日には地域住民を対象とした防災活動が実施されました。防災組織PRBが主体となって、フンタップ・トンドでの自主避難訓練が行われ、約200名のフンタップ・トンドの住民が参加しました。震災発生を想定した避難行動、救護活動に子供を含む多くの住民が真剣に取り組み、防災意識向上、防災組織の人材育成の貴重な機会となりました。

フンタップ・トンドのリーダーであるムルシディンさんは、避難訓練の重要性を強調し、地域住民に非常時の適切な行動を教えることの大切さを語りました。そして、PRBのリーダーであるマジッドさんからは、避難訓練の実施を支援したJICAとJOCAへの感謝の言葉がありました。「今回の避難訓練について、JICAとJOCAに心から感謝します。この訓練は私たち住民にとって非常に重要です。災害が発生したとき、彼らはこの訓練で学んだことを生かすことができるでしょう」。

地域住民のアイラさんは、「今回が初めての避難訓練でした。防災の知識が乏しい私たちにとって、減災のための貴重な知識を学ぶことができました。この訓練を通して、避難場所を特定することや地域社会での協力の重要性など、重要なポイントを理解しました」と自主防災訓練に参加した感想を述べました。

2022年9月に始まったこのプロジェクトは、2025年8月に完了する予定ですが、パル市のイルマヤンティ地方長官からは、本事業が提供する訓練、避難訓練、コミュニティ形成の知見が、将来にわたって地域住民に裨益し続けることへの期待の言葉がありました。JICAはJOCAと連携し、現地からの期待に応え、事業終了後もパル市のコミュニティが災害に強いコミュニティづくりを持続的に目指していけるよう、今後も本事業の活動に取り組みます。

パル市フンタップ・トンドでの災害用緊急備品倉庫の譲与式(2025年2月1日)

災害用緊急備品倉庫譲与式のテープカットの様子。

パル市の副市長と地方長官、JOCAとJICAの代表者による倉庫視察の様子。

集団移転地区での防災活動(2025年2月2日)

指定避難場所へ避難する参加者の様子。

死亡したと仮定する地震被災者の搬送を行うPRBメンバーの様子。

避難キャンプで参加者に食事を配るPRBメンバーの様子。

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