ボランティアレポート:もう1つの活動物語~タクシードライバー編~
2023.08.16
名 前:日髙里奈
隊 次:2021年度3次隊
職 種:薬剤師
配属先:カムズ中央病院(リロングウェ)
出身地:宮崎県都城市
私は、首都にあるカムズ中央病院の薬剤師として活動を行っています。私が派遣された2022年当初はまだCOVID-19感染の懸念から自宅からの通勤に個人タクシーを利用していました。現在は規制も緩和され、公共交通機関を利用できる状況にありますが、現在もなお、同じドライバーにお願いしてタクシーで通勤をしています。ボランティア隊員らしくないのではないかと思われるかもしれませんが、私が自腹を切ってまでも利用したい理由が1つあります。
それは、お願いしているドライバーのビジネスマンとしての成長を見守りたいと思っているからです。彼の名前は、ジョナサン(Jonathan)。30歳。「仕事がなくて困っているドライバーがいる。」との他の隊員からの紹介で彼にお願いすることにしました。依頼当初、彼はまともに仕事をしたことがなかったようで、時間を指定しても連絡なしで1時間以上遅れたり、遅れたとしても「マラウイだから仕方がない、なぜそんなに怒るんだ」みたいな態度だったので、punctualな日本人として育ってきた私としては、正直イライラの連続でした。しかし、彼の本質はとてもやさしく、友達からも慕われリーダーとしての素質はあると思っていたため、彼の人となりを信用してドライバーとして多くの仕事を依頼し続けました。彼とのかかわりの中で、「時は金なり、時間を守ると人に信頼される、遅れることは仕方がないときもあるが、もし遅れるなら一言連絡してくれ」、などを事あるごとに言い続け、できないときは幾度となく注意し、怒りました。そして最後に、「私はあなたを(ドライバーとして)信じている。」と本心も伝えていました。徐々にドライバーとしての自覚、私の意見も少しずつ受け入れてくれるようになりました。指定時間より5分以上遅れる時は必ず事前に連絡をくれたり、本人が別用で来られない時は友達のドライバーをアレンジしてくれたり、値段交渉もクライアントの意見をしっかり聞いてくれたり・・・と。そして、常に車内をきれいにしてくれ、私が後部座席に乗車するときは必ず助手席のシートを前にずらし、乗車空間を快適にしてくれる配慮もしてくれるようになりました。運転マナーの悪いドライバーがいると、「ドライバーとしてなってない、危ない!」などとぼやく事もあり、そのような彼の様子を見聞きしていると、彼の成長ぶりがとても嬉しく、現在も毎日彼とのドライブや会話を楽しんでいます(完全に親心目線。)。彼は将来の夢も語ってくれています。将来は、自身のタクシー会社をもったり、キャベツやトマト栽培などの他のビジネスも軌道にのせ、拡大したいようです。マラウイでビジネスを起業し拡大維持することは容易なことではないと思いますが、将来彼がマラウイの一起業家として活躍する日が来るようにこれからも交通費と日本の精神を投資しながら、こっそり見守りたいと思っています。薬剤師としての本筋のボランティア活動とは違いますが、現地で生活しているといろいろな職業や夢をもった人との出会いがあります。その点はJICAボランティア隊員として現地に密着し生活する魅力の1つでもあると感じています。今回は、そんな私の日常の一幕を紹介させていただきました。ジョナサンこれからもよろしく~!!
ジョナサンにドライバーをお願いしたサリマ旅行。左端がジョナサン。
いつも快適空間をつくってくれてありがとう。
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