JICAマダガスカル事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。
2025年5月に着任しました所長の小田原康介です。
さて、ここマダガスカルはアフリカ南東部のインド洋に浮かぶ世界で4番目に大きい島の国で、日本の約1.6倍もの広大な国土に人口約3200万人(2024年、世界銀行)が暮らしています。
魅力および潜在力にあふれる側面とは裏腹に、マダガスカルの1人当たりGNIは510USドルと最貧国の1つに留まっています。加えて1960年の独立以降、繰り返し起こる政治危機の度にGDPが漸減し続けているという国でもあります。なぜマダガスカルの発展が足踏みし続けるのか、「マダガスカルの謎と矛盾」というレポートが出ているほどです。さらに、新型コロナウイルスによる経済への打撃は大きく、NGOの調査によれば生活水準の見通しを悲観的に捉える人が7割に上るという厳しい状況です。
皆さんはマダガスカルと聞いて、どのようなことが頭に思い浮かぶでしょうか。バオバブやキツネザルなど固有種に溢れる動植物、アイスやお菓子で目にするマダガスカル産バニラやカカオでしょうか。また、住友商事が最大出資者となっている採掘・精錬事業から産出されるニッケル・コバルト、多様な宝石類などの鉱物資源でこの国を知っている方も多いかと思います。
他方、豊かな自然資源を擁するマダガスカルですが、経済社会開発の観点ではアフリカ地域の中でも苦境にある国の一つです。これを示す代表的な指標を挙げると、一人当たりGNIは510USドルとサブサハラアフリカの49ヵ国の中でも最下位層にあり、国民の約7割弱が一日3USドル以下で暮らしていると言われています(2024年、世界銀行)。また、健康、教育等の状況を示す人間開発指数は193ヵ国中183位(2025年、UNDP)となっています。この他、経済、社会の後退の大きな要因とも言われる政変が約10~15年毎に繰り返されたり、インド洋で発生するハリケーンの襲来や南部地域での干ばつなどの自然災害の猛威に晒されたりしています。
このように経済、社会、政治、気候変動などに脆弱なマダガスカルに対して、日本政府の開発協力の方針では「経済開発と社会開発のバランスの取れた持続的発展への支援」を目標としています。JICAはこの方針の下で、特に「農業・農村開発」、「社会開発」、「インフラ開発」を重視した協力を展開しています。
まず農業・農村開発分野では、全就業者数の約8割が農業従事者といわれ、その9割は主食であるコメ農家であることから、日本人専門家による技術指導や研究を中心とした稲作協力を中心に展開しています(CARD)。この他、儲かる農業を目指す市場志向型農業(SHEP)、栄養改善(IFNA)などにも取組んでおり、農家等の生計向上、食糧自給率向上などへ貢献しています。
また、社会開発分野では、初等教育の質向上(みんなの学校)や保健医療サービス向上(きれいな病院プログラム)など人材育成を中心とした協力を行っています。
3点目のインフラ開発では、首都アンタナリボと当国の国際貨物の9割を扱う港湾都市トアマシナ、また両都市を結ぶ国道2号線を含む地域から形成される経済圏の基盤整備への貢献として、総合開発計画の策定、トアマシナ港の拡張、国道の橋梁改修、上水道や廃棄物管理など都市環境改善の協力を展開しています。
このほか、2002年から派遣を開始したJICA海外協力隊の累計派遣数は2025年度上半期には290名を超え、常時35名程度の隊員が、生活改善、栄養、教育、保健、青少年育成、スポーツ、日本語教育など多様な分野で活躍し、現地の人々や機関から高い信頼を得ています。
また日本の大学や研究機関、高専、NGO、民間企業、財団などとも連携し、当国の社会課題解決と日本社会への貢献にも取組んでいます。さらに世界銀行、アフリカ開発銀行、国連機関などとも農業、教育、保健、インフラ開発の各分野でそれぞれの強みを生かした連携を進めています。
このように日本や海外の多くの関係者・機関との協働・共創により、3年毎に開催されるアフリカ開発会議(TICAD)での議論・方向性を踏まえた協力を展開しています。
モーリシャスは、アフリカへの投資拠点としても注目を浴びる高中所得国(2024年、世界銀行)ですが、気候変動や災害へ脆弱であることを踏まえ、水産振興、海洋環境管理、気象、防災分野を中心とした協力を展開してきました。更に、2020年8月に起きた船舶座礁・油流出事故対応の一環として、環境モニタリング、ブルーエコノミー、油防除の協力を実施しています。コモロ連合でもブルーエコノミーや保健等の分野で人材育成中心の協力を行っています。
このように各国の個別課題に加え、各国間での学びあいを含めた域内共通課題への協力を通じて、各国及び域内の発展と日本に対する信頼強化を図り、「持続可能な開発目標(SDGs)」や「自由で開かれたインド・太平洋」などの実現へ貢献していきたいと考えていますので、マダガスカル、モーリシャス、コモロのJICA事業へのご関心とご支援を頂けると幸いです。
JICAマダガスカル事務所長
小田原 康介
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