JICA海外協力隊に聞くラオス文化、伝統等について~第2回 美弥子所長が聞く~

2024.04.11

2024年4月13日~16日はラオス正月(ピーマイ)です。ピーマイは別名水かけ祭りとも言われています。そこで今月は、2024年3月末にラオスでの任期を終えたJICA海外協力隊員に、ピーマイにちなんで、ラオスの文化・伝統について話を聞きしました。

●参加者(JICA海外協力隊)

皆でお昼ご飯を食べながらラオス文化、伝統等についていろいろ話しました!

・上山佳彦隊員(学芸員)
・金子ちひろ隊員(環境教育)
・長澤由美子隊員(学校保健)
・宮川純加隊員(理科教育)
※モデレーター:小林美弥子所長

1. ラオス正月(ピーマイ)について

小林美弥子所長(以下、美弥子所長) :2024年4月中旬のラオス正月(以下、ピーマイ)にちなんで、ラオスの文化、伝統についてお聞きできればと思います。まずは、JICA海外協力隊で約2年間活動されていたみなさんからピーマイの経験について話を聞かせてください。

金子ちひろ隊員(以下、金子隊員) :ピーマイは日本の新年と同じように、お寺に行きました。日本のイメージだとどこかひとつのお寺に参拝しに行くイメージだと思いますが、近所の方にお寺に連れて行ってもらったところ、最終的に9か所のお寺巡りをすることになりました 。ラオス語で「9」は「前進」という意味があり、運の良い数字です。

金子ちひろ隊員(環境教育)

上山佳彦隊員(学芸員)

上山佳彦隊員(以下、上山隊員) :私はピーマイを2回経験しました。ピーマイは、「祈り」から「エンターテインメント」という側面が強くなってきているように感じました。地方部ではまた違うかも知れませんが、近所の大学生に話を聞いてみたところ、ピーマイにはお寺に行かずに、昨年の悪い気を落とし、新年の幸運を呼ぶ意味のある「水かけ」だけを楽しむという若者も多いそうです。また、ピーマイの時にはアロハシャツのような服装で着飾り、お祝いをします。本来は、仏像に水をかけることで、悪いことを流すという宗教的な意味合いが強かったのですが、従来の意味は薄れてきているように感じます。

宮川純加隊員(以下、宮川隊員) :ピーマイに限らず、ラオスの方々は、お祭りが好きだなと思いました。子どもたちにラオスの好きなところを聞くと、お祭りが好きと答えます。ピーマイのときには、その1週間前くらいからお祭りモードで、上山隊員がおっしゃっていたようなアロハシャツを選び、楽しい雰囲気です。

宮川純加隊員(理科教育)

長澤由美子隊員(学校保健)

長澤由美子隊員(以下、長澤隊員) :ピーマイの時は、自宅で宴会をするだけでなく、学校で飲食します。また、「水かけ」は盛り上がります。 幼い小学生から大学生までそれぞれ学校に来て、楽しんでいます。そのとき、大きな音量で音楽をかけます。小学生も普通に楽しんでおり、ラオスの大音量で音楽を流す文化になじんでいます。

2. ラオス文化について

美弥子所長 :みなさんが考える、ピーマイ以外のラオスらしい文化はありますか?

金子隊員 :時間通りに始まらないことが多々あるラオスですが、テスト等大事な時には必ず時間通り始まるため、人によっては1時間前に到着していることもあります。ラオスは時間に対して緩やかなイメージを持たれていますが、このようなギャップには驚くときがあります。

上山隊員 :大雨が降り、床下浸水になったときに、通常であればネガティブな気持ちになるかと思いますが、逆に川から溢れ出てくる魚を捕りに行くのを見てとても驚きました。「ピンチをチャンスに変える」考え方はなかなか日本にないところだなと思いました。

宮川隊員 :ラオスの方は、ラオス語で「助け合い」を意味する「スワイカン」という言葉をよく使います。例えば、昼食のときに、私がご飯を持ってきていない場合には、「一緒に食べようよ」と声を掛けてくれ、少しずつもち米やおかずを持ち寄って食べます。私のとても好きな文化です。また、ラオスでは昼食後、お昼寝をする習慣があります。ラオス人は誰かのお家で昼食を食べていたら、その人のお家のベッドで寝ます。そのお家の人も嫌がらず、それが普通になっていて面白いです。
みんなで暮らしてる、みんなで生きている、という考えがラオスにはあります。

長澤隊員 :ラオスではワークライフバランスを大事にしているところが素晴らしいと思います。日本ではどうしても仕事を優先しがちな文化ですが、ラオスに来てからワークライフバランスの大切さを感じます。

