【JICA海外協力隊】ラオス国立博物館 第7回 展示室2の紹介
2023.12.21
サバイディー。ラオス国立博物館で学芸員として活動中のJICAシニア海外協力隊員の上山佳彦です。
展示紹介シリーズの第7回は、「展示室2」のランサーン王国時代(前期)の展示品をご案内します。
01 Study tour of students in the museum
(1)ランサーン王国(14~19世紀)の概要 【写真2・3】
1353年、ファーグム王(写真2)は、メコン川周辺に分立していたムアン(地域的にまとまった都市や村落)をまとめ、ラオ族の統一国家である「ランサーン王国」を建国しました。王はシェントーン(現在のルアンパバーン)に都を置きました。国家統治の原理として「上座部仏教」を導入し、現在のラオスで仏教が信仰される基盤を築きました。
ランサーン王国は、一時期、現在のタイ東北部も含むインドシナ半島内陸中央部を最大領域として治めました(写真3)。ビエンチャン遷都(1560年)を経て、三国に分裂した後、19世紀まで続きました。
02 Statue of King Fa Ngum
03 Area map of the Lanxang Kingdom
(2)ランサーン王国時代前期(首都シェントーン、14~16世紀)の展示品 【写真4~11】
写真4は2本の象牙です。長さ115cm、幅11.5cm。14世紀頃のもの。ランサーン王国とは、「百万頭の象の王国」という意味です。ラオ語でランは百万、サーンは象です。象は国家の象徴となる特別な動物です。ラオスの人々は、「象は神聖で、幸運を招く強い動物であり、人々に繁栄と長寿をもたらす」と信じているため、この象牙は大切に受け継がれたのでしょう。
04 A set of ivory artifacts
写真5は青銅製の仏像です。仏像の高さ約115cm、台座の高さ45cm、幅40cm。14~15世紀頃の作品。両手のひらを正面に向けた仏像のポーズは、争いを止めよという意味が込められているとされ、ルアンパバーン美術様式の特徴です。
05 Buddha image statue made of bronze
写真6・7はヤシの葉に手書きされた写本です。14世紀頃のもの。南アジアやラオスなどの東南アジアでは、歴史、法律、仏教経典などの記録を紙の代わりにヤシの葉に一枚一枚書き写し、一巻本にして保存しました。写本は次のような手順で作成しました(写真8)。まず、横長に切りそろえたヤシの葉を煮てから乾燥させ、次にその一枚一枚に鉄筆を使って手で文字を書き写し、最後に刻み目に黒いインクを塗り込めて文字が読めるようにしました。
06 Manuscript written on the palm
07 Manuscript written on the palm
08 Procedure of making the manuscript
写真9・10・11は、木・漆・竹・コウゾなど自然の植物資源を使ったラオスの伝統的な手工芸品です。14~15世紀頃のもの。木製盾(写真9)は、表面に黒漆が塗られ、車軸をかたどったような放射線状の文様が白い絵の具で描かれています。直径50.7 cm。儀式用の面(写真10)は、コウゾ(樹木)の繊維を漉(す)いた「紙」を貼り合わせて顔形が作られ、絵の具で獣面が描かれています。高さ21 ㎝、幅21 cm。14~15世紀頃。もち米(カオニャオ)ご飯入れ(ティップカオ)(写真11)は、細い竹ひごを編んで作られ、豪華な装飾が施されています。大きい方は高さ52 ㎝、幅25.6cm。14~15世紀頃のもの。カオニャオはラオス人が大好きな主食です。
09 Shield made of wood
10 Mask shaped with mulberry
11 Sticky rice baskets made of bamboo
開館時間: 8:00~12:00 13:00~16:00(月曜日から金曜日)
観覧料:ラオス人5,000キープ、外国人30,000キープ
連絡先:電話:+856 021 212461, ファックス: +856 021 720099
E-mail: museuminfo.2020@gmail.com
地図:https://goo.gl/maps/DqxoKa19wzR1wR3GA
#ラオス国立博物館 #JICA海外協力隊
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