【JICA海外協力隊】ラオス国立博物館 第6回 展示室2の紹介

2023.11.21

サバイディー。ラオス国立博物館で学芸員として活動中のJICAシニア海外協力隊員の上山佳彦です。
展示紹介シリーズの第6回は、「展示室2」の「前ランサーン王国時代」の展示品をご案内します。

(1)前ランサーン王国時代(11~14世紀頃)の概要 
ラオ族は、インドシナ半島へと次第に南下移動し、11世紀頃からメコン川流域に定住したと考えられています。彼らは「ムアン」と呼ばれる政治的にまとまったいくつかの地域集団を形成しました。
1353年にファーグム王がラオ族の統一国家である「ランサーン王国」を建国する以前に、ビエンチャン周辺などメコン川流域に都市(市街)がいくつか建設されていたことが調査された遺跡からうかがえます。今回は以下の3遺跡で見つかった出土品を中心にご紹介します。

(2)サイフォン遺跡の出土品 【写真2・3】
サイフォン遺跡は、首都ビエンチャン南部のメコン川沿いのハドサイフォン郡の肥沃な平野部に所在しています。約1000年前に都市が形成された場所です。30以上の遺跡が確認され、貯水池、井戸、広範囲にわたる人工水路で結びついていました。当時は約300の寺院があったと伝えられています。
発掘調査の結果、市街は11~12世紀に建設されたと考えられます。最古の寺院遺跡から判断して、この地に11世紀には仏教が確立し、重要な宗教的中心地であったと推定されます。
写真2は土器壺です。高さ22cmで細い首の形で肩に4箇所紐を通す突起があり、液体を入れて持ち運ばれたと考えられます。写真3は鉄製の釘やカスガイです。建物の木造部分などをつなぎ合わせるために使用されたものです。これらは12-13世紀のものと推定されます。

(3)パイナム遺跡の出土品 【写真4・5・6】
パイナム遺跡は、ビエンチャン県ビエンカム郡に所在します。発掘調査で、約800~900年前や12-13世紀頃のレンガ作りの寺院の建物跡やたくさんの屋根瓦が見つかっています。
写真4は寺院の建物などに使われたレンガです。さまざまなタイプがあり、建物の修復や建て替えが繰り返し行われたと見られます。写真5は人骨を埋納した骨壺です。高さ37cm。寺院周辺に埋葬されたものと考えられます。写真6は鉄製工具です。残存長さ20cm。表面はサビでおおわれていますが、ものを切るために使用された道具です。これらは12-13世紀のものと推定されます。

(4)スワンナコムカム遺跡の出土品 【写真7・8】
スワンナコムカム遺跡は、ボーケオ県トンペン郡のメコン川左岸に所在します。この地域はラオス・ミャンマー・タイのゴールデントライアングルとして知られています。この古代都市ではおよそ40遺跡が記録され、堀、井戸、塔、寺院、仏像などが見つかっています。市街はランサーン王国以前に何度か建設し直されたことが考古学的な証拠からうかがわれます。
写真7・8は、レンガです。長方形のレンガ(写真7)は長さ31cm、幅15cm、厚さ6.5cm。円形を4分割した形のレンガ(写真8)は1辺の長さがそれぞれ23cm、円周形の長さ35cm、厚さ6cm。いずれも大型のレンガで、寺院などの建物や城壁に使われたと考えられます。12-13世紀のものと推定されます。

開館時間: 8:00~12:00 13:00~16:00(月曜日から金曜日)
観覧料:ラオス人5,000キープ、外国人30,000キープ
連絡先:電話:+856 021 212461, ファックス: +856 021 720099
E-mail: museuminfo.2020@gmail.com
地図:https://goo.gl/maps/DqxoKa19wzR1wR3GA

#ラオス国立博物館  #JICA海外協力隊

1 JICA Volunteer with museum staff members

1 JICA Volunteer with museum staff members

2 pottery jar

2 pottery jar

3 nails and a hook made of iron

3 nails and a hook made of iron

4 bricks

4 bricks

5 cinerary urn

5 cinerary urn

6 iron tool

6 iron tool

7 brick

7 brick

8 brick

8 brick

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