マラウイボランティアレポート「マラウイで言語聴覚士として活動するということ」
2022.11.04
名前:中田 慧
隊次:2021年度7次隊
配属先:ムア聴覚障害児特別支援学校
職種:言語聴覚士
出身地:神奈川県横浜市
私は首都から車で約2時間半の距離に位置するデッザ県ムアの聴覚障害児特別支援学校に言語聴覚士として派遣されています。活動としては生徒への個別訓練、プレスクールでの教員のサポートを行っています。
言語訓練の様子
ところで、皆さんは言語聴覚士という職業を知っているでしょうか?名前は聞いたことがある人、全然知らなかった人もいるかもしれません。言語聴覚士はリハビリテーション職種の一つで、主にことばによるコミュニケーションに問題のある方を対象に専門的なサービスを提供しています。また、ご飯を食べること・飲み込みに問題のある方へのリハビリテーションも行います。日本でも他のリハビリ職種に比べるとまだまだ知名度が低い職種です。
ここマラウイでは、言語聴覚士はほとんどいません。マラウイでとれるリハビリの職種はまだ理学療法士しかなく、言語聴覚士の資格を取るためには海外で資格を取得する必要があります。
海外で言語聴覚士として活動するにはどうしても言語の壁が立ちはだかります。発音や言葉の使い方が正しいのか間違っているのかの判断がつかない・正しい見本を示せないなど、母語のようには訓練を提供できず、これは子供たちのためになっているのだろうかと思い悩むこともあります。
プレゼンテーションの様子
先日、マラウイ隊員で構成する医療分科会(関連職種で情報交換や勉強会、活動を共に行うこともあります)で隊員の活動先である公立病院へ見学に行きました。隊員の同僚の理学療法士の方はとても勉強熱心で「言語聴覚士のことがもっと知りたい、見学時に何か発表してほしい。」と依頼がありました。そこで、短い時間ではありましたが、言語聴覚士について、特に日本の言語聴覚士はどのようなことをしているのかについてプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーションへの反応も良く、たくさんメモを取っていたり、紹介した簡単な検査や訓練についての質問をされたり、その熱量に驚かされました。
今までは生徒のために言語療法を提供しようともがいていましたが、私にできることはそれだけではなく、言語聴覚士について紹介することや言語療法を紹介することによって、マラウイでの言語聴覚士を誕生させる一助になるのではないかと思うようになりました。
協力隊に応募するにあたり言語聴覚士が海外で何ができるのだ?と思っていたことや今まで活動でうまくいかなかったことも、ここで活動することはすべてそこにつながっていると考えると、悩むことなんてない!と思うようになりました。
残り1年をきり、できることは限られていますが自分なりにベストを尽くしたといえるように活動していきたいです。
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