美弥子所長 :ラオスの人々の生き方には学ぶべき点が多くありますよね。私も、子どもが小さい頃にラオスで暮らしていたことがあり、レストランに行ったときに、スタッフの方が交代で子どもを抱っこしてくれて、「お母さんはゆっくり食べて」と言ってくれました。ラオスの皆さんは「家族や子どもは大事にしようね」と言ってくれ、大変子育てしやすい環境でした。

金子隊員 :私は、弟や妹がいないのでラオスに来る前まで赤ちゃんをどうやって抱っこすればよいのかわかりませんでしたが、この任期中に子どもと接することに慣れました。また、ラオスでは子どもの世話をするのは女性という固定観念もなく、男性も育児に参加するので、男性も子どもと接することに慣れています。

上山隊員 :ラオスでは、多産多死の面があり、死が日本に比べて身近に感じられます。私の同僚も小さな子どもを残して病気で亡くなりました。悲しいのだけど、死を受け入れることが身近であり、生と死は表裏一体なんだと感じることが多くありました。

3.日本に持って帰りたいラオスの取り組みについて

美弥子所長 :ラオスでの生活の中で感じた、日本でも取り入れたいと思うラオスの取り組みがあれば教えていただけますか。

金子隊員 :私は日本では理科教員ですが、日本では解剖の授業において普段の生活であまり馴染みも無いことから、実施段階でハードルを感じる部分があります。しかし、ラオスでは、日常的に動物をさばいている場面に出くわすこともありますし、市場では臓器が売られています。教科書で教えられていなくても、身体の仕組み等について自然と学ぶことのできる環境にあります。日本に比べて理科の内容が身近なものとしてとらえることができる環境にあると思います。

宮川隊員 :私は、自分の働き方を見つめ直す機会になりました。これまで仕事中心の生活を送ってきたのですが、生活の中で優先順位を付けることができるようになりました。仕事以外の自分のやりたいことに時間を使ってもいいのではと考えることができるようになりました。

長澤隊員 :日本には、 自分のことを大切にできなかったり、好きになれない子どもがいます。 その点、ラオスでは、皆が自分のことが大事なのは当たり前という意識があり、自己肯定感が高い子どもを多くみます。これは日本で見習うべき部分だと思います。「自分を大事にしましょう」と言われてすぐにできるものではないので、どうやって成長して、 生きてきたかとかが大切だと思います。ラオスの人々の生き方の良い部分は見習うべきだと考えています。

上山隊員 :「世の中なんとかなる」という心持ちの大切さを学びました。日本人は、何か問題があったときに先のことばかりを考えて、 自分から不幸になるみたいな気持ちになってしまいます。先のことを考えすぎてしまうのです。私も最後は誰かが手伝ってくれて何とかなると考えるようになりました。

4.ラオス観光について

上山隊員 :2か所あります。1か所目は、チャンパサック県のシーパンドンです。メコン川の中にあるたくさんの島のことをシーパンドン(4000の島)と言い、それぞれの島の中にゲストハウスがあり、ラオスの田舎の生活を垣間見ることができます。また、滝幅世界一とされるコーンパペンの滝は、迫力満点です。もう1つは、ルアンパバーン県のムアンゴイです。川のそばにある村を山の上から見ると「桃源郷」のような絶景です。村の中に日本人の夫妻が支援して建てた小学校があって子どもたちの賑やかな様子を見ることができました。観光客は観光客で風光明媚な場所を楽しみ、住人は住人で自分たちの生活をしているみたいな感じがあります。このような雰囲気が大好きですね。

シーパンドンのコーンパペンの滝

ムアンゴイの風景

金子隊員 :シェンクワン県の温泉です。足を入れると40度以上あるため、熱いのですが、その下は冷たい水の層があって、魚も泳いでいて面白いです。

シェンクワン

シェンクワンの温泉

宮川隊員 :おすすめは、世界遺産にも登録されているチャンパサック県のワットプーです。これまで、6回ほど足を運んでおり、雨季と乾季でガラッと変わるのが魅力的です。雨季は、緑が多くて幻想的な雰囲気ですが、乾季は緑がなくて遺跡という雰囲気になります。どちらの景色もとても綺麗で面白いと思います。

ワットプー

ルアンパバーン

長澤隊員 :私は、ルアンパバーン県が好きです。初めてラオスを訪れたときには、ルアンパバーンは絶対おすすめです。町全体が 世界遺産にも登録されており、観光客向けに整備されている他、いろいろなアクティビティもでき、おしゃれなお買い物もできます。女子心がくすぐられる街です。

美弥子所長 :私もまだ訪問できていないところもあるので皆さんに紹介していただいた場所に行ってみたいです。まず、シーパンドンに行ってみたいです。皆さん、お忙しいところ今日はありがとうございました。

(~終わりに~)
JICAラオス事務所でもピーマイのお祝いを行いました。
ສະບາຍດີປີໃຫມ່ ! Sabaidee Pi Mai Lao!  

JICAラオス事務所でもピーマイのお祝いを行いました。

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