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バリ島の住民向け火山防災教育事業のクロージングセレモニーを開催 - 山梨県富士山科学研究所による草の根技術協力事業

2025.06.25

2025年6月2日~3日、バリ島のカランアスム県において、JICA草の根技術協力事業「地方大学を拠点とした低頻度大規模災害に対応可能な防災コミュニティづくり」で実施された3年間の集大成として最後のSPAB(防災教育ユニット)とクロージングセレモニーを実施しました。この事業は、富士山科学研究所がカウンターパートであるウダヤナ大学と協力して実施し、大規模で低頻度の火山災害に対して特に脆弱な地域であるカランアスム県を対象地域として、災害に強いコミュニティの構築を目的としていました。

2017年のアグン火山噴火により、約14万人(想定の約2倍)が避難を余儀なくされました。これは、多くの住民が火山災害に関する十分な知識を持っていなかったことが要因の一つです。この問題を解決するため、2022年に開始された本事業では、アグン火山周辺に住む住民を対象に火山防災教育を推進し、特に小学生をターゲットにして実施されました。また、教員の火山防災教育に対する心構えを整えたり、生徒たちが学んだ知識を家族や近隣の人々と共有したりすることも狙いとしています。

最後のSPABでは、カランアスム県にあるドゥダ・ティムール小学校で火山防災教育のワークショップが開催されました。バリ州FPRB(災害リスク削減フォーラム)が主体となって生徒たちに火山災害の基本と、安全に避難する方法や効果的な防災について伝えました。また、本事業のプロジェクトマネージャー(PM)の吉本氏が実験道具を使い溶岩やラハールの流れや、火山灰の広がりについての視覚体験講座を提供しました。本事業、特に地域社会への啓発活動と教育に関して積極的に連携して災害リスク軽減(DRR)に取り組んだ地元のボランティア組織「パスバヤ・アグン・ボランティア・フォーラム」も、ワークショップの主要なファシリテーターとして参加しました。

そして、その翌日にウダヤナ大学でクロージングセレモニーが開催されました。式典の前に、吉本PMが、ウダヤナ大学の工学部の学生を対象に講義を行いました。吉本氏は山梨県における防災教育に触れ、コミュニティベースの災害教育の重要性を強調、また、博物館が幼少期の災害リスク軽減教育において果たす大きな役割を例に挙げて説明しました。

式典には、ウダヤナ大学工学部学部長代理のアルフィン・イェシァヤ教授と吉本PM、工学部学生が参加しました。ウダヤナ大学災害研究センターのイ・ニョマン・スタルジャセンター長は、閉会の挨拶で吉本氏と富士山科学研究所に対し、これまでの協力と貢献への感謝の意を表しました。また、学生の1人であるアデルさんは、この事業への参加を通じて、災害への備えの重要性を学んだと述べました。

本事業は終了となりますが、吉本氏は、ウダヤナ大学が火山防災教育活動への取り組みを続け、学生を巻き込んで小学校への啓発活動を継続して行うことを希望していると述べました。

富士山科学研究所、ウダヤナ大学、バリ州FPRB、JICA横浜、ドゥダ・ティムール小学校のメンバーとの集合写真。

ドゥダ・ティムール小学校の生徒に富士山科学研究所が防災教育をするワークショップの様子。

吉本PMがウダヤナ大学工学部の学生に向けて講演する様子。

講演において吉本博士へ質問するウダヤナ大学の学生。

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