【JICA海外協力隊】ラオス国立博物館 第4回 展示室1の紹介

2023.09.14

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サバイディー。ラオス国立博物館で学芸員として活動中のJICAシニア海外協力隊員の上山です。
 第4回は、第3回で紹介した博物館の「展示室1」の続きを紹介します。
「展示室1」には、1中生代のラオス 2先史時代 3前ランサーン王国時代のラオスの歴史の3セクションがあります。
 今回は、第2セクション(先史時代)の中で、「青銅器・鉄器時代」の代表的な展示品を紹介します。

(1)銅鼓

(写真2)

(写真2)

(写真3)

(写真3)

(写真4)

(写真4)

(写真5)

(写真5)

高さ80cm、直径1.1mで、ラオスで最大級の大きさの銅鼓です(写真2)。ヘーガーI式と呼ばれる形式です。約2000年前のものと推定されます。サワンナケート県で、2008年偶然に発見されました。
 銅鼓は、ベトナム北部を中心とする「ドンソン文化」の代表的な遺物です。農耕の祭りや儀式などで使用された楽器と推測されます。この銅鼓の表面には、ユニークな文様の浮き彫りがあります。たとえば、独特な髪飾りと奇抜な衣装を身にまとった女性たちが見られます(写真3)。川に浮かぶ船や鳥・魚などの動物も描かれています(写真4)。上部の円の縁には4匹のカエル像が取り付けられています(写真5)。農耕のために雨が降ることを祈るシンボル的なデザインでしょうか。

(2)ラオパコ遺跡の発見物(グム郡、首都ビエンチャン)

(写真6)

(写真6)

(写真7)

(写真7)

ラオパコ遺跡(ビエンチャンから40kmのナムグム川沿い所在)で見つかった大型の土器です(写真6)。残存部高さ約50㎝、横幅約45cm。埋葬用の甕(かめ)と考えられ、約2000年前のものと推定されます。
刻み目のある2本の粘土の紐(ひも)が、土器の肩の部分に平行して一周貼り付けられています。
 下の紐は一箇所で結ばれて両端が口髭のように上を向き、結び目の中央にねじ頭のような突起があります。このような独特のデザイン文様がある土器は、メコン川対岸のタイ東北地域の遺跡でも見つかっています。このことは、ラオパコ遺跡の古代人が河川を通じて周辺地域と文化的交流をしていたことを物語っています。

ラオパコ遺跡からは、ネックレスや腕飾りなどの副葬品(写真7)や金属を溶かす際に使った土製用具・溶けた不純物の滓(かす)も発見されました。
このように、ラオパコ遺跡は、ラオスの「鉄器時代」(先史時代)の埋葬や金属製錬について知ることのできる代表的な遺跡として有名です。

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