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ボランティアレポート「 首都の学校と村の学校 」

2024.07.26

名 前:宮崎琴巳
隊 次:2023年3次隊
職 種:PCインストラクター
配属先:ムクウィチ中高等学校
出身地:愛知県名古屋市

◼️机・椅子・建物の不足
 「1人1つの机・椅子が無い、答案用紙は膝の上で記入」、それが配属先の学校に来て最初に気づいた日本との違いでした。校舎はJICAの支援で約2倍に拡張されており、先生方はとても喜んでいました。しかし、それでも生徒の人数に対して校舎も足りていないため、午前と午後の2部制にし授業を実施しています。
 ある日同僚の先生に机や椅子、建物不足について話をすると「建物があるだけ十分いい。村の学校はほとんど建物がないんだ。」と言われました。とはいえ実際に見ないことにはイメージできないということで、同僚が母校の村の学校に連れて行ってくれました。


◼️村の小学校
 村の小学校へ行くと、校長室には「18個の課題」が掲示されていました。その中には「教室の不足」「トイレの不足」「電気が無い」と言った問題が。見渡してみると、確かに校長室にさえ電球すらありませんでした。続いて教室へ行こうとすると、外国人がかなり珍しいのか小学生が校長室へ押し寄せており、進む度に多くの生徒に手を握られました。両手に10人以上の小学生、とても元気いっぱいで外国人に物おじしないところがたくましかったです。
 そしてやっと辿り着いた教室、そこには教室にあふれんばかりの生徒が詰めるように座っていました。座るスペースで精一杯で、物を置くスペースがありません。そこで天井から板を吊り下げて、そこに洗剤など生徒に必要なものを置いていました。真夏にはとてつもない熱気になり、先生・生徒どちらにとっても厳しいものとなるようです。そのような環境でも、勉強ができることが嬉しいようで好きな科目を聞くと「算数が好き!」と多くの生徒が大きな声で答えてくれました。

◼️村の中高等学校
 小学校とは異なり、中高等学校の生徒は落ち着いていました。配属先の中高等学校とあまり変わらないと思っておりましたが、よく観察すると異なる点が多くありました。例えば水道はなく、井戸水のポンプを汲む必要があります。その井戸は学校だけでなく、近所の村の人も使うため、村の人も学校へ来ます。学校の周りに塀もありません。また、配属先の中高等学校の生徒に将来の夢を聞くと「医者」と多くの生徒が回答しますが、なぜ医者かと聞いても具体的な理由はなく、給料が高いという理由で目指している生徒が多いように感じました。しかし、村の中高等学校では「怪我や病気の人を治すために医者になる」など、明確な理由を持ち自信を持って夢を語る生徒が多くいました。村では中高等学校に行かず、家業の農業を手伝う選択肢もあるので、その中でも勉強を続けている生徒は具体的な夢を持っていて当然なのかもしれません。

◼️配属先の高校のために何ができるのか
日本でも同じことが言えますが、全生徒がモチベーションを持って勉強しているわけではありません。首都の学校の生徒は村の学校の生徒に比べて裕福で、将来のためにとりあえず学校に行っておこうという生徒が多くいます。才能もあり、環境にも恵まれているのに少しもったいない。そう思い、生徒の希望から発足させた日本語クラブでは「日本の魅力」「日本に行くための奨学金制度の紹介」を最初に行い、生徒の勉強へのモチベーションをあげる工夫をしました。現在日本語クラブには150人以上の生徒が参加し、一部の生徒は休憩時間にもオフィスに来てくれます。メインの活動内容はコンピュータの授業ですが、その授業にも積極的に参加してもらえるように日本語クラブも工夫して実施して行こうと考えています。

